森の前

適当になにか書きます。大学三年生。 ライトノベルから海外文学まで読みます。日本の一般文…

森の前

適当になにか書きます。大学三年生。 ライトノベルから海外文学まで読みます。日本の一般文芸はあまり。読書量はまだ少ない。

最近の記事

憂鬱とシャワーと気持ち悪さ

二十歳であるところの僕が最近よく考えるテーマは交友関係について。たぶん大学でより良い友達を持った人なんかはあまり考えることもないのだろうけど、僕のようなボッチ気質にとっては深い闇が横たわるテーマであり一生の課題だ。 まず、交友関係について考えるきっかけとなったのは成人式だった。上で述べた通り僕はぼっち気質であり、参加を見送ることも当然考えたのだが親の熱苦しい説得を受け渋々出席することにした。中学の連中は小学校からの顔見知りがほとんどで普通に誰とでも会話はできたからそこまで苦

    • 夜と鈴虫

      レースカーテンから差し込む外灯の光がぼんやりと天井を照らし出す。真夜中にも関わらず室内は決まって薄暗いと真っ暗の中間を保ち続けていた。まどろみはまだ来そうにない。天井との距離感が乱れそのたびに圧迫感を覚えるのだ。フォトンの振動が心臓の鼓動が虹彩の揺らめきが世界を震わせる。そこで目を瞑り深い闇に身を落とそうとすれば今度は鈴虫の鳴き声が一層感じられる。聴覚に神経を尖らせる気など微塵もないというのに、視覚を遮断しようとすれば自ずとそうなるらしいのだ。鈴虫も鈴虫で一向に泣き止むことを

      • 台風と精神

        今日こそは晴れを! という僕の切実な願いも虚しく、夏の終わりを告げるような曇天が相変わらず広がっていた。聞けば、どこか南の方で台風が発生したらしい。また荒波に揉まれて救難信号をだした外国籍船がいたとか。 僕の住んでいる地域は東北であるから曇り空であることと台風の発生の因果性について知るところでないが、どうしても両者を結びつけて考えたくなってしまう。夏を追いやろうとしているのはまさしく台風なのだと。距離だとか日本を覆っている雲の動きだとかは関係なく、事実季節は堂々と巡るのだか

        • 日記 夏、終わるんですか

          一昨日ほどだろうか。いつもなら目が覚めてぼんやりと窓の方に目を向けると深緑の影を落とす街路樹が高々とあるのだが、この日ばかりは違った。夏の青空だったものがのっぺりとした雲に覆われていたのだ。梅雨が明けてからというもの祝福を受けたように連日、陽光が降り注いでいたから少し意外だった。それこそずっと夏の日照りが続くのではないかと思わされるほどだったのだ。 僕は曇天の空を仰いて少し寂しく感じた。エアコンをつけずとも快適な日は、夏に限り貴重でそれでいて少し退屈だ。夏の暑さも僕の気力を

        憂鬱とシャワーと気持ち悪さ

          きざはし

          人の発明品のなかで一番好きなのは階段だ。 僕は今、四方を空と雲とに囲まれて上へ上へと歩いている。天に突き立つ尖塔を僕はぐんぐんと追い抜いていった。 涼し気なブルーが語りかける。ふと下を見てみれば僕はずいぶんと高いところに立っていた。足元は透けていて縮尺された街がそこにはある。そのミニチュアサイズが僕の足を歪ませ空に立たせているのだった。街と僕とは互いに引き合い、離れ合う。 僕は歩みを止めず階段を登る。どこまで続いているのか見通すこともできないこの透明階段を僕は踏みしめる

          きざはし

          短編 生きた理由 (約8500字)

          「うわああああああああああああ」 音のした方を振り向くと一人の若者がこちらを見て立ち尽くしていた。なにやら怯えているようだった。生まれたての小鹿のように足をわなわなと震わせついには尻もちをついた。俺はもう少し脅かしてやろうと思い、彼の前に歩み出る。ズシン、と大地が響いたようで愉快だった。若者はいっそう血の気を引いたことだろう。重心を支えていた手で無意味にぴしゃぴしゃと水を掻く。蟻ほどの後退。どうやらまともに逃げることすらできないらしい。身の危険を感じるほどの恐怖に体をすくめ

          短編 生きた理由 (約8500字)

          みんなやってそうな些細な習慣

          習慣にしていることを訊かれたとき、ぱっと出てこなかった。なにか意識して、毎日これやってます! と堂々と言えるものがあればよかったのだが、そんなものはなかなかない。そうして頭を悩ませて夜の散歩に出かけたらすぐに閃いた。習慣はわざわざ見つけるのも大変らしい。 チャリン。それは小銭を指先から落としたときの音だった。僕の習慣は、コンビニで会計して受け取った数十円にも満たない端金を募金箱に入れることだ。 本当に独自性のない些細な習慣だと思う。しかし同時に、これをやるかやらないかでど

          みんなやってそうな些細な習慣

          雑記:最近のラノベ作品を読んで思うこと

          最近のラノベ作品とひとつにまとめるとなんだか怒られてしまいそうだが、僕はただ読んでて思ったことを綴りたいだけなので許してほしい。 まず、最近のラノベと対となる昔のラノベについての見解を述べるが、これに関しては大方同意だと思う。なんたって昔のラノベは萌えを全面的に押し出した小説が主流だったからだ。赤髪のツンデレ娘に代表される、いわゆる記号が多くの読者の心を掴み、今では古典として祭り上げられている。 一方の現代ラノベはどうかというとそのような古臭さを捨て去り、他の面で魅せる小

          雑記:最近のラノベ作品を読んで思うこと

          社会不適合者の作り方

          この人とは価値観が違うなぁと思うことが多くなった。価値観が違うからいっしょに楽しめない、そう思って少し悲しくなることが多くなった。 中学高校のときはまだよかった。教師の言われた通りに動けばよかったからたぶん級友同士の価値観の違いなんてものはあったとしてもなんら問題でなかった。むしろふーんそうなんだぁくらいの会話の種だったかもしれない。 時には、教師との価値観の違いにぶつかることはあった。なんせ田舎の学校だったから考え方もすこし古臭い。いわゆる文武両道の精神というやつだ。部

          社会不適合者の作り方

          深夜特急4を読んだ

          昨日に引き続き深夜特急を読んだ。 3のインド、ネパール編ではその過酷さに息をのんだものだが、今回はパキスタン、ウズベキスタン、イラン編ということで文化の違いはあれどようやく私たちの生活水準に近づいてきたのを感じ、また違ったおもしろさがあった。 今回はインド人のようななにがなんでも生きるという肉薄した意志を感じさせないゆったりとした面持ちの人々との出会いが多かった気がする。国境からいっしょにバスに乗ったヨーロッパ出身の旅行者たちも含めて。インド人ほど切迫していないが、それで

          深夜特急4を読んだ

          深夜特急3を読んだ

          朝、起きてからずっとなろうでライトノベルを読み耽っていた。エアコンをきったりつけたりをなんども繰り返し、それでもますます暑さが増してきた昼下がり、電子で疲れた目をこすりながら深夜特急3巻をそっと手に取った。 深夜特急シリーズを読むのは実に半年ぶりでいまいち楽しめる自信が湧かなかった。2巻のようにそこまでおもしろくなかったらと考えてしまってのことだ。 それでもなぜ急に読む気が起きたかと言えば、偶然出会ってしまったからに他ならない。3巻を買ったのはつい先日のことだった。なんだ

          深夜特急3を読んだ

          雑記:パーソナルリアリティ

          本日の雑記のテーマ「パーソナルリアリティ」 人生設計という言葉がある。何歳には結婚してその数年後にはこうなって~とその名の通り自分の人生を設計することだ。言わずもがそれはただの妄想に過ぎず、実際に実現されることなんてまずない。それでもなぜそのような一見無意味に響く人生設計をするかと言えば、楽しいからに他ならないだろう。自分が将来こうなっていたらという可能性はさらなる無限の可能性を生み、そこからさらなる可能性の鎖が伸びる。無限の可能性が自らに秘めていると気づけば今を生きるのが

          雑記:パーソナルリアリティ

          やはり日陰がいい 散歩~仙台城跡周辺~

          最後のレポートを終え、夏休みが始まった。課題の内容は四元数を複素行列表示するといったものだったか。それなりに苦戦を強いられたが、無事期限の17時までに証明を完遂でき、充実感はあった。やっと夏休みだ!と心の底から思った。 今年の授業は、例年より約一か月遅れで開講した。慣れないオンライン授業に少し戸惑いながらも月日は関係なしに進み、もう夏だというのだから早いものだ。そして、ギャップがあることに気づく。やっと夏休みだという思いともう夏かという思いだ。後者はいろいろな焦りだったりを

          やはり日陰がいい 散歩~仙台城跡周辺~

          ARIA 「ヒーリングアニメ」ということ

          ARIAというアニメがある。水で覆われた惑星AQUA、そのネオヴェネツィアで紡がれる、一人前の観光案内人を目指す少女たちの日常を描いた作品だ。よくヒーリングアニメと謳われる本作だが、その人気は計り知れない。原作は天野こずえ先生による漫画ですでに完結して久しいが、新劇場版の制作が発表されSNSで話題沸騰となった。アニメ一期は2005年、2006年にアニメ二期、2008年にアニメ三期が各放送。2015年には数年後の世界として新キャラクター三人を主軸にアニメが制作された。ここまで愛

          ARIA 「ヒーリングアニメ」ということ

          聖剣学院の魔剣使い 感想

          聖剣学院の魔剣使い1~4巻を読了したので感想を綴ろうと思います。初めに断っておきますが私は作者である志瑞先生の前作「精霊使いの剣舞」を愛読していました。私は先生のれっきとしたファンというわけです。なので、そういう視点からの感想、ということになります! まず、ラノベの顔となる第一巻についてですが、私はおもしろかった!と思いました。理由はいくつかありますが、私個人として一番大きく感じたのは文章力でしょうか。霊廟から脱出し砂漠を駆け、戦術都市が海上に姿を現す。あのシーンはとても印

          聖剣学院の魔剣使い 感想

          魔王学院の不適合者 ラノベ感想

          今季絶賛放送中のアニメ、魔王学院の不適合者第一話は四回くらい見た。晴れ晴れしいほどの俺TUEEEEEEEEEEEに私の心は踊るに踊り、即刻、原作のライトノベルをkindleで購入し読み耽った。そこで今回、軽く感想を綴ろうかなと思う。ちなみに小説は二巻か三巻から読んだと思う。なんと、誤って漫画版を購入してしまったためだ。(密林で検索をかけると小説、漫画が混ざってでてくるためややこしいのです......)そのため小説一巻の出来については私の知るところでないし、ついでなので一巻に該

          魔王学院の不適合者 ラノベ感想