抜け落ちた時間と戯れる楽しさをくれた、私の病。
全身麻酔から覚めた時の光景は、今でも覚えている。滲んだ景色と、おぼつかない手、回らない口の感覚を、鮮やかに記憶している。麻酔の眠りへ落ちる時も、同じく鮮明に。普段の眠りとは全く違う、時間の一片がごそっと抜け落ちたような、何枚か無くしてしまった紙芝居のような、タイムリープした感覚。落ちる時と覚めた時の景色が違ったことも、この感覚に拍車をかけたのだろう。
神経質で心配性な私にしては、不思議とあまり怖くなかった。先生から初めて手術の、しかも全身麻酔の必要性を耳にした時を恐怖のピー