nagomi

写真を撮ることが好きな三兄弟(予備校生、高2、小6)の母です。 子育てを中心に、日常あ…

nagomi

写真を撮ることが好きな三兄弟(予備校生、高2、小6)の母です。 子育てを中心に、日常あったことや思ったこと、たまに昔の自分について吐き出しています。

マガジン

  • ドラムスコ応援日記

    軽音部でドラムを叩いている息子を全力で応援したい母の日記です。普通の高校生で素行は悪くありません。

  • 三男のこと

    書字障害の三男についての記事を、判明する前からまとめています。 私の心配とは裏腹に、底抜けに明るく、何気ない言葉からハッとする気付きを与えてくれる三男です。

  • 記憶の引出し

    機能不全家族だった我が家の記録です。書いて吐き出すことで自分の感情が整理できていければいいなと思っています。

  • そういえば、私は乳がんだった

    38歳で乳がんになった時の話です。今は普通の生活ができていて、乳がんだった事を忘れそうになっているので、noteに記録していこうと思います。当時の記憶を辿りつつ、不定期にてゆるーく更新します。

記事一覧

固定された記事

毎日お弁当

お弁当を作っている。毎朝作っている。 それは別に特別なことではないと思う。自分や家族のために、毎朝お弁当を作っている人はたくさんいるだろう。ましてやうちには義務…

nagomi
10か月前
117

毎日お弁当の続き

お弁当を作っていた。毎朝作っていた。 それはうちには男子高校生が2人と、ミニバスの試合で週末がほぼ埋まる小学生が1人がいて、平日だろうが休日だろうが関係ない男子…

nagomi
1か月前
45

18歳になった君は、校庭の真ん中でドラムを叩いていた

高3長男が通う高校は行事が多い。めちゃめちゃ多い。 特に9月はあらゆる行事をまとめて一週間で行うスペシャルウィークがあって、前夜祭から始まり、体育祭、分科会、討…

nagomi
6か月前
67

アカツキに憧れて

アカツキジャパンがパリ五輪出場権を獲得した翌日、私は観客席でカメラを握りしめたまま、祈っていた。 残り14.2秒。 タイムアウトでベンチに戻った選手達に、コーチか…

nagomi
7か月前
48

バスケ3兄弟

「ほんまに?」 「うん、行く」 ようやく夏休みのゴールが見えてきたお盆過ぎ、私は高3長男の言葉に目を丸めた。それは長く暑い夏の間、毎週バスケの自主練をしている小…

nagomi
8か月前
62

心が大丈夫になる、その日まで。

CMから流れてきた曲にハッとする。 Chara「やさしい気持ち」のカバーだった。CMにはChara本人も出演しているのに気付き、画面に釘付けになる。ママ役ではあるけれど、いつ…

nagomi
9か月前
61

小さく前向きな日々

うちの次男は存在感が薄い。 見た目も薄い醤油顔で、透き通るような白い肌に細身の体型、高校生になった今でも髭は産毛程度しか生えてこず、つぶらな瞳に標準的な鼻と口が…

nagomi
9か月前
57

そんな天気も悪くない

小5三男は理科の授業で天気について勉強している。 ある日、宿題と一緒にペロッと出してきたプリントを見ると、『天気について考えよう。』という内容で、『晴れ』『くも…

nagomi
11か月前
68

ラストステージ

去年も雨だったな。 厚い雲に覆われた空を見上げて思う。 軽音部でドラムを叩いている長男が、部活としてではなくバンドとして応募した選手権の予選を通過した。本選は繁…

nagomi
1年前
81

先生に教えてもらったこと

「先生、違う小学校に行っちゃうんだって」 4月に入ってすぐ、三男が寂しそうに報告してくれた。 「そっか、残念やね」 「うん…」 4年生の時に担任だった先生が他校…

nagomi
1年前
59

感情の宝石箱

うちの次男は繊細で人見知り、細身で色白で薄口醤油より薄い顔をして、クラスでも目立つ行動は一切しない、今ゆる「真面目だけど存在感の無い子」だと思っていたのだけど、…

nagomi
1年前
65

17歳の心は忙しい

今年初め、長男の軽音部最後の大会があった。 長男がドラムを叩いているバンドは、夏に行われた県大会とコンテスト地区大会の両方に出場し、地区大会の方で4位に入賞した…

nagomi
1年前
82

かつて子供だった私達は、大人になっても見えない檻の中で過ごしている

「実家を売ってもいいかって」 電話を終えた夫が告げた一言で、私は相手が誰かを悟った。 「好きにしてくれたらいいのに」 そんな言葉を漏らすと、夫は少し眉を下げて「な…

nagomi
1年前
49

甘塩っぱいケーキ

ある夜、中3次男が真っ白いリビングの壁にピッタリと額と鼻先をくっつけて独りごちた。 「はぁ、勉強したくない…」 それは冬期講習と正月講座で冬休みの大半をテキスト…

nagomi
1年前
67

サンタがいるのなら、私は彼らに会いたいと願う

「サンタさんって、どこから入ってくるの?」 クリスマスを間近に控えた12月下旬、煙突がない家に住む多くの子供がふと思うこの疑問に、世の親御さん達はどのように答え…

nagomi
1年前
70

君たちは時間をどう使うか

「これは、ちょっと、今すぐサインはできないんですが…」 目の前に置かれた願書を凝視しながら、私は苦笑いした。これぐらい当然ですよ!と言わんばかりにガンガンにぶち…

nagomi
1年前
77
毎日お弁当

毎日お弁当

お弁当を作っている。毎朝作っている。

それは別に特別なことではないと思う。自分や家族のために、毎朝お弁当を作っている人はたくさんいるだろう。ましてやうちには義務教育を終了した男子高校生が二人いて、それは腹が減ると極端に機嫌が悪くなって周りに当たり散らす長男と、あまり食に興味がなく、放っておくと一日一食で済ませる2Hの鉛筆以上に線が細い次男という、同じ血が通っているとは思えない対称的な二人なのだけ

もっとみる
毎日お弁当の続き

毎日お弁当の続き

お弁当を作っていた。毎朝作っていた。

それはうちには男子高校生が2人と、ミニバスの試合で週末がほぼ埋まる小学生が1人がいて、平日だろうが休日だろうが関係ない男子達の腹を満たす為、あと10分寝たい身体に鞭を打ってベットから起き上がり、玉子を割る音で夢の世界から召喚され、ソーセージを焼く頃には「あかん、間に合わんやないか!」と正気に戻るという、決して誇れない朝のルーティーンではあるのだけど、それでも

もっとみる
18歳になった君は、校庭の真ん中でドラムを叩いていた

18歳になった君は、校庭の真ん中でドラムを叩いていた

高3長男が通う高校は行事が多い。めちゃめちゃ多い。
特に9月はあらゆる行事をまとめて一週間で行うスペシャルウィークがあって、前夜祭から始まり、体育祭、分科会、討論会、文化祭、後夜祭と続く6日間、生徒達は勉強のことなど忘れて全力で青春を楽しむ。

そして軽音部でドラムを叩いている秋生まれの長男は、去年、17歳の誕生日に前夜祭のステージに立った。それは生徒会の審査を通過した限られたバンドしか出場できな

もっとみる
アカツキに憧れて

アカツキに憧れて

アカツキジャパンがパリ五輪出場権を獲得した翌日、私は観客席でカメラを握りしめたまま、祈っていた。

残り14.2秒。
タイムアウトでベンチに戻った選手達に、コーチからの檄が飛ぶ。

「守るぞ!!」

33−32
リードは1点。
ボールは相手チームが持っている。

守りきれるだろうか。

シートが入れば逆転される。
向こうはなりふり構わずゴールを目指してくるだろう。こちらも必死で守る。しかしファウル

もっとみる
バスケ3兄弟

バスケ3兄弟

「ほんまに?」
「うん、行く」

ようやく夏休みのゴールが見えてきたお盆過ぎ、私は高3長男の言葉に目を丸めた。それは長く暑い夏の間、毎週バスケの自主練をしている小5三男と、その練習に「お前も付き合えや」と半ば強制的に参加させている高1次男が市民体育館に行く日で、少し前から「たまにはバスケしたいな…」と呟いていた長男が、「今週、僕も行くわ」と言って私を驚かせた。

そもそもこの自主練は、ミニバスのク

もっとみる
心が大丈夫になる、その日まで。

心が大丈夫になる、その日まで。

CMから流れてきた曲にハッとする。

Chara「やさしい気持ち」のカバーだった。CMにはChara本人も出演しているのに気付き、画面に釘付けになる。ママ役ではあるけれど、いつまでも変わらない横顔が素敵だ。

何度、この曲を聴いたことか。

「やさしい気持ち」だけじゃない。「ミルク」も「タイムマシーン」もCDが擦り切れるほどに聴いた。他のどのアルバムよりも、私はこの3曲が収録されている「Junio

もっとみる
小さく前向きな日々

小さく前向きな日々

うちの次男は存在感が薄い。

見た目も薄い醤油顔で、透き通るような白い肌に細身の体型、高校生になった今でも髭は産毛程度しか生えてこず、つぶらな瞳に標準的な鼻と口がついたありふれた顔は、親の私であっても人混みの中で探すのは至難の業だ。

家ではほぼ自室で過ごし、長期休暇になると初日から昼夜逆転生活を送るので、不意に三男が階段で出くわすと「うわ!ビビった!!」と驚かれ、長男からは「あいつ生きてるん?」

もっとみる
そんな天気も悪くない

そんな天気も悪くない

小5三男は理科の授業で天気について勉強している。

ある日、宿題と一緒にペロッと出してきたプリントを見ると、『天気について考えよう。』という内容で、『晴れ』『くもり』『雨』『雪』について、三男なりの説明が書かれていた。

晴れ ⇨ たいようがぴかぴかのとき
くもり ⇨ たいようがみえないとき
雪 ⇨ あめがすごくつめたくなってくもがしろいからそこをとおってゆきになる

なかなかの説明だ。晴

もっとみる
ラストステージ

ラストステージ

去年も雨だったな。

厚い雲に覆われた空を見上げて思う。

軽音部でドラムを叩いている長男が、部活としてではなくバンドとして応募した選手権の予選を通過した。本選は繁華街のど真ん中にある公園に特設ステージが設置され、開放的な屋外で演奏できる上に本格的な動画撮影もあり、いつもの大会とは違う盛り上がりをみせていた。

昨年度も長男達はこの選手権に出場している。こんな機会は無いと、私は心躍らせながらカメラ

もっとみる
先生に教えてもらったこと

先生に教えてもらったこと

「先生、違う小学校に行っちゃうんだって」

4月に入ってすぐ、三男が寂しそうに報告してくれた。

「そっか、残念やね」

「うん…」

4年生の時に担任だった先生が他校へ移動となった。我が家は新聞をとっていないので3月末の発表を知らず、三男は部活でその事を友達から聞いて、表情を曇らせて帰ってきた。

「行ってほしくなかった」

「そうだね」

バスケ選手になるのが夢だったという先生は、背も高くスポ

もっとみる
感情の宝石箱

感情の宝石箱

うちの次男は繊細で人見知り、細身で色白で薄口醤油より薄い顔をして、クラスでも目立つ行動は一切しない、今ゆる「真面目だけど存在感の無い子」だと思っていたのだけど、どうやら私の認識とはちょっと違っていたらしい。

それは先月、公立高校の合格発表日のこと。

前日、私は夢を見た。
ダイニングテーブルに次男と並んで座り、慎重に受験番号を入力し、顔を寄せ合って合否を確認する…という場面で目が覚める。それを3

もっとみる
17歳の心は忙しい

17歳の心は忙しい

今年初め、長男の軽音部最後の大会があった。

長男がドラムを叩いているバンドは、夏に行われた県大会とコンテスト地区大会の両方に出場し、地区大会の方で4位に入賞した。それはメンバーにとって嬉しくはあるけれど、でもちょっと悔しい結果だった。そして「次こそは!」と勢いに乗ったまま文化祭を終えて最後の大会の曲を決めたあと、彼らは急に立ち止まった。

「みんなさぁ、県外の大学を目指すんだって」

高2秋とも

もっとみる
かつて子供だった私達は、大人になっても見えない檻の中で過ごしている

かつて子供だった私達は、大人になっても見えない檻の中で過ごしている

「実家を売ってもいいかって」
電話を終えた夫が告げた一言で、私は相手が誰かを悟った。
「好きにしてくれたらいいのに」
そんな言葉を漏らすと、夫は少し眉を下げて「なんでですかね?って聞かれたよ」と言う。
「なんでって言われても…」
深いため息を吐きながら、その理由を私が知りたいと思う。

姉からの連絡を一方的に遮断してから一年半が経つ。何故だと聞かれても、姉を納得させられる理由が見当たらない。ただ「

もっとみる
甘塩っぱいケーキ

甘塩っぱいケーキ

ある夜、中3次男が真っ白いリビングの壁にピッタリと額と鼻先をくっつけて独りごちた。

「はぁ、勉強したくない…」

それは冬期講習と正月講座で冬休みの大半をテキストに埋もれて過ごし、ようやく幾許かの休息を取ったあとの午後11時過ぎ、「早く終わってくれんかな…」と壁に向かって呟くまぁまぁヤバイ次男を、私は真横から眺めながらどうしても、

『反省ザルにしか見えん』

と思ってしまって、なんならウキャウ

もっとみる
サンタがいるのなら、私は彼らに会いたいと願う

サンタがいるのなら、私は彼らに会いたいと願う

「サンタさんって、どこから入ってくるの?」

クリスマスを間近に控えた12月下旬、煙突がない家に住む多くの子供がふと思うこの疑問に、世の親御さん達はどのように答えているのだろうか?

息子達が小さいうちはそれこそ夢を壊さないように「サンタさんが入ってこれるように窓の鍵を開けておくね」と優しく諭したものだけど、成長とともに「泥棒さんが入ってきちゃうよ」と別の心配をし始めた心優しい彼らに対して、

もっとみる
君たちは時間をどう使うか

君たちは時間をどう使うか

「これは、ちょっと、今すぐサインはできないんですが…」

目の前に置かれた願書を凝視しながら、私は苦笑いした。これぐらい当然ですよ!と言わんばかりにガンガンにぶち込まれた講座は、我が家にとってはあまりにも高額だというのに、一通りの説明を受けた後にこれまた当然のように、

「さぁ、長男くん。ここにサインしよっか!」

と、長男に願書を向けて誓約書の生徒指名欄に署名を促した校長に、私は今すぐ厳島神社の

もっとみる