那智暴虐の連珠石

競技化された五目並べ、連珠についての記事を書きます。主に局面というよりは自分の感じたこ…

那智暴虐の連珠石

競技化された五目並べ、連珠についての記事を書きます。主に局面というよりは自分の感じたことなど。

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最近の記事

ソフトとの向き合い方~連珠世界選手権AT 芦海ー神谷戦から考える~

世界選手権についての文章を書くにあたってなにがいいかなぁと思っていた。個人的な感想をばばーっと書くという手もあったが棋譜を見返していて興味深いことがあったのでそちらを先に記す。 ※非常に専門的な話をします。 ※検討には基本的にKatagoを用いています。ソフトというのはこれを指します 今年は遊星が多かった。その背景としては局面的な優位性もあるだろうが、一番は中国の選手が多数出場してくるという見方が強かったためだろうと思う。冒頭に専門的な話をすると記載したので遠慮なく書いてい

    • ノーマル寒星の歴史を振り返る②

      この記事では、主にソフト時代黎明期からのノマ寒を追っていく。記事を読む際の注意事項等は①に記したので、未読の方は先に参照してほしい。 ①現代ノマ寒の基本図 白12までが基本図。ここに到るまでにも検討の余地のある変化は非常に多い(白6で変化、白10で変化など)が、黒が最善の応対をした場合成立しないことがわかっている。一つ一つ取り上げていくとキリがないのでここでは言及しないが、大雑把な結論でいいのであればKatagoを使えばあまり時間を要さず辿り着けると思うので、興味があれば

      • ノーマル寒星四題の歴史を振り返る

        テーマ図が、いわゆるノーマル寒星四題と言われる戦型である。(以下ノマ寒)今回自分で復習するにあたって、いちいち見直すのが大変だと思ったので記事を書くことにした。ソーソロフ8では恒星からも出現するが、この形が脚光を浴び始めた2012年頃では寒星からがメインであったためこう呼ばれるのだと思う。今回は、戦型の善悪はもとよりその変遷を私なりに追っていきたい。一応公式戦の棋譜を参考のもと私の記憶に基づいて書いていく。正確性をより求めるのであれば、本来なら当時トップレベルプレイヤー間の研

        • 名人戦第三局、第四局~勝負の場に居続けるということ~

          先月の敗戦は私にとって自分を見つめ直す良い機会になった。連珠の内容としてはポカなのだが、精神的にもう少し根深いものを感じ取らざるをえない。 自分はいま名人戦の挑戦手合を打っている。何のために打っているのだろうか。それはタイトルを争っているのだから言うまでもなくタイトルのためである。勝てばハッピー、負ければそれまでのことは全て水疱に帰すというわけだ・・・という考えが強かった。実際、これは事象としてはほぼ間違いのないことだろう。「負ければ全部水の泡」という部分こそ自分の勝負に対す

        ソフトとの向き合い方~連珠世界選手権AT 芦海ー神谷戦から考える~

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        • 対局反省
          1本
        • 私的連珠ニュース
          1本

        記事

          水面下の研究

          結構専門的な話になってしまいます。 「水面下の研究」ということばがある。連珠で言うと、表舞台(この場合は現実の公式戦)に出てくることはないけれどいつの間にかその筋の多くの人たちによって暗黙の了解となっている研究局面の数々のことを指す。先日の挑戦手合い2局はその一例で、前例だけを見ているとあたかも突然あの局面が出現したかのように思われるが、実際には出現に至るまで流れがあり、その筋の人的には「まあいつか誰かが公式戦でやるよね」という局面として認知されていて大きな驚きはなかった。水

          名人戦とか

          忘れないうちに感想を書いておきます。 今回の対局は対外的には若手同士という意味合いが大きかろうが、個人的な話としてソフト環境、いわゆるkatago環境に本格的に入ってからの勝負という緊張感が優った。今までの連珠からすると本当に変わったなぁとしみじみと感じていた。このあたりの事情の違いを記していくと別の記事になってしまうのでまた後日。 相手の話を少ししよう。神谷くんは国内のプレイヤーの中でも環境の変化に順応するのが昔から物凄く速い。近年ではルールがソーソロフ8に変わったという

          対局反省ー2022/3/19

          昨日のある一局から。(棋譜だけ見たい方は最後にあります) 私の白番。局面の形勢自体はこちらやや良しくらいが当時の判断。黒23が広い下辺に投じる筋良しの手で、Aの飛び四を念頭に黒B以下「暫定追い詰め」を睨んでいる。こういうのに白もDなどから真正面についていくと、向こうから無限に攻めが降り注いできて大変なので基本的には反発か手抜きが本線。第一感は白Cの反発だったが、以下黒Dのときに面倒くさそうだなぁと思った。そこで暫定追い詰めを精査することにした。 「暫定追い詰め」とは正式な

          対局反省ー2022/3/19

          2022年1月私的連珠ニュース

          個人的に重要度が高いと感じた連珠界隈のニュースを独断と偏見を元に月一回程度のペースで紹介したいと思います。なお今回は初回ゆえ、今月以前のものも含んでいるかもしれません。筆者が載せていいかわからなかったものは載せていません。 ○Embryo2022リリース連珠対局ソフトEmbryoの最新バージョンがリリースされています。近頃はバグ修正等がメインのアップデートですが、初期版Embryoとの違いとして、マルチスレッド対応が近年公開されるようになりました。これにより、研究が飛躍的に

          2022年1月私的連珠ニュース

          第59期連珠名人戦リーグ振り返り~自分の掌握できる範囲は極めて小さい~

          第59期連珠名人戦リーグは7勝2分で終了し、挑戦権を獲得した。ご観戦いただいた方々にはどう映ったのかはわからない。私個人としてはこれは望外の結果というほかなかった。 元々本棋戦は2021年9月に行われる予定であり、当時はデルタ株の流行によって延期された。先日行われたこの延期回も、この記事を書いている時点で新型コロナウイルス新規感染者(多分オミクロン株)が物凄い勢いで増加しており、ギリギリ行なわれたという感じだと思う。そういった経緯で、私としては約一年ぶりの現実における実戦だ

          第59期連珠名人戦リーグ振り返り~自分の掌握できる範囲は極めて小さい~

          2021年連珠関連振り返りと2022年に向けて~世界選手権はあるのかないのか?~

          2021年公式戦戦績は17勝1敗でした。出場大会は全てオンラインで、肝心なところで負けてしまったのは悔やまれます。 今年一年は現実のイベントに全く関与しなかった分、オンラインでの活動や海外連珠関連の状況把握に努めていました。大会ではエストニア主導の大会の告知、中国主導のCJSC杯の運営およびプレイヤーとしての参加、台湾とも個別に交流戦を企画したりと、ある意味現実で動いているときより行動の幅は広がったような気がします。 2021年の話はこんなところにして、2022年の話をし

          2021年連珠関連振り返りと2022年に向けて~世界選手権はあるのかないのか?~

          RenjuMindMaster最終戦の反省など

          局面は私の白番で以下。いわゆる瑞星満局定石。 白32での定石は通常33だが、この34までの進行も面白そうだなと感じてずいぶん前から目をつけていた。ただ今の時代にこれをやろうという人は非常に少なく、一生打つことはないだろうとも思っていた。記憶が飛びかけていた今日の日にこの局面にお目にかかるとは、いささか不思議な気分だ。大会としてはこの時点で勝利したほうの優勝、ブレークも私のほうがよかったので普通ならよく知られた定石進行にするところだが、もうしばらくこの局面を見ないかもしれない

          RenjuMindMaster最終戦の反省など

          要素を分解するという自戒

          自分へのメモ用に。 私は長年定石を覚えられないという悩みがある。正確には、一度覚えてもすぐ忘れてしまう。恐らく周囲のイメージでは私は定石に精通しているほうだろう。実際のところ、積読状態の情報が多い。いつでもぐぐれる状態にはなっているが、自分に身についている知識はかなり少ない。リアルトーナメントで打っている方はわかると思うが、自宅のパソコンに多くの研究が入っていたとしても、自分が覚えていなければ現場では何の役にも立たない。このように形成された私の記憶は、全般的にぼんやりとして

          要素を分解するという自戒

          その石たちは生きている

          文章化しようかどうかは迷ったが、自戒の意味を含め残しておきたい。 今月、上海との連珠対抗戦を行なった。8VS8の団体戦で、結果は日本から見て4勝12敗、私個人は0勝2敗と完敗に終わった。新型コロナウイルスが流行し始めてからというもの、私は名人戦関連以外の大会には出場していない。今回の親善試合は公式戦でこそないものの、連珠ではあまりない他国との交流試合ということで公式戦と同等か或いはそれ以上の緊張感があった。普段画面を通して連珠盤を見るとき、こうした緊張はプチ大会でも全くとい

          その石たちは生きている

          名人戦リーグの個人的な話~チャンスはなかなか来ない~

          一局の中で勝てるチャンスというのは実はなかなかない。相手の突然の見落としを加味すればチャンスは増えるわけだが、そういった、明らかにミスだと即断できるものを除いた範囲において局面でいい手を積み重ねて受け無しに追い込めるチャンスは一局に一度もないか、あっても一度くらいという認識だ。このように認識したのは、ソフト検討を深くするようになってからだ。自分では物凄く有利でこれは勝ちになったと思っても、ソフトに読ませると針の穴を通すような精密な受けで潰されてしまう。反対に、これは勝てないだ

          名人戦リーグの個人的な話~チャンスはなかなか来ない~

          名人戦リーグ感想~連珠に時間軸を導入する~

          ツイートもした通り、今期名人戦リーグは7勝1敗1分で優勝し、挑戦権を得た。今回はコロナ禍のなかでの開催ということで、ひとまず無事に終わってほっとしている。大会運営、対局に関わった皆様、応援してくれた方々、ありがとうございました。 さて、連珠のほうではこの期間に最新のソフトがリリースされるという出来事があり、連珠の考え方を一新してしまうほどの強さを誇って一部で話題になった。全体的にはむしろ人間に近づいたという感覚がある。しかし、従来ソフトでは絶対に打てないような手順や、人間で

          名人戦リーグ感想~連珠に時間軸を導入する~

          【告知】playfivenetで大会をします。

          国内では名人戦リーグが近づいているということで、今日からリーグ開始までの毎週土曜日にソーソロフルールの大会を設置しようと考えています。1大会あたり60分~90分ほどで終わることを想定しています。ソーソロフルールでの対局練習に是非ご活用ください。 日時:8/29, 9/5, 9/12 21:00~ 場所:playfivenet(http://www.playfive.net/) ルール:ソーソロフ8 持ち時間など:10分+10秒(フィッシャー)、4回戦 導入:htt

          【告知】playfivenetで大会をします。