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【シリーズ】老人ホームは介護の「終わりの始まり」【最終回】〜老人ホームの役割とは〜

 こんにちは。松岡 実です。
は老人ホーム入居対象者の家族に対して感じる知識不足を全4回にわたって紹介するこのシリーズも最終回となりました。
人によって老人ホームの捉え方は全く異なりますが、異業種から老人ホーム運営事業者に転職した「僕の考える老人ホームの役割」をお伝えします。

老人ホームは介護の始まり

 老人ホームに入居する理由のほとんどは自宅で独居生活が困難、もしくは同居する家族がフォローしきれなくなった事が大きな理由です。
要介護1以上を入居対象にしている有料老人ホームの場合、入居の9割は本人希望ではなく、家族などのキーパーソン主導によるものです。「子供に迷惑をかけたくないから仕方なしに入居する」という方が残りの1割程度です。
老人ホームを姥捨て山のように考えている方も多いですが、入居後に心疾患や脳梗塞を発症して入院することは珍しくありません。入院や退院、手術、入居や退去など、日本では何をするにしても3親等以内の家族のフォローがずっと必要です。

 様々な制限のある自宅という環境下では、利用できる介護のリソースにも限りがあります。入居者が自立した生活を送るために必要な介護を、最高の環境で提供するためのプラットフォームが老人ホームだと考えると、また違った見え方がすると思います。

また、介護は家族間の適正な距離間を壊します。お互いが健常だった頃は盆正月に顔を見せるぐらいだったのが、安否確認をするため頻繁に面会に行く必要があったり、通院のフォローをしたり、支援する家族の自己犠牲ありきで介護を考えると長続きしません。
「限られた時間をなるべく本人の希望する環境で過ごせるようにしたい」という気持ちも大切ですが、それによって家族が消耗するのは本末転倒です。
お互いが健常だった頃の距離に戻すツールの一つとして老人ホームを考えると、介護環境の選択肢の一つとして検討できるのではないでしょうか。
入居者の自立した生活のみならず、家族も安心して穏やかな生活を送るために老人ホームが存在するのです。

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