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『雪屋のロッスさん』 いしいしんじ 著

簡単なあらすじ

雪屋のロッスさんは、トラクターに似た造雪機に乗って、ほうぼうの街をまわります。
大晦日、誕生日、スキー大会、クリスマス。
ロッスさんの雪は、結晶のかたちに工夫がこさられ、通常の三倍長持ち。
さて、ある冬の夜のこと……      表題作『雪屋のロッスさん』より

個人タクシーのヤンリ・ヘムレンさん。
独自の乗車サービスがあるので、「なぞタクシー」と呼ばれています…

調律師のるみ子さん。
依頼されたピアノのチューニングを、いつも一音わずかに外しておきます…

巡査になって5年目の石田さん。
顔は鳥ですが、射撃の腕前は髄一です…

クセが強いけど、どこか温かみのある登場人物が繰り広げる、短編集です。

感想とおススメポイント

どれも3~4ページの短いお話ばかりですが、主人公はみなクセが強く、それでいて譲れない信念を持っています。

それらの信念のクセも強く、ただ頑固なだけに見えますが、その信念により救われる人が居て、どの主人公も街や人に愛されていることがわかります。

おススメポイントは、31人のクセが強い主人公たちが、それぞれ持ちわせた、一見他人には理解しがたいような信念で、どんなふうに人を救い、どんなふうに愛されているのか、ワクワクしながら読み進めるところでしょう。

個性や多様性を大切にできるようになってきた今、個性を31も集めた本作品は、時代の最先端を行っていたのかもしれません。

作品の文章表現は柔らかいので、大人からちびっ子まで、幅広く読んでほしい作品です!


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