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勇気を出して!パリのデザイナーに会いにいった日

「Nice to meet you!」と、彼女は笑顔で迎え入れてくれた。
わたしは、日本でパリのデザイナーと食事をしていた。英語が全く話せないのに。
憧れの方とお会いするために行動した。

今回は、ふとしたきっかけで日常にスパイスが加わった不思議な体験について、お話ししてみようと思う。
勇気を出して行動するのが苦手な方の背中を、そっと押せたら嬉しい。

1) ある一冊の本と出会う

昨年の9月、新婚旅行でヨーロッパのオーストリアを訪れた。
そこで運命的な本と出会う。
GRAPHIC DESIGN PLAY BOOK」だ。
パラパラとめくる。英語が読めないのに、不思議と意味が分かるのだ。
パズルや間違い探し、ドローイングなど、デザインにまつわるワークショップを通して、タイポグラフィやロゴの考え方を学べる画期的な本だった。読者は課題が与えられ、直接書き込みながら進めていく。
ミニマリストを目指して本を断捨離したのに、買わずにはいられなかった。「早くこの本で遊んでみたい!」と、ワクワクが止まらずホテルでページをめくるほどだった。

デザイン好きな方は、オーストリアに行ったらぜひMQへ!

2) パリのデザイナーと繋がる

帰国後、英語とデザインの勉強を兼ねて、買った本を読み進めていた。
た、楽しすぎる…!
作者を調べたら、“ソフィ・キュアさん”というパリ在住のグラフィックデザイナーだと分かった。試しにインスタグラムで検索してみる。
……い、いた!!
すぐにフォローした。そして、ストーリーにソフィさんをタグ付けして、本をアップした。もしかしたら、彼女と繋がれるかもしれない。
そしたら、なんとソフィさんがリポストしてくれた。
「英語が読めないけれど、デザインが学べた」と、わたしの思いも伝えた。
さらに調べてみると、彼女は本や雑誌などのデザインの他、パーソンズスクールパリという美術学校でタイポグラフィを教えているようだ。つまり、プロのデザイナーだ…!
ますます憧れの思いが、強くなっていった。

ソフィさんのインスタグラムは、こちら

3) 日本に来るらしいぞ

本に出会って2か月後、ソフィさんから「日本のオススメの観光地を教えてほしい」とメッセージが来た。近々、日本に来るそうだ。しかも、時間が合えば一緒にお茶でもいかが?と誘ってくれた。
話を聞くと、アートに特化したブックイベントであるTOKYO ART BOOK FAIRへ足を運ぶらしい。わたしもそこへ行く予定なので、現地で会おうと返信した。
だが、そう簡単に上手くはいかない。国が違えば、文化も違う。

4) 諦めずに思いを伝える

イベント間近になり、何日に来るのか改めて連絡すると、当初聞いていた日にちと変わっていた。どうやら、フランスの方々は気分屋らしい。
なんとか会おうと連絡すると、日を改めてくれた。しかし、ここからもバタバタである。
約束の日は「17時までなら会える」と連絡したが、返信が来ない。間近の16時、ソフィさんから「遅くなってしまったから、会えない」と連絡が来た。そりゃあ、ない…!
どうやら、その日は箱根から東京に大移動し、これからどうしても見たい展覧会に行くから、遅くなると言うのだ。
「GRAPHIC DESIGN PLAY BOOK」にどれだけ感動したことか!実際に書き込んだ本の写真を撮って、「会えるのを楽しみにしていたんだ」と熱意を伝えた。
すると、「夜遅くでもよければ会おう」と返信が来た。時計の針は19時を過ぎていた。
国が違っても、熱い思いはきちんと伝わる。
それから、心配した夫が一緒に行ってくれることになった。
英語は全く話せないが、なんとかなるだろう。もう勢いだけでお店へ向かった。

5) ついにソフィさんに会う!

お店に着いたのは、20時だった。
「I’m sorry」「Nice to meet you!」そう言って、彼女は笑顔で迎え入れてハグしてくれた。彼女と彼女のパートナー、そして行き当たりばったりで出会ったという友人、わたし、夫が集まった。わたしたち5人は、乾杯した。
事前に英語が話せないことを伝えてあったが、ガンガン話しかけてくる。次第に「あ。本当に英語ができないんだ」と理解してもらい、ものすごくゆっくりと、単語ごと区切って話してくれた。それでも、1割しか理解できなかった。フランス語混じりの英語は、難解すぎた。
「日本の玩具ミュージアムに行ってきた」
「なぜ日本のポスターの色褪せは、青ではなく赤いの?」
「TOKYO ART BOOK FAIRで、この本を買ってきたよ」
海外のデザイナーの方は、わたしたちとは違った視点で日本が見えているのだなぁと、ものすごく勉強になった。
それから本にサインをもらって、一緒に写真を撮った。
そして、彼女の名刺をもらった。「日本人に渡すのは初めてだよ」と言われて、嬉しかった。

「想像以上に日本は広く、移動するのに1〜2時間もかかるなんて!」と言っていた。笑

6) 最後に

会いたい人には、自分から会いに行く。
先日、日本のグラフィックデザイナーの方に言われた言葉だ。その方は同い年で、すでにデザイナーとして独立し、大活躍されている。
「会ってくれるかどうかは、相手が決めることだから」と行動することの大切さを教えてくれた。
有名なデザイナー、憧れの著名人、誰だって会ってみたい雲の上の人がいるのではないだろうか。 相手にどう思われるかは、関係ない。とにかく行動すること。相手が振り向いてくれるかは相手次第なのだから、思いは伝えた方が良い。
それは、たとえ言葉が通じなくても同じだ。「会いたい!」という気持ちは、言語関係なく届く。

そして、もう一つ大切なことを教えてくれた。「早く会わないと、もう二度と会えないかもしれないよ」と。
会いたい方がわたしよりも年上なら、なおさらだ。憧れの方の寿命が尽きて、チャンスすらなくなってしまう。後悔したところで、もうこの世にはいないかもしれない。

会いたい人がいるのなら、まずは行動してみよう。
手紙を送ってもいいし、SNSでメッセージを送ってもいい。誰とでも繋がれる時代なのだから、逆手に取るのだ。
その先には、今の日常生活からは考えられない、素敵な一日が待っているかもしれない。

毎日30分、発音練習つきの問題集で練習をしている。


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