nagomi
書字障害の三男についての記事を、判明する前からまとめています。 私の心配とは裏腹に、底抜けに明るく、何気ない言葉からハッとする気付きを与えてくれる三男です。
軽音部でドラムを叩いている息子を全力で応援したい母の日記です。普通の高校生で素行は悪くありません。
機能不全家族だった我が家の記録です。書いて吐き出すことで自分の感情が整理できていければいいなと思っています。
38歳で乳がんになった時の話です。今は普通の生活ができていて、乳がんだった事を忘れそうになっているので、noteに記録していこうと思います。当時の記憶を辿りつつ、不定期にてゆるーく更新します。
うちの三男の発言や表現がちょいちょいおかしいのは、きっと周りの子より幼いからだと思っていたのだけど、最近になって「これは天然なのでは?」と思うことが増えた。 例えば学校から帰ってきて遊びに行くという三男に、「夕方に雷雨が来るかもしらんから、雷の音が聞こえたらすぐ帰っておいでや」と言うと、「雨なら遊んでていいの?」と聞くし、4点だった都道府県テストに頭を抱えている私の横で、「だってふりがなが書いてなかったんだもん」と平然と言う。ふりがな書いてたらみんな正解できるやんか。 思
お弁当を作っている。毎朝作っている。 それは別に特別なことではないと思う。自分や家族のために、毎朝お弁当を作っている人はたくさんいるだろう。ましてやうちには義務教育を終了した男子高校生が二人いて、それは腹が減ると極端に機嫌が悪くなって周りに当たり散らす長男と、あまり食に興味がなく、放っておくと一日一食で済ませる2Hの鉛筆以上に線が細い次男という、同じ血が通っているとは思えない対称的な二人なのだけど、なんにせよこの子達の生命維持と世界平和のために、毎朝のお弁当作りは私にとって
小5三男は理科の授業で天気について勉強している。 ある日、宿題と一緒にペロッと出してきたプリントを見ると、『天気について考えよう。』という内容で、『晴れ』『くもり』『雨』『雪』について、三男なりの説明が書かれていた。 晴れ ⇨ たいようがぴかぴかのとき くもり ⇨ たいようがみえないとき 雪 ⇨ あめがすごくつめたくなってくもがしろいからそこをとおってゆきになる なかなかの説明だ。晴れはまだいいとしても、くもりは先生から「夜はどうなのかなぁ?」と突っ込まれていた
去年も雨だったな。 厚い雲に覆われた空を見上げて思う。 軽音部でドラムを叩いている長男が、部活としてではなくバンドとして応募した選手権の予選を通過した。本選は繁華街のど真ん中にある公園に特設ステージが設置され、開放的な屋外で演奏できる上に本格的な動画撮影もあり、いつもの大会とは違う盛り上がりをみせていた。 昨年度も長男達はこの選手権に出場している。こんな機会は無いと、私は心躍らせながらカメラを持って向かった。駅を降りてからポツポツと降り出した雨は、会場に着く頃にはザーザ
「先生、違う小学校に行っちゃうんだって」 4月に入ってすぐ、三男が寂しそうに報告してくれた。 「そっか、残念やね」 「うん…」 4年生の時に担任だった先生が他校へ移動となった。我が家は新聞をとっていないので3月末の発表を知らず、三男は部活でその事を友達から聞いて、表情を曇らせて帰ってきた。 「行ってほしくなかった」 「そうだね」 バスケ選手になるのが夢だったという先生は、背も高くスポーツ万能、細身のスーツをパリッと着こなして真顔で冗談を言い、子供達を盛り上げるの
うちの次男は繊細で人見知り、細身で色白で薄口醤油より薄い顔をして、クラスでも目立つ行動は一切しない、今ゆる「真面目だけど存在感の無い子」だと思っていたのだけど、どうやら私の認識とはちょっと違っていたらしい。 それは先月、公立高校の合格発表日のこと。 前日、私は夢を見た。 ダイニングテーブルに次男と並んで座り、慎重に受験番号を入力し、顔を寄せ合って合否を確認する…という場面で目が覚める。それを3回繰り返した。 「どっちやねん」 夢は夢でありながらも、3回も見ると腹が立っ
今年初め、長男の軽音部最後の大会があった。 長男がドラムを叩いているバンドは、夏に行われた県大会とコンテスト地区大会の両方に出場し、地区大会の方で4位に入賞した。それはメンバーにとって嬉しくはあるけれど、でもちょっと悔しい結果だった。そして「次こそは!」と勢いに乗ったまま文化祭を終えて最後の大会の曲を決めたあと、彼らは急に立ち止まった。 「みんなさぁ、県外の大学を目指すんだって」 高2秋ともなれば教室の中は一気に受験モードに切り替わる。自由過ぎる校風で驚かされることも多
「実家を売ってもいいかって」 電話を終えた夫が告げた一言で、私は相手が誰かを悟った。 「好きにしてくれたらいいのに」 そんな言葉を漏らすと、夫は少し眉を下げて「なんでですかね?って聞かれたよ」と言う。 「なんでって言われても…」 深いため息を吐きながら、その理由を私が知りたいと思う。 姉からの連絡を一方的に遮断してから一年半が経つ。何故だと聞かれても、姉を納得させられる理由が見当たらない。ただ「もう無理だ」と思ってしまった、それだけに過ぎない。それなのに、どこが「無理」なの
ある夜、中3次男が真っ白いリビングの壁にピッタリと額と鼻先をくっつけて独りごちた。 「はぁ、勉強したくない…」 それは冬期講習と正月講座で冬休みの大半をテキストに埋もれて過ごし、ようやく幾許かの休息を取ったあとの午後11時過ぎ、「早く終わってくれんかな…」と壁に向かって呟くまぁまぁヤバイ次男を、私は真横から眺めながらどうしても、 『反省ザルにしか見えん』 と思ってしまって、なんならウキャウキャと笑ってしまって、親としては非常に最低だなと今となっては思うのだけど、 「
「サンタさんって、どこから入ってくるの?」 クリスマスを間近に控えた12月下旬、煙突がない家に住む多くの子供がふと思うこの疑問に、世の親御さん達はどのように答えているのだろうか? 息子達が小さいうちはそれこそ夢を壊さないように「サンタさんが入ってこれるように窓の鍵を開けておくね」と優しく諭したものだけど、成長とともに「泥棒さんが入ってきちゃうよ」と別の心配をし始めた心優しい彼らに対して、 「サンタは実は透明人間だ」 「通り抜けフープを持っている」 「空からプレゼントを投
「これは、ちょっと、今すぐサインはできないんですが…」 目の前に置かれた願書を凝視しながら、私は苦笑いした。これぐらい当然ですよ!と言わんばかりにガンガンにぶち込まれた講座は、我が家にとってはあまりにも高額だというのに、一通りの説明を受けた後にこれまた当然のように、 「さぁ、長男くん。ここにサインしよっか!」 と、長男に願書を向けて誓約書の生徒指名欄に署名を促した校長に、私は今すぐ厳島神社の大鳥居にタッチできるくらいの勢いで引いたし、「えっ、いやぁ…」と椅子に仰け反って
「自分って探すものなの?」 そう聞き返された時、私は言葉に詰まった。それまでに並べ立てられていた薄っぺらい言葉はポロポロと剥がれ落ち、足元にふわりと落ちて雪みたく溶けて消えた。 20数年前、私は病院の総務課で医局秘書として働いていた。地域の中核病院として診療や入院、24時間救急を行なっている民間病院の医局は、常勤医師15人足らず、非常勤医師を入れても30人に満たない人数で、医局秘書といっても堅い雰囲気はなく、どちらかというと『お手伝いさん』的な感じで、先生の身の回りのお世
3年振りに小学校の運動会が開催された。 低学年、中学年、高学年の三部に分けられた運動会は、保護者の参観は2名まで、競技も徒競走と演技の2種目のみで、土曜日であることを除けば去年行われた体育参観日と内容はほぼ変わらない。 入場門も退場門も、玉入れも騎馬戦も、大縄跳びも大玉転がしも、そして一番盛り上がる赤白学年対抗リレーもない運動会は、やっぱり少し寂しく感じる。 しかし校舎の窓に貼られたスローガンや、その窓からひょこひょこと顔を出して運動場を覗き込む子供達の丸い顔は、どれも
「にいちゃんの学校、楽しみ!」 先月、三男を連れて長男の高校の文化祭へ行ってきた。「軽音部に入りたい!」「制服が嫌!」「自由な学校がいい!」と言い続け、受かるかどうかは当日点次第、もうほとんど博打やんけという状態で受験したこの高校に入学して一年半。やたらと行事が多く、七夕には浴衣で登校し、ハロウィンでは仮装する生徒が多数いる学校の文化祭というものを、私は見たくて見たくて仕方なかったのだけど、去年は例のアイツが落ち着かず一般公開は中止。しかし今年は家族2名まで入場可能の決定に
ドラムのレッスンに向かう途中、後部座席から長男が話しかけてきた。 「冬の大会の曲、決まったよ」 軽音部でバンドを組んでいる高2長男は、先月行われた夏の県大会と地区大会の本選に出場した。県大会では賞は取れなかったが、地区大会の方は4位に入賞し、前回大会で本選出場することができなかった悔しさを晴らした結果に満足しているようだった。 大会後は文化祭の準備に明け暮れ、前夜祭のトップバッターという大役を務めたあと、彼らはもう冬の大会に向けての曲決めを行っていた。 「Superf
「準備したら、三男を迎えに行ってくるね」 夕方、学校から帰ってきておやつを食べている次男に声を掛けてから洗面所に向かった。化粧を軽く直して、緩くS字に曲がった癖毛にドライヤーをあてる。湿気を含んだ髪はなかなか真っ直ぐにはならず、溜め息が漏れる。 すると、ドライヤーの音に混ざって歌声が聞こえてきた。 「今日だって 笑う笑う…」 リビングでつけっぱなしになっていたスピーカーから流れている曲に合わせて、次男が歌っていた。 「愛をひとつ またねまたね…」 掠れた声。 ド