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「幸せの黄色い箱とビン詰め牛乳」

 「僕の昭和スケッチ」124枚目

<「牛乳配達の思い出」©2022 画/もりおゆう 水彩 F5>

昔は牛乳配達を頼んでいた家が多かったものです。

この頃の牛乳は今のような紙パック入りではなく、みんな瓶詰めの牛乳でした。牛乳配達のおじさんがカチャカチャと牛乳を鳴らして毎朝自転車で届けてくれるのでした。玄関先に置かれていたこの木の箱は、明治でも、森永、雪印でも、グリコでも大抵同じ黄色で、調べてみると値段は一本一ヶ月で290円ほど(昭和35年頃)だったようです。

今思うと、この何でもない小さな黄色い箱は、幸福を象徴しているように思います。

鍵もかかっていないし、誰でも盗んでいけるものが玄関先にポツンと置いてある。それで日々大禍無く過ごしていけた時代でした。


スーパーマーケットの登場によって町の牛乳屋さんは次第に姿を消していきました。瓶入りも殆ど見かけなくなり、味気ない紙パックに変わりました。

僕は瓶に入った牛乳を今でも時折飲みたくなります。
厚紙の蓋をポンと開ける時のあの感じ、、、懐かしい音です。


*牛乳箱の中には稀にネイビーブルーの箱もあったようです/明治牛乳

<©2022もりおゆう この絵と文は著作権によって守られています>
(©2022 Yu Morio This picture and text are protected by copyright.)

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