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仏教徒がクリスマスミサで学んだこと

わたしは仏教徒だ。でも、家にはイエス・キリスト様が祀(まつ)られている。
わたしと夫は日本人。そして、夫はキリスト教徒だ。

昨年のクリスマスイブは、夫と一緒にミサへ行ってきた。
仏教との違いにカルチャーショックを受けつつ、さまざまな宗教を知るということは、人々が同じ地球で生きていくために大切だと知った。

今回は仏教との違いに触れながら、ミサがどんなものなのか紹介する。
キリスト教に興味がある方はもちろん、異文化に触れてみたい方の参考になったら嬉しい。


1) 世界はキリスト教信者が多い

昨年は、旅行でオーストリアへ滞在した。歩けば必ず教会を通る。近所にお寺や神社があるように、教会がそこらじゅうにあった。
オーストリアの教会では、色んな国の方々がイエス様に祈りを捧げていた。国や人種が違っても、同じ神様を崇拝している。世界一信者が多いのは、キリスト教なのだと肌で感じた。
ふと隣に座る夫を見ると、十字を切って、お祈りしていた。わたしの知らない夫の姿だった。

幼少期はお寺の幼稚園に通った。中学の卒業旅行で見た東寺の仏像が忘れられず、社会人になってから何度も足を運んだ。そこから仏像にハマり、京都や奈良をひとりで旅した。でも、他の宗教のことは全く知らない。
見えている世界を広げるためにも、他の宗教に触れるのは大切なことかもしれない。
キリスト教の世界を理解したいと初めて思った。
こうして、わたしは夫と一緒にクリスマスイブにミサへ行くことにした。

2) 信者以外の方もウェルカム

ついにクリスマスイブがやってきた。どうしよう…。
教会に入るのが初めてだったので、恐る恐るだった。でも、仏教徒のわたしでもウェルカムだった。
入り口で詳しい説明がないので、初めての方は身構えてしまうかもしれないが、心配はない。難しい動作を要求されることはなかった。座って手を合わせて、イエス様に祈りを捧げた。
参加した教会のミサは、急に歌が始まって、説法が始まり、また歌い、1時間ほどで終わった。
夫いわく本来ならプログラムが配られて、どんな流れでミサを行うのか分かるようになっているそうだ。今回は少々特殊なケースだったかもしれない。

3) ミサはたくさん歌う

奈良にある十輪寺で、朝の勤行に参加したことがある。境内を掃除して、般若心経を唱え、祈願してもらう。お経をひたすら読み、最後に説法を聞く。お経が読めない方が大半だと思うが、わたしも同じだ。なので、最後に僧侶の方がお経の意味を説明してくれる。
ミサはお経がない。その代わりに歌を捧げる。
クリスマスイブのミサでは、イエス様が生まれる喜びを歌っていた。
歌なら歌詞が分かる。信者ではないわたしですら、言葉を理解できるのだ。その感覚が新鮮だった。
熱心な仏教徒の方に怒られてしまうかもしれないが、お経は日常生活で使わない言葉を唱えるので、難しいものだと思っている。

子どもと大人が一緒に歌っている姿が印象的だった

4) クリスマスは質素に

日本に広がったクリスマス文化は、とても華やかなものだ。街中がきらびやかなイルミネーションに染まり、大切な人と豪華な料理とケーキをいただく。子どもたちはサンタさんからプレゼントをもらう。
でも、キリスト教では違うそうだ。
神父の方が「わたしたちは慎ましく、静かにイエス様の誕生を祝います」と言っていた。教会の中は、ろうそくの静かな灯と美しい歌声だけが響き渡っていた。くしゃみをしたら、音が大きく反響した。
ボランティアのコーラスの方々が歌っている中、神父さんがぶどう酒をイエス様へ捧げる。信者の方々が祭壇に並び、パンをいただく。
質素だけれど、美しかった。

※国や地域によって作法などが違う場合があります

5) 違いを理解し合う大切さ

夫と同棲を始めた当時から、家には十字架が祀られていた。
仏教は故人を供養すると、家に仏壇と仏具を置くが、信仰の為に仏像を置いている家は少ない。
当初、夫は十字架が家にあることで、わたしに不快な思いをさせていないかと気にしていた。宗教が違うことで否定するのは違うし、なにより夫が大切にしている神様を尊重したい。夫がのびのびと自分らしく生きてくれるのが、わたしにとって一番の幸せなのだ。

まとめ

宗教や人種、文化、言葉の違いで世界では争いが絶えない。相手を真っ向から否定していたら、争いは加速する一方だ。
綺麗ごとかもしれないが、違いを理解するためにお互いのことを勉強する。そして、より多くの価値観を吸収し、歩み寄ることが大切なのではないだろうか。

教会はわたしたち仏教徒でも、ミサへどうぞと受け入れてくれる。
ほら、少しだけ興味が湧いてきた?
今年のクリスマスはキリスト教に触れ、見聞を広げてみてはいかがだろうか?
世界がぐっと大きく広がることだろう。


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