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🍑 F.T.PUNK 桃太郎|10話:珍妙な新たな家族【連載小説】

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「ブンはお寺で和尚様と楽しく暮らしてたポン」

ニコは「うんうん」と頷きながら、タヌキの話を楽しそうに聞いている。

「ブンは和尚様をビックリさせようと、茶釜に化けたらタヌキに戻れなくなって、それを知らない和尚様が、ブンを古道具屋さんに売ってしまったポン」

イチゴもその話を楽しそうに聞き始めた。

「和尚様に茶釜で売られたのは、これで二回目だポン」

それを聞いたイチゴとニコは大爆笑した。

「お前、二回も売られたのかよ!バカだな!」

「和尚様も可愛がってたタヌキってわからなかったのかなー」

タヌキは大きな顔で不機嫌な表情になった。

「和尚様の悪口は言わないでほしいポン」

ニコは苦笑いをして「ごめんね」と謝った。

「売られた後も、なかなか元のタヌキに戻れなくなって、ふもとの町でやっとタヌキに戻れて逃げ出したポン。 かなり遠くまで売られたから、お寺に帰れなくて森の中をウロウロしてると、頭に風車を付けた男がいきなり現れて、ブンに襲いかかって来たポン」

イチゴとニコはお互いの顔を見つめて考えた。

「頭に風車を付けた男って、弥七さんの事だろ!ニコ?」

「うん!そんな変な格好できるのは弥七さんしかいないよ!」

タヌキは更に話を進めた。

「それでブンは、捕まりたくないから、町で噂になっていた妖怪の大首(おおくび)に化けて、その男を驚かしたんだポン」

「んん? 大首ってなんだ?」

イチゴが初めて聞いた言葉に疑問に思った。

するとすかさず桃太郎が解説してくれた。

「大首とは、お歯黒をつけた巨大な女の生首だけの妖怪のはずですよ」

「そ、そうだったな……オレはついつい忘れてしまったぜ……」

自分の知らない事を弟の桃太郎に解説されて、イチゴはとっさに嘘を付いてしまった。

その光景を見て、ニコはこっそりとクスクス笑っていた。

それを見たイチゴがニコを怒鳴ろうとしたが、桃太郎が冷静に空気を読んだ。

「タヌキ、その後はどうなったんだ?」

イチゴとニコは大人しく話の続きを聞いた。

「すると、その男はビックリして『鬼が出た!』と叫んで逃げ出したんだポン。 でも、その後は今みたいにタヌキに戻れなくて、妖怪の大首の姿になったままだポン」

一連の話を聞いて桃太郎が答えた。

「それでは、妖怪大首に化けたのも、村で鬼が出たと騒いでるのも、弥七さんが原因なんですね」

お婆さんはヤレヤレという感じでいた。

「弥七は昔から、厄介事ばかり起こすヤツだからのー」

お婆さんはタヌキが少し不憫に思い尋ねた。

「……ところでタヌキ、これからどうするつもりだ?」

タヌキはモジモジしながら答えた。

「ブンはまず、タヌキに戻りたいポン。 その後は和尚様の待つ、お寺に帰りたいポン」

そういうとタヌキはあまりの空腹の為、グッタリしてしまった。

お婆さんは頭をポリポリとかきながら、子供たちに質問した。

「お前ら、この顔のでかいままのタヌキの面倒をみれるかい?」

ニコはタヌキに興味があったらしく、即答で頷いた。

「うん!うん!ちゃんと面倒みるよ!」

イチゴは喰われそうな体験をしたが、タヌキの事情を知ると可哀想になり頷いた。

「わかった!しゃーねーな、面倒をみるよ!」

桃太郎は人語を話し、化けるタヌキに警戒心があったが、イチゴとニコが賛成しているため同意した。

「おいらも兄さんと姉さんがそれで良いなら、面倒をみる」

お婆さんは三人の優しさにジーンっと感動した。

「それじゃ、タヌキ! 今日からお前はこの三人が面倒をみてくれる。 この三人に感謝しな!」

するとタヌキはかすれた声で「ありがとうだポン」と囁いた。

「ところでタヌキ、アンタは名前があるんかい?」

お婆さんの質問にタヌキは答える。

「ブンは……ブンブク(分福)って……なまえだポン」

それを聞いたニコは嬉しそうにブンブクに話しかける。

「それじゃ今日からあなたは、ブンブクだからブンちゃんね! ブンちゃん、何か食べるものを持ってるくから待てってね!」

そういうとニコは急いで家の中へと入って行った。

「キャーーー!」

家に入ったニコが悲鳴を出した。

「どうした、ニコ! 何があった!?」

イチゴが心配そうにニコに確認する。

「おっとうが、頭に大きなたんこぶ作って倒れてる!」

それを聞いたお婆さんは、ハァーとため息を出してボヤいた。

「いざという時に、ホントにジジィは役にたたんのー……」


こうして珍妙なタヌキが家族の一員になった。


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最後までお読み頂き、ありがとうございました💖

今回の🍑 F.T.PUNK 桃太郎はいかがでしたか?
ブンブクは昔ばなしの「ぶんぶく茶釜」からのキャラクターです。
ぶんぶく茶釜の後のストーリーの感じで、ブンブクを参戦させてみました。
今後のブンブクの活躍を含めて、お楽しみください。

ブンブクが化けていたのは、妖怪の大首です。
Wikipediaでは、”大首(おおくび)は、日本の妖怪の一つで、空中などに巨大な生首が現れるというもの”と記載されています。
今回のように妖怪も登場させていく予定なので、昔ばなし&妖怪の物語になると思います。

今後もガンバっていきますのでスキ・コメント・フォローなど頂けますと励みになります❗❗

まだまだ、note初心者ですが、皆様の喜んでもらえる作品を作りたいと思います💖

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