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ひと
2020年11月30日 22:26
大分駅前地下道には、今日もギターを掻き鳴らす路上ミュージシャンと、そんな彼ら彼女らの歌を心の拠り所とする者たちが屯している。私もその一人だ。ここには、安らぎがある。学校に居場所がなく、家にもまだ帰りたくない。そんな自分もここは受容してくれる。それでいて、情熱もある。旋律となって繰り出される言葉はエネルギーに満ち、心はそれぞれのステージを見据えている。いつか自分もあの場所へ行けるだろう
2020年11月22日 21:36
ある日。値下げコーナーにて見つけた、コロンとしたフォルムのお椀。かわいいなぁ。手に取り、くるっと底を反して値段を確認する。300円。少し迷う。家族分買うとなると1500円か。普段うちで使っている食器はというと、私が一人暮らしをするときに実家から持ち出した食器と、主に100均で買い足した食器。そしてお義母さんの代から使われている食器たち。統一感はなく、あり合わせで、ちぐはぐだ。既
2020年11月12日 13:16
母は褒め上手だ。よく私が描いた絵を褒めてくれた。優しい子だと言ってくれた。私が作った料理やお菓子をおいしいと食べてくれた。そんな母は私が高3のときに家を出て行ってしまった。経済力のある父に私と弟を託して。離婚後も、たまにお惣菜やりんごを持って母はうちを訪ねた。なぜりんご?と不思議だったけれど、「林檎が赤くなると医者が青くなる」と言われるように、私たちの健康を祈っていたのかもしれない。以
2020年11月12日 13:14
父は名前に巳の字を含む。あれ?己だったかな。いや、巳で合ってるか。いつも、どっちだったっけと悩んでしまう。実の父の名前なのにな。「お父さん似だね」と言われるがまま、自分はお父さん似なんだと思っていた幼少期。僅かな反発心を抱くようになったのはいつの頃だろうか。高3の冬、両親の離婚が決まった。「お父さんは自分で決めたことはちゃんとする人やけん」という母の言葉通り、父は一通りの家事をこなし