【連載小説】 真実なお隣さん①-引継-
目の前に回覧板と役員セットがある。
これをどうやって次の人に引き継ぐのか、そのことが史江を悩ませていた。
約1年もの間、地域の役員として動き回ってきた。
役員といっても名ばかりで、それはいわば地域住民のためにこまごま動く”お世話係”を意味する。
もちろん、好き好んで引き受けたわけではない。
ただ、順番が回ってきただけだ。
順番は、町内会長を起点として左廻り、任期1年という条件で廻ってくる。
報酬は微々たるもので、ボランティアといっても過言ではない。
役員になる