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1場面物語

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これは私が描く一場面の物語
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#とは

1場面。立体的に。

1場面。立体的に。

男が二人窓枠から外を眺めるように立つ。
一人は窓枠にもたれかかっている。
一人は窓から一歩離れている。

「で、お前はあの子に何がしてやれるの?」(呆れたような期待したような態度で)

窓枠にもたれかかった男が、もう一人にそう問いかける。

一呼吸ぶんの間

「わからない」(表情は固め。眉根を寄せている)

かぶるかかぶらないかのスピードで

「わからないって、おまえ…」(若干の苛立ち。窓枠に寄り

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思いつき1場面物語。《猫とまたたび》

思いつき1場面物語。《猫とまたたび》

「猫じゃらしは好き。
だって楽しいもの。」

彼女はそう言って、尻尾をくねらせた。

私はふむふむとメモを取る。

─どんな猫じゃらしがお好きなんです?

彼女の額をワシャワシャっとしながら聞くと、彼女は気持ちよさそうにしながらこたえた。

「そうねぇ。キラキラしてたり、音がなったり、そういうのが楽しいから好き。」

私はまたふむふむとメモをとる。
彼女のガラス玉のような目が私の手をみている。

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1場面物語 途中の茶屋にて

1場面物語 途中の茶屋にて

「あーあー獏に会いたいなぁ」
はねた髪を指先で弄りながら、茶屋の長椅子で独りごちる。
季節は巡って、いつの間にやら紅葉も色づく秋になった。
「お前、あいつが寝てまだ一年も経たないんだ。無理だよ」
声がしたので見てみると、奴が隣でいつの間にか団子を頬張っている。
それ私の三色団子なのに…。

獏はそれは美しい女性に変化する。
真っ黒でツヤツヤの髪に、昔の中国のお姫様みたいな衣装が映える。
赤や金の似

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『メモその2』

『メモその2』

ゴミ箱があった。側面に『ユめ』と書かれている。近くにいた子供達が灰色の塊をソレに投げ入れる。アレが『ユめ』だろうか?
私は彼らに話を聞こうと近づいた。
その時だった。
遠くからガチャガチャと音を立ててなにかが向かってきた。
足を止めて奥を見ると不思議な生き物がそこにいた。
不思議な生き物はどうやらゴミ箱の中身を大きな口に入れて食べているようだ。
口を動かすたびにガチャガチャと音が鳴る。
『ユめ喰い

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