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【料理エッセイ】アンドレさんからの手紙2 - 簡単イカスミパスタのレシピ

 先日、アンドレさんから届いた手紙に書いてあった豆乳スープのレシピをnoteでご紹介した。

 お陰様で反響が多く、アンドレさんに電話で報告した。喜んでくれて、新しいレシピを教えてくれた。今度はイカスミパスタ。

 サイゼリヤでなら食べたことがあるけれど、家で作ることができるのかな? 不安を漏らしたところ、冷凍しているものがあるから、とりあえず分けてあげると言ってくれた。

 新宿三丁目の伊勢丹前で待ち合わせた。インバウンドの観光客が行き交う中、わたしたちは「こんにちは」と挨拶を交わし、近くのコメダ珈琲に入った。

「はい。これ、イカスミパスタのやつね」

 席に着くなり、早々、袋の中から出てきたものはカチンコチンのヤリイカだった。てっきり出来上がったソースを頂けるとばかり思っていたので、素直にビックリしてしまう。

「これって、どうやればいいんですか」

「解凍して、中身を抜いて、あとは切って。まあ、やればわかるよ。失敗しても経験になるし、いろいろ試してみてください」

「なるほど」

 心配しているわたしをよそに、アンドレさんは袋からさらにいろいろ出してくれた。

 きゅうりとわかめの酢の物。ポテトサラダ。五目ごはんの具。サツマイモを蒸したやつ。

「ぜんぶ、食べてね。これじゃあ、田舎のおばあちゃんだよね」

 アンドレさんは笑った。わたしも笑った。あと、レシピの書いてあるお手紙もくれた。

「野菜を食べてくださいね。野菜とタンパク質と炭水化物の割合は3:1:1がいいですよ。1日に三十品目を心がけてくださいね。スパイスとか調味料とかをカウントしてもいいですからね。毎回、作るのは大変だから、常備菜があるといいですよ」

 それから、最近見に行ったホックニー展の話だったり、今年亡くなったミュージシャンの話だったり、あれやこれやと楽しく過ごし、じゃあ、そろそろとまとめに入ったとき、鉢植えをひとつ渡された。

「これ、育ててね。植物を育てることは大切なことだからね」

 そんなわけで、うちのベランダに草がやってきた。 

「これ、なんて植物なんですか?」

「わからない。でも、植物はいいもんですよ」 

 従って、名前はまだない。

 さて、帰宅するとヤリイカがすでに溶け始めていた。おしゃべりに花を咲かせ過ぎたかもしれない。なんとなく、再冷凍はよくない気がして、早速、夕飯にイカスミパスタを作ることにした。

 お手紙を開くとこんなレシピが書いてあった。

簡単イカスミパスタ

材料:ヤリイカ、パスタ、にんにく、玉ネギ、オリーブオイル、トマトホール、ビーフコンソメ、白ワイン、パルメザンチーズ、大葉(あれば)

①にんにく、玉ネギ(スライス)、オリーブオイルを炒める。

②ヤリイカを適当に切る。内蔵、スミも使う。①に入れて炒める。

③トマトホール(少)、ビーフコンソメ、白ワインを②に入れて煮込む。

④ディチェコのパスタ(No.10かNo.9)を湯がき、まとめる。

⑤塩、胡椒、パルメザンチーズを入れ、完成!! あれば大葉を添える。

 結局、ヤリイカの下処理はネットで調べ、見よう見まねでやってみた。大葉はなかったので、とりあえず、乾燥パセリを加えた。そして、出来上がったものがこれである!

 間違いなく、美味しかった!

 お店で食べるような真っ黒にならないのはイカ一匹から取れるスミの量が少ないから。イカは捕まえられたとき、スミをけっこう吐いてしまうのだ。そのため、食べた後、口の中が真っ黒になるほど色をつけるなら、別途、ペーストを足す必要があるみたい。

 昼間、野菜を食べるように言われていたので、一応、サラダともらった常備菜も食べてみた。数えてみると、なるほど、スパイスと調味料もカウントすれば、三十品目ぐらいになった。

 アンドレさんの料理は化学的だ。美味しいものは窒素と炭素でできていると言っていた。お店のメニューを考えるとき、できるだけ多くの元素を取り揃えたいと思ったんだとか。

 そんな中、提供している料理にマグネシウムが足りていないと気がついて、前回、教えて頂いた牡蠣の入った豆乳スープを思いついたそうだ。ちなみに、マグネシウムがどのような効果を持っているかはわからないらしい。でも、

「身体にはよさそうでしょ。花火の材料だしね」

 と、言っていた。




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