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読書記録『赤い靴』大山淳子 


おつかれ様です。七海です☺️

昨日は大きな地震があり、びっくりしましたね。
私の住む地域は震度3だったのですが、それでも、あの日を思い出し、恐怖を感じました。 

東京23区や埼玉県などは震度5強を観測したとニュースで聞きました。どれほど怖かったことでしょう。 

みなさんは、大丈夫でしたか⁇



さて、本題に入ります。

今週は大山淳子さんの『赤い靴』についての記事です。
随分前に読んだ本なのですが、個人的に大山淳子さんの作品の中で一番好きな作品なので、ぜひ紹介させていただきたく、今週のテーマにしました。


大山淳子さんの作品は、キャラクターの人柄や心情についてこと細かく書かれているのが魅力だと私は思っています。


しかし、今回紹介する『赤い靴』は、それだけにとどまらず、ミステリーとしても、すごく読みごたえがあります。
なので、本作は本格ミステリーを期待する方にもオススメできます。 



まずは、あらすじです。(amazonより引用)

七歳の誕生日の夜、葵は母親を目の前で惨殺された。誰が何のために母を殺したのか--奇跡的に生き延びた葵がたどり着いたのは、超然とした佇まいの老人と犬が支配する人跡未踏の山中だった。隔絶された世界で成長した葵は、ある出来事の後、復讐の念を魂に刻んで下山する。 
「死ぬってどういうことだとあなたは思う?」 
生と死の狭間で交錯する欲望。葵が最後に見たのは、希望か絶望か--。 
息もつかせぬ怒涛の展開。 
驚愕のラストまで一気読み必至の傑作長編!!



あらすじに「復讐」という言葉があるので、「モンテクリスト伯」や「半沢直樹」といった復讐劇を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、本作は復讐が主題ではないです。

主人公の葵が、悲惨な事件の真相を掴んだ上で、本来の自分を取り戻していく話です。


その過程の中で、葵は2人の男性と出会います。


1人目は、誰もいない山奥で1人で暮らす老人、櫂です。櫂は山で暮らし始める以前は、超有名な研究者でした。
葵は、母親を惨殺された後、殺人犯から逃げる道中、櫂に助けられ、その後、櫂と共に山奥で10年ほど暮らします。

櫂は葵に対し、食料の調達や調理、洗濯など、自分のことは全て自分ですることや心身ともに強くなることを求めます。

その結果、葵は強くたくましく、そして賢い女性に成長しました。

2人目は、櫂の下で研究を行なっていた笹本です。
彼は、葵が山を下りた後に、色々と葵を手助けした人物です。

笹本は櫂の部下ではありますが、櫂が10年もの間、葵を山奥に居させ続けたことや、教育方針について、あまり肯定的ではありません。

櫂とは違う方法で、葵を必死で守ります。   


…皆さんは、櫂のやり方についてどう思いますか?

私は全てを肯定することはできないと思っています。

たしかに、山で暮らすためには様々な力が必要なのだとは思います。甘いことばかり言っていられないのも分かります。

でも、やはり子どもは守られるべきものだと思います。私は守られている、と分かることで、自分の存在を肯定することができるのだと思います。


それに人生において大切なことは自分でなんでもできることや強靭な肉体、精神力ではないと思うんです。
そういった力もあるに越したことはないと思いますが。

一番大切なのは、人に適度に頼ることができる、ということだと思います。
櫂のやり方だと、その力はつかないですよね。


おそらく作者も櫂を全面肯定するつもりはないからこそ、笹本の存在があったのだと思います。
葵にとって、もちろん櫂の存在は大きかったと思いますが、笹本に出会えたことも大きな幸運だと思います。 
笹本に出会えたからこそ、葵は人間らしさを取り戻すことができたのです。

実社会においても、一度耐え難い経験をした人たちが良い出会いに恵まれることを願います。








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