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私たちの婦人科疾患

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編17 退院は冬の日に

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編17 退院は冬の日に

退院日は、当初の予定よりも1日早まった。

術後の経過が順調だったのだろう。
ありがたいことだ。
昨日夕方に看護師さんが「明日退院して良い」と告げに来た。

朝食を食べ終えたら退院準備が整い次第、看護師に声を掛けてくれとのことだったので、のそのそと準備を始めた。
ここは出張慣れしているわたくしですから、荷物をまとめることなどお手のもの。
30分とかからずにパッキングを済ませた(昨日から準備していた

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編16 入院5日目 術後は紐パン一択

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編16 入院5日目 術後は紐パン一択

昨日から、実はお風呂が解禁された。
ただし、湯船に浸かることは禁じられていたのでシャワーのみ。
この病院はナース・ステーションに、入浴時間を予約しに行く必要があった。
予約は30分刻み。
当たり前かも知れないが、夕方以降に予約が集中している。

昨日、あらためて脱衣場でしげしげと傷痕を眺めた。
左骨盤の近く、下腹部中央、おへそに皮膚用テープが貼られている。
最近の手術は縫合糸がないんだなあ。
もし

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編15 入院4日目 脳溶ける

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編15 入院4日目 脳溶ける

麻酔明けの脳はスーパー・パッシブ病室は暑かった。
暦の上の季節は秋。
それなのに、ジットリと寝汗にまみれてウンウン唸る。
掛け布団をかけないのは肌寒いのだが、掛けると汗をかく。
そもそも、ただでさえ狭い部屋にベッドを6脚置いて、カーテンで仕切っているものだから、私のスペースはベッドと辛うじてトイレなどに立つ際に行き来できる余白程度の場所しかない。
掛け布団をかけない選択をしたところで、掛け布団を避

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編14 入院3日目 手術明け

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編14 入院3日目 手術明け

手術当日の様子にも書いたが、幸いなことに全身麻酔明けの症状には苦しまずに済んだ。

朝、看護師さんが飲み薬を持ってきた。
水はあるかと聞かれたが、ない。身体も動かない。
手術前に水を含む絶食を指示されたものだから、間違って飲まないようにベッド周りを片付けていたのだ。

まず腹筋に力が入らないし腹部が痛い。

アウアウしていると、看護師さんが私のタンブラーに水道水を組んできてくれた。
この病院は飲料

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編13 これから、手術だよ!

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編13 これから、手術だよ!

とうとう手術日がやってきた。
この病院は22:00消灯の6:00起床。

朝6:00になると否応なしに病室のライトはカッと照らされ、起床時間を告げるアナウンスが流れる。
もそもそと布団から這い出て、ぼーっとした頭でベッドの上に佇んでいると、看護師さんが朝の検温に訪れた。

38度は回らなかったものの、この日の熱も高かった。たしか37.7度あたり。

昨日からの謎の発熱(飲み過ぎ…?)に手術できなか

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編12 入院初日

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編12 入院初日

10月10日、いよいよ入院。
13:00に入院の予約だったので、12:40に入院受付に来て欲しいと事前の電話があった。

母親が自身の経験から
「手術になるんだったら同意書いるでしょ!? 書くから!!」
と鼻息が荒かったので、11:00に病院の最寄り駅で待ち合わせをした。

前日に最後の晩餐よろしく夜遅くまで飲んでいたため、若干お酒が残っている。
最寄り駅に着いてみると、母親に連れられて妹も来てい

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編11 入院パッキングだよ~

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編11 入院パッキングだよ~

三連休明けの火曜日、10月10日から入院だ。
この三連休は、入院前の最終調整(残務)と部屋の掃除、入院に向けた荷造りにあてた。
ドラッグストアと100円ショップをめぐり必要なものを購入する。

パッキングリスト■家から持っていったモノ☑パジャマ
いわゆる正統派パジャマを2着と部屋着用にしているXLサイズのTシャツ数枚、ユニクロのリラコ数枚。
☑下着各種
腹部の手術なので、パンツは状況に合わせて履き

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編9 休職するしかない⁉

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編9 休職するしかない⁉

体調悪化を自覚してしまったからなのか、順調に(?)私の身体の中で腫瘍が自己主張しているのか……日常生活を送ることさえ、だんだん難しくなってきた。

手持ちの洋服は着られない。
椅子にまともに座れない。
うつ伏せに寝られない。
仰向けもお腹が張る。
走れないどころか、早歩きさえままならない。

(社員証の衝撃にすら耐えられなくなった図)

特に困ったのが、椅子に座れないことだ。
普段通り、姿勢良く椅

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編8 悪化

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編8 悪化

変化は着られる洋服だけではなかった。
だんだんと、姿勢正しく椅子に腰掛けることが出来なくなってしまったのだ。
お腹が張っているので、通常通り腰で身体を折り曲げて座ると、猛烈に腹部が圧迫される。
日々悪化すれども、良くなることはなかった。
一人リクライニング状態。
会社のデスクでは、ふんぞり返って仕事するしかない。致し方ない。
社内会議でもふんぞり返る。致し方ない。

常時そんな状態なので、普段、自

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編7 着れる服がない

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編7 着れる服がない

真相は闇の中、ならぬ腹の中なのだが、私の腫瘍は手術を待つうちに大きくなったんじゃないかと訝しんでいる。
これは観察し続けたわけでもなければ先生に言われたわけでもないので、私の独りよがりな妄想に過ぎないのだが。

腫瘍の存在が発覚した当初は、「太っちゃったからスカートがきついの〜」くらいの感覚だった。
それがいまや、ウエストで絞る洋服が着れないどころか、アンダーバストから腰骨の位置までの胴部分が締め

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編6 会社へ報告

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編6 会社へ報告

とうとう手術日が決定した。
二ヶ月後だ。

そう、手術だ。
切るよりほか、治療法はないらしい。

腹をくくって、今の私にできることをしようと思う。
職場への報告と各手続きについて調べる。

不安に駆られた私は、ネットに頼っていた。
なにか、情報は落ちていないかと。
グーグルで検索してみると、「知恵袋」が特に記載が多かったものの、信憑性はいまひとつ。
その中で一定数寄せられていたのは、「女性特有の病

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編5 手術日決定

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編5 手術日決定

手術は2ヶ月後ドキドキなんて生易しいものじゃない動揺を抱えて病院へ向かう。
今日は、この間のMRIの結果を聞きに行く。

大丈夫、大丈夫……きっと悪性じゃない。
良いイメージを頭に描きつつ自分の名前が呼ばれるのを待つ。

「診察室へお入りください」

ひー! 来た!!

「MRIと血液検査の結果、良性でしょう。成熟嚢胞性奇形腫 (皮様嚢腫)だと思うよ。髪の毛とか脂肪とかが腫瘍になったものだね」

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編4 MRIってうるさい

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編4 MRIってうるさい

MRI検査の事前説明でも、ビビらされるいよいよ週末、土曜日。MRI診断の日。

MRI前は絶食を言い渡され、前日・当日と水分で凌ぐことに。
数日前から咳が出ていたが、絶食というのでこまめに水分をとり喉を潤してごまかしていた。

実は、検査前に打ち合わせを一件入れていた。
ランチを食べる流れになったら、気まずくなるな~なんてぼんやり考えていたが、打ち合わせ相手はランチはよそで食べる予定があるとのこと

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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編3 大学病院へGO

私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編3 大学病院へGO

分厚い紹介状、握りしめて8月6日、クリニックから紹介状を受け取った。
紹介状というのは封をしたまま病院に持っていかないといけない。
だから、その中身にどんなことが書かれているのか、私には知る由もないのだ。

分厚い。
この分厚さから、深刻なにおいがプンプンする。

自分の置かれている状況がうまく飲み込めないままだった。
初診受付で手続きを済ませた後、ぼんやりと椅子に腰掛けて呼ばれるのを待つ。

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