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【連載小説】 真実なお隣さん

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記事一覧

 【連載小説】 真実なお隣さん⑦-呼掛-

史江はもう一度インターホンを押して、そこでようやくそれが壊れていることに気づいた。 押し…

【連載小説】 真実なお隣さん⑥-言葉-

インターホンを押しながら、あらかじめ整理しておいた言葉を、頭の中で思い返す。 お隣さんと…

【連載小説】 真実なお隣さん⑤-訪問-

4月とはいえ、まだ朝の空気は冷たい。 天気予報では、日中の気温は25℃近くまで上がると言って…

【連載小説】 真実なお隣さん④-不安-

子どもたちの行列が行き過ぎるころを見計らい、史江も重い腰を上げる。 今日は朝からミーティ…

【連載小説】 真実なお隣さん③-疑問-

そういえば、ここ1週間ほど、お隣さんの姿を見ていない。 単に、史江がご近所付き合いに無頓…

【連載小説】 真実なお隣さん②-隣人-

長い冬を乗り越えた木々たちが、春風に乗せて新緑の枝葉を揺らしている。 その横を、不釣り合…

【連載小説】 真実なお隣さん①-引継-

目の前に回覧板と役員セットがある。 これをどうやって次の人に引き継ぐのか、そのことが史江を悩ませていた。   約1年もの間、地域の役員として動き回ってきた。 役員といっても名ばかりで、それはいわば地域住民のためにこまごま動く”お世話係”を意味する。 もちろん、好き好んで引き受けたわけではない。 ただ、順番が回ってきただけだ。 順番は、町内会長を起点として左廻り、任期1年という条件で廻ってくる。 報酬は微々たるもので、ボランティアといっても過言ではない。   役員になる