なんたろう/ライター(小説・エッセイ・絵本等)

受け手の想像力だけで、感情を揺さぶることができる活字の世界が好き。 小説、絵本、エッ…

なんたろう/ライター(小説・エッセイ・絵本等)

受け手の想像力だけで、感情を揺さぶることができる活字の世界が好き。 小説、絵本、エッセイを、自分だけの活字の組み合わせで表現しています。

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きっと役立つ大人な対処法 ~あれ?この人誰だっけ編~

紳士(しんし)・・・・・・品格があって礼儀正しい男子 それは、誰しもがあこがれる大人界の頂点。 しかし、あなた自身はどれくらい紳士と言えるだろうか? 紳士と呼ばれないことを、ガサツな性格やわがままボディのせいにしてはいないだろうか? そんな方にはぜひ、この『きっと役立つ大人な対処法』シリーズの習得をお勧めしたい。 概要想像してほしい。 「お久しぶりです!」 街を歩いているとき、後ろから声をかけられる。 振り向くと、そこには一人の紳士が立っているが、誰だか思い出せない。

    • 『1ミリの後悔もない、はずがない』 一木けい 著

      簡単なあらすじ何不自由なく、幸福に暮らしている由井。 しかし、ふとした瞬間にフラッシュバックしたのは、あのころの恋。 できたての喉仏が美しい桐原と過ごした時間は、由井にとって生きる実感そのものだった。 逃げ出せない家庭、理不尽な学校、非力な子どもの自分。 誰にも言えない絶望を乗り越えられたのは、あの日々があったから。 桐原、今、あなたはどうしてる? 感想とおススメポイント本作は、由井の人生をたどる連作短編の形式で構成されています。 学生時代、母子家庭という環境の中、

      • 【連載小説】 真実なお隣さん④-不安-

        子どもたちの行列が行き過ぎるころを見計らい、史江も重い腰を上げる。 今日は朝からミーティングが入っているので、いつもより早めに出社しなければならない。 先日、入社2年目の若い社員が、契約の手続きを間違えてしまい、大口の顧客を取り逃がしてしまった。 そのせいか、このところ部長の虫の居所が悪く、ささいなことで周りに当たり散らしている。 うっかりミーティングに遅刻でもしようものなら、史江も被害を被りかねない。 そろそろ準備しないと、誰にともなく、ひとりそう呟く。 しかし、頭の

        • 【連載小説】 真実なお隣さん③-疑問-

          そういえば、ここ1週間ほど、お隣さんの姿を見ていない。 単に、史江がご近所付き合いに無頓着なこともあり、その姿が見えていないだけなのだけだろうか。 いや、そんなはずはない。 アイマスクでもしてない限り、玄関を開ければイヤでも目に入り、明りが灯ればきっと気づくはずだ。 それに、昨年の夏の台風の時は、あの家が飛ばされないか、ひやひやしながら一晩中覗いていたではないか。 けっきょく、台風自体が大きく逸れたため、瓦一枚飛んでくることはなかったが、寝不足のせいで翌朝の会議に遅刻した。

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          『幻夏』 太田愛 著

          簡単なあらすじ毎日が黄金に輝いていた12歳の夏に出会った、尚と拓という転校生の兄弟。 8月最後の夜、尚は川辺の流木に奇妙な印を残して、忽然と姿を消した。 23年後、刑事となった相馬は、少女失踪事件の現場で同じ印を発見する。 「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」 相馬の胸に蘇る親友の言葉。 あの夏、本当は何が起こっていたのか? 今、何が起ころうとしているのか? 人が犯した罪は、正しく裁かれ、正しく償われるのか? 感想とおススメポイント本作の主人公である相馬は、刑事事件を捜査

          みんな気になる?6月の運勢! ~伝説の占い師、亘加志覧(あたるかしらん)~

          家を出るとき、大事な試験の前、どうしても気になるのが占いである。 しかし、世の中にはたくさんの占いがあふれかえっており、いったいどれを信じればよいのか、そう思ったことはないだろうか。 今回、伝説の占い師である、亘加志覧(あたるかしらん)氏から、6月の運勢が届いた。 説明するまでもないが、亘氏は平安時代から続く占い一家の15代目であり、 その能力は、先代の亘賀茂音(あたるかもね)氏を凌ぐとも言われている。 おひつじ座♈ 右脚のヒザが今にも笑いそう。 今すぐモミアゲにオロナ

          みんな気になる?6月の運勢! ~伝説の占い師、亘加志覧(あたるかしらん)~

          『すいかの匂い』 江國香織 著

          簡単なあらすじあの夏の記憶だけ、いつまでもおなじあかるさでそこにある。 つい、今しがたのことみたいにー バニラアイスの木べらの味、ビニールプールのへりの感触、おはじきのたてる音、そしてすいかの匂い。 無防備に出会ってしまい、心に織り込まれてしまった事ども。 おかげで困惑と痛みと自分の邪気を知り、私ひとりで、これは秘密、と思い決めた。 11人の少女の、かけがえのない夏の記憶の物語。 感想とおススメポイント本作品は11の短編集ですが、それぞれ、11人の女性が幼いころに体験し

          人生で訪れる、4つの”活”のお話 ~みんな避けては通れない!?~

          この記事を読んでいるみなさんは、きっとおそらく、誰もが耳にしたことがあるはず。 かの、聖徳太子の弟の友人の従兄弟の隣人が残したという言葉。 "豚活からは何人たりとも逃れられぬ" 忘れているふりをしている方、現実から目を背けたいのは皆も同じだ。 しかしこれは、長い人生において、避けては通れない運命なのである。 だから、心を鬼にして、もう一度、中学校の歴史の教科書を引っ張り出し、235ページの右下の絵を見てほしい。 そこに、きっとおそらく、たぶん豚活に関する記載があるは

          人生で訪れる、4つの”活”のお話 ~みんな避けては通れない!?~

          『砂の女』 安部公房 著

          簡単なあらすじ砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれてゆく一軒家に閉じ込められる。 考えつく限りの方法で脱出を試みる男。 家を守るために、男を穴の中に引き留めておこうとする女。 そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める人々。 渇きと絶望の中で、男の人間らしさが失われてゆく…… 感想とおススメポイント主人公は、休暇を利用して趣味の昆虫採集に砂丘を訪れた男。 たどり着いた集落は、行けども行けども砂だらけ。 集落の老人に勧められた宿泊先は砂に埋もれてゆき、男

          『TUGUMI』 吉本ばなな 著

          簡単なあらすじ病弱で生意気な美少女つぐみ。 東京の大学へ進学したまりあは、ある夏、つぐみの誘いもあってふるさとである海辺の小さな町に帰省する。 まだ淡い夜のはじまりに、つぐみとまりあは、ふるさとの最後のひと夏をともにする少年に出会った。 少女から大人へと移りゆく季節の、二度と帰らない一瞬を描いた、切なく透明な物語。 感想とおススメポイント本作のタイトルにもなっているつぐみは、生まれたときから体が弱くて、医者も家族も短命を覚悟しました。 そして、家族や周りが彼女をちやほやと甘

          【連載小説】 真実なお隣さん②-隣人-

          長い冬を乗り越えた木々たちが、春風に乗せて新緑の枝葉を揺らしている。 その横を、不釣り合いに大きく、真新しいランドセルを背負った小学生の行列が歩いていく。 そんな、春の訪れを感じられる景色の奥に、その家はひっそりと建っていた。 いったい、いつからそこに建っているのだろう? ”お隣さん”と呼んでいるその家は、割れた瓦とすすけた壁を纏い、その立ち姿は、柔らかな春には似つかわしくないくらい寒々しい。 伸び放題の草に囲まれ、今にも朽ち果てそうな感じは、どことなく落ち武者を連想さ

          【連載小説】 真実なお隣さん②-隣人-

          『百花』 川村元気 著

          簡単なあらすじ「あなたは誰?」 徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。 ずっとふたりで生きてきた親子には、決して忘れることのできない”事件”があった。 そう、かつて ”母を一度失った” ことを。 記憶が消えゆく中で、泉はずっとしまい込んできた過去に手を伸ばす…… 過去から去り行く母と息子の、愛と記憶の物語。 感想とおススメポイント主人公の泉はずっと、母の百合子とふたりで生きてきました。 やがて、泉は結婚し家を出ることを決めますが、百合子の記憶が次第に

          『雪屋のロッスさん』 いしいしんじ 著

          簡単なあらすじ雪屋のロッスさんは、トラクターに似た造雪機に乗って、ほうぼうの街をまわります。 大晦日、誕生日、スキー大会、クリスマス。 ロッスさんの雪は、結晶のかたちに工夫がこさられ、通常の三倍長持ち。 さて、ある冬の夜のこと……      表題作『雪屋のロッスさん』より 個人タクシーのヤンリ・ヘムレンさん。 独自の乗車サービスがあるので、「なぞタクシー」と呼ばれています… 調律師のるみ子さん。 依頼されたピアノのチューニングを、いつも一音わずかに外しておきます… 巡査

          『雪屋のロッスさん』 いしいしんじ 著

          【連載小説】 真実なお隣さん①-引継-

          目の前に回覧板と役員セットがある。 これをどうやって次の人に引き継ぐのか、そのことが史江を悩ませていた。 約1年もの間、地域の役員として動き回ってきた。 役員といっても名ばかりで、それはいわば地域住民のためにこまごま動く”お世話係”を意味する。 もちろん、好き好んで引き受けたわけではない。 ただ、順番が回ってきただけだ。 順番は、町内会長を起点として左廻り、任期1年という条件で廻ってくる。 報酬は微々たるもので、ボランティアといっても過言ではない。 役員になる

          【連載小説】 真実なお隣さん①-引継-

          麦わらの一味が現れた! ~激しい攻防の行方は!?~

          それは、暖かく穏やかな昼下がりだった。 お仕事の帰り道に休憩を兼ねて立ち寄った、熊本県の高森町にある道の駅「あそ望の郷くぎの」 ここは、道の駅として様々な野菜や特産品を取り扱っているほか、レストランのメニューも豊富で、なおかつドッグランも併設されている。 目の前には雄大な阿蘇の景色も広がっており、ここを訪れることを目的として来る人たちも多いほどだ。 その日は上司と来ていたのだが、ご多忙にもれず、われわれも新鮮な空気を目いっぱいとりこんで、ひと時のやすらぎを感じていた。

          麦わらの一味が現れた! ~激しい攻防の行方は!?~

          『さいはての家』 彩瀬まる 著

          簡単なあらすじ郊外に建つ古い借家。 植物が鬱蒼と生い茂るこの家には、人生に行き詰まり、逃げてきた人ばかりが住み着く。   年上の常連客との不倫の果て、駆け落ちした飲み屋のママ   引き返せない罪を犯し、兄貴分から逃亡しているチンピラ   信者の死体を遺棄した罪で、公安に追われる新興宗教の教祖   親が決めた縁談とストーカー彼氏から逃れるため、身を隠す姉妹   妻との関係に悩み、単身赴任を選んだサラリーマン 安息を手に入れたはずの住人たちはやがて、奥底に沈む自分の心の澱を覗