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神話・伝説 漫画「お仙」白土三平 ★4

2001年 白土三平
神話伝説シリーズ

内容
・首の男〈エスキモー編〉1979年
・羊飼いトリア〈インド編〉1979年
・山女魚(聴耳草紙ききみみぞうしより)1979年
・馬婿〈日本編〉1980年
・狼石(聴耳草紙より)1980年
・お仙〈日本編〉1980年
・赤沼〈日本編〉1980年
・エッセイ 小松和彦「常民の心性への接近」


首の男〈エスキモー編〉

-Story-
ラーナという娘がいた。親は男手が欲しかったが、ラーナは男をつくる気がない。ある時、名前を呼ぶ声がする。頭だけの首の男だった。ラーナはその男に惹かれ、家にこっそり持ち帰った。しかし、ついに見つかってしまい、父はその男の目に棒を突き刺し、海に捨ててしまった。それを知ったラーナはショックを受け、探しに出た。海の中で見つけたが、拒否られてしまい、そこから走り出ると、二つの道があり、ラーナは天の道を行ってしまう。一心不乱で進むと、川と草原に出た。すると船に乗った謎の仮面男が歌を歌いながら近づいてきて、服を盗られ、気づくと船の上にいた。そして集落に連れてこられ、男の家にいろと言われるが、お婆さんの話のままにして、帰ってきた男を退治した。それは月の男だった。月の精の家に行き、鯨の骨をどけると穴があり、下界が見えた。そこには様々な人間がいた。帰りたいと願うラーナ。そして、綱で降りていくと、ラーナは蜘蛛になった。世界中の蜘蛛はこの蜘蛛から生まれた。彼女がすべての蜘蛛の祖先なのである。
(参考文献「メルヘンと女性心理」M・L・フォン・フランツ)

蜘蛛の始まり。ラーナだったのか。てか首の男は?笑 最初だけだったな。なかなかのインパクトだったけど。ラーナが天、月?に行くきっかけづくりか。月の男もよくわからないけど。謎のお婆と女の子が不気味だが、妙に優しい。まあ基本よくわからないね笑。

「アギル カウナ ナクシュ!」てどういう意味だろ。ラーナが願い事をしてる時の言葉だから、神様お願い!みたいな感じか。


羊飼いトリア〈インド編〉

-Story-
河のほとりに、トリアという若い羊飼いがいた。河には毎日、蜘蛛の糸を伝って、太陽の娘たちが水浴しに来る。そのうち一人の娘に恋をし、その娘が妻となった。ある日この美女が国で噂になり、国王はこの美女が欲しくなる。そして、トリアに無理難題を押し付けるが、太陽の娘の力により、解決していく。諦められない国王は、今度はトリアを洞窟に閉じ込めてしまう。そこでトリアは牛に出会い、「出れたらおまえのものになろう」と言う。何とか脱出したトリアは、逆に国王たちを閉じ込め殺した。牛の大群も手に入れたトリアは、妻のもとへ帰ると、妻はもう帰らなければいけないと言う。トリアはついていくことにした。過酷な道のりで、水を欲したトリアは鶏の卵を食べると、鶏の姿になってしまった。トリアはそれを知っているのかいないのか、その鶏を持ち帰り、姉妹たちがその鶏を食べてしまった。笑うトリアの妻。
(参考文献「インド伝承民話集」塩谷太郎 訳)

トリア妻が元の国へ帰るタイミングには何か理由があったんだろうか。トリアのすべて問題が解決され、裕福となったからなのか。助けが必要じゃなくなったから?それにしてもトリア妻の最後の方の気持ちがまたよくわからない。人間じゃないからな、超えちゃってるんだろう。神の領域か。


山女魚(聴耳草紙ききみみぞうしより)

-Story-
ある男が、山女魚を釣りに、幻の沢・乙女沢に行く。たくさん釣れたが、そこに娘がやってきて、逃がしてしまう。男は怒って娘を責めると、もっと奥の沼に大きい山女魚がいると言った。男は喜び、奥に進んで行った。なんとかその沼にたどり着くと、巨大な山女魚がいた。しかし、なかなか捕まえられず、男は流されてしまう。気づくと、先ほどの娘が助けてくれていた。娘は、「ここのことは誰にも言わないでください」と言い、男は了解する。そして、男は助けてくれたお礼に、ザクロ石を渡すと、娘はそれを飲み込んでしまう。その後、男は秘密を守っていたが、ついに話してしまい、皆でそこに釣りに出かけてしまう。しかし、一匹も魚の姿が見えず、男は農薬を撒いてしまう。すると、大量の山女魚が浮かんできた。そして、料理しようと一匹の山女魚の腹を裂くと、中からザクロ石が出てきた。
(参考文献「聴耳草紙」佐々木喜善)

いや、農薬撒いて捕まえた魚食べるの?あと安定の約束破りだね。まあ話したくなっちゃうか。「聴耳草紙」というのは、民俗学者の佐々木喜善きぜんさんによるものみたい。柳田國男さんの「遠野物語」も、この人の話を基にできたものらしい。この舞台となった乙女沢というのは、実際あるかどうかしらないけれど、岩手なのかな。


馬婿〈日本編〉

-Story-
武蔵の国、岡上の里。百姓の家に、父と二人の娘キヌとイト、そして馬・アオがいた。父は家の為、婿を欲しがっていたが、それには問題があったので、遠くへ出稼ぎに出ることになった。月日は経ち、年が明けても父は帰ってこなかった。心配になったキヌは、アオに何気なく「おまえが父を探してきてくれたら…そしたらお前の嫁になってもいい」と言ってしまった。その後アオは姿を消してしまった。キヌは、まさかと思ったが、三日後、アオは父と共に帰ってきた。喜びも束の間、あの約束のことを父に知られてしまい、起こった父は、アオを殺し、皮をはぎ、その皮を裏山の桑の木に吊るした。幾日か後に、キヌはアオの皮の近くを歩いてると、突風が吹き、さらわれるようにアオの皮と一緒に飛んで行ってしまった。父は気力を失い、寝込んでしまった。その枕元にキヌが立ち、「虫がいるから桑の葉あげると絹の糸をはきマユを作るから、それを売って暮らしてください」と言った。そして、キヌの言ったとおりにすると、二人は幸せに暮らしたとさ。これが岡上の養蚕ようさんの始まりと言われる。養蚕山には養蚕神さまが祭ってあり、人々は馬鳴めみょう大菩薩という馬の字の入ったのぼりをたてて、良いマユが採れるように祈ったと言われている。
(参考文献「神奈川県の民話と伝説」萩坂昇、「聴耳草紙」佐々木喜善)

これは、二つが混ざってるのかな。神奈川のと東北地方のと。東北地方には「おしら様」というのがあるみたい。養蚕関係。でもおもしろいなー、養蚕にはこんな物語があるのか。馬と蚕の関係。なんか蚕の有名なとこ行ったら、馬探してみたいな。ちなみに馬鳴菩薩というのは、馬鳴という人がインドにいて、なんだかんだで菩薩になったみたい。それが中国→日本へ。もしかすると同名の違う人かも。ちょっと浅い調べなので…。


狼石(聴耳草紙より)

-Story-
南部と秋田の国境の淋しい村。ある寒い日、どこからか、みすぼらしい姿の旅の巡礼の母娘が、泊めてもらうところを探していた。しかし、泊めてくれるところはなく、聞いたお寺に行っても、お堂の軒下にしか泊まれなかった。和尚は、「外は猛吹雪で、凍え死ぬか、狼に食われるだろう」と思った。朝になると、母娘の姿はなかった。それから1ヵ月ほど後、和尚は夜遅く山を歩いていると、狼の群れに襲われた。朝になると、村の家の上に和尚の首があった。村人たちは恐れた。そこにマタギの熊平が来て、退治しに行く。しかし、弾は当たらず、そのうちに弾切れになり、大ピンチ。するとそこに娘がやってきて、狼と共に去っていった。その後、村に狼の群れが襲い掛かった。村人たちは応戦していたが、そこにまた娘がやって来て、争いを止めようとするが、矢が刺さってしまう。そこで熊平が気づき、「救ってくれた娘だ」と言い、村人を制止する。死にかかった娘は「この村には、私たちに親切だったおがさんがいる」と言い、死んでしまう。狼たちは嘆きの声を上げ、運んで行った。村人たちは改心し、山からは悲しげな狼の遠吠えが聞こえてくる。そして、6匹並んで日夜吠えていたが、ついにそのまま石になってしまった。
(参考文献「聴耳草紙」佐々木喜善)

狼石、実際にありそうだけど、検索すると宮城のが出てくるがこれじゃないよな。どこだろ。わからんなー。それと、「親切だったおがさん」というのは、「お母さん」か。にしても、よくわからん。親切そうなおばさんがいたけど、その人のことなのか。それとも、実の母親の事を言ってるのか。母親はどうなったのか。狼の関係性も謎。

お仙〈日本編〉

-Story-
ある海沿いに仲の良い兄弟がいた。ある日、兄弟はお仙を見かけ、二人とも好きになってしまう。疑心、嫉妬で兄弟の関係は悪化していく。そしてついに殺し合いのような大喧嘩に発展。その時、海は荒れ、兄弟は波にのまれた。しかし、無地に流れ着き、生き残った。二人とも反省し仲直りしたが、どうしてもお仙のことが忘れられない。二人が考え抜いてだした結論は…。兄弟の仲を守る為、お仙を殺すことだった。崖の上に呼び出し、お仙は落ちて海の中へ。三日後。死体が見つかるが、そこは真間の地獄浦で、陸からも海からも近づけない難所だった。お仙の屍は、幾日も、沈んでは浮き、波に寄せられては引き戻され、なかなか沈むことなかったので、兄弟たちは罪の意識に苦しんだ。いつからか兄弟の姿は消え、二度と見ることはなかった。そして人々は、ここをおせんころがしと呼ぶようになった。この磯の崖には可憐な花が咲き乱れるようになった。

この話は知っていた。というか「おせんころがし」という場所を知っていた。確か、白土三平さんがこの辺に来てたのを、何かで見た記憶があるから、たぶんその時この話を知ったのだろう。そして、「真間の地獄浦」が気になって調べると、「真間」は崖線、土手の崩れ等の意味を持つ上代日本語「ママ」に由来で、千葉の市川の町が出てくる。そして、「手児名てこなの伝説」というのがあって、万葉集に出てくるらしい。「手児名」は愛らしいおとめという意味があるみたいだけど、その美女の名前という話も。わからん。解説では、オリジナルでは?と言っていたが、この「お仙」という作品は、この辺の話が混ぜて創ったものなのかな。ちなみに、検索すると「おせんころがし」の話は、今はすぐに出てくる。話の内容は違うが。(加えて、それとはまた違う凄惨な殺人事件に関しても)ただ、どれにしても、悲しい話だね。悲恋。


赤沼〈日本編〉

-Story-
ある集落で、貧しい父娘がいた。娘は気狂いで父との子供がいた。村からは不吉だと追いだされた。そして、相模国箱根村。捨て子が見つかり、村全体で面倒を見ることになった。月日が経ち、赤子が育つと、その子は盲目だったことに気づく。その子は庄次と呼ばれ、大きくなると、按摩をして村で生活していた。盲目の為、悲しいことも多かった。庄次は笛を愛していて、夜な夜な沼のほとりで笛を吹き、寂しさを紛らわしていた。ある月の綺麗な夜、カカという一人の乙女が現れる。毎夜現れるカカと、いつしか愛し合う仲となった。しかしある日、カカが現れなかった。諦めて帰ろうとすると、カカがいて、「隠し事がある」と言った。「私はこの沼の大蛇おろちで、明日の満月の夜に天に昇らなかればいけない」と。受け入れられない庄次。そして、「天に登るとき、ここのすべてを泥沼にしていく。だから、去ってください。誰にも言ってはいけません。言ったらあなたは死にます」と言ってカカは去った。庄次は迷ったが、お世話になった村の為、伝えることにした。村人は会議し、大蛇を退治することにした。沼に村中のかねっけのものを投げ入れると、沼は血の色に染まった。すると大暴風が起こり、それが落ち着くと、大蛇の死体が浮いていた。村人は安堵した。やがて、草むらに、全身大蛇のうろこがささり、手に笛を持つ息絶えた庄次の姿を発見した。村人たちは、村を命がけで守ってくれた庄次のために、供養塔をたてた。そして、この沼を「庄次が沼」と呼んでいたが、いつしか「精進が沼」となった。
(参考文献「神奈川県の民話と伝説」萩坂昇、「瀬戸川風土記①・スガリ」八木洋行)

最初に、「畜犯けものたわけ上通下通婚おやこたわけ、新世の昔より大なる罪」という言葉が出てくる。何となく雰囲気でわかるけど、近親相姦だね。結局、その赤子が捨てられて、からの話か。大蛇の話も多いよな~なんなんだろう。あと約束破るのと。でもここのそれは、悪くないよな~恩義のある人たちを守るためだし。それと、「精進が沼」を調べると、「精進池」というのが箱根にあるが、だいぶここっぽい。




神話・伝説・伝承って、よくわからないことが多いけど、短編ながら重厚濃厚で、白土三平さん好きだし、十分満足です!^^

・神話伝説シリーズ 8巻
「バッコス(全3巻)」「サバンナ」「ペンテウス」
「お仙」「野牛の歌」「ワタカ」
・異色作品集 3巻
「七つ桶の岩」「鬼泪」「泣き原」

また集めなければ!^^

★\(^^)/☆

Jah よ! へるぷみ~ (T人T) ナムナム アーメン タスケテ・・ ☆彡(-人- ) 星に願いを・・・ らぶみーてんだー ♡♡♡ <3