それでも、マネジメントは傾聴から始めよ
前回、「傾聴」する組織が本当に良いのか?というnoteを出し、「傾聴」偏重とも捉えられる流れに対する考えを書きました。
今回は、それでもマネジメントは傾聴から始めることが重要であるということをお伝えしようと思います。
「傾聴」のトレンドと今
Google トレンドで調べてみると、「傾聴」という言葉は、ここ5年で2倍近い検索数の増になっているようです。SNS等、様々な場所でも「傾聴」という言葉が見られてるように感じています。
そんな中、ピープルマネジメントパートナー「Balance*」を運営する我々も、「傾聴」の捉え方を改めてお伝えしようと思います。
というのも、言葉だけが独り歩きしている印象があるためです。本来の「有効な傾聴」がなされていないということを少なからず感じています。
傾聴はただ聞くことではない
「傾聴」って何?と、聞かれたらどのように説明するでしょうか。
一言で答えるなら、傾聴とは「自分がかけているレンズを外して、相手の立場になって話を聞くこと」です。
例えば1on1で、このような状態になっていることはないでしょうか。
(例:左がメンバー、右が経営メンバー/マネジャー)
このイラストの特徴は、左側の人と、右側の人の表情のギャップです。
「そうなんだ」「なるほどね〜」等、
ただ言葉を聞くだけでは傾聴しているとは言えません。
「どんな行動をして、どんな思考をして、どんな感情を持ち、どんな経験に繋がったか」というその人の一連のストーリーを聴くことが傾聴です。
相手のストーリーを聞くことで、初めて相手の立場になって対話をすることができるようになります。
これを実践した場合、このイラストのような状態になることは考えにくいです。目的ではなく、あくまでリトマス試験紙的なものですが、「有効な傾聴」を行えている場合、表情のシンクロも生じていきます。
「傾聴」はあくまで手段
そもそも論、傾聴って必要なんでしょうか。
傾聴する目的はなんなのでしょうか。
特にマネジメントの場においては、事業成長/事業成果が第一であり、そのために本当に傾聴は必要なのか?と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私たちのスタンスをお伝えすると、マネジメントにおける全てのコミュニケーションに傾聴が有効であるとは思っていません。
しかし、メンバーマネジメント(従業員の意欲向上と能力向上)には有効且つ最重要と捉えています。
個人の好みとして、メンバーマネジメントには興味がないという方もいらっしゃるかと思いますが、人材不足/多様な価値観が広がる昨今、メンバーマネジメントの重要性はますます上がっていることは、恐らくご承知おきのとおりです。
「傾聴」を伴わないマネジメントは、自律的な思考を阻害する
事業はスピードが大事!ということはそのとおりなのですが、信頼関係の構築がおろそかになっている結果としてメンバーのアクションスピードが遅くなる可能性があります。
例えば1on1でこのようなことをしていませんか?
・結論ファーストで結果をすぐ聞きたがる
・課題定義のための「なんで?」を問い続ける
こういった1on1ではしばしば相手がずっと緊張しているケースに陥ります。
この状態で、果たしてメンバーは最高のパフォーマンスが出せるでしょうか。
本当はスピーディに意思決定して、事業を前に進めることが目的であるにも関わらず、緊張によりメンバーが行動・パフォーマンスを落とすリスクがあります。
そして、自律的に思考/行動することが阻害され、トップの力に依存した組織になっていきます。
ケース別の傾聴事例
では、上記のケースで傾聴を当てはめていくとどうなるでしょうか。
ポイントは行動、思考、感情、経験の相手の一連のストーリーを傾聴することです。
特に「感情」を引き出すことで、相手の立場になって話を聞くことに近づきます。
ここでは傾聴という行動だけではなく、その範囲を超えた実践的行動も入れて説明をします。
ケース1:結論ファーストで結果をすぐ聞きたくなる場合
話し手がプロセスから結果までを長々と話している状況。
ここでいきなり「で、結論は?」はSTOP!
(なにか言いたくなったり聞きたくなっても)一旦、ドラマを見て主人公の立場に入り込むように、相手の話しを聞いていきます。
そして、相手の立場として言葉にしてみます。
「Aさんは〇〇と考えていたのですね」
一通り話が終わった後に
「今、どんな気持ちで報告してくれていましたか?」
と聞きます。
様々なケースがありますが、一度傾聴をしていることで「実はあまりまとまっていないのですが、、、」「本当はこういうことが相談したくて、、、」と本音が出てくるケースもあります。
相手の感情を受け取った上でこう伝えます。
「Aさんは〇〇と考えていて、〇〇という気持ちだったのですね。私の気持ちも伝えますね。結論に至るまでのプロセスの話が少し長いと感じました。できれば結論ファーストで伝えてもらえてもらいたい、というのが、私の気持ちです。結論から話してみるとどうなりますか?」
ここで初めてリクエストを出します。
ケース2:課題定義のための「なんで?」を問い続けたくなる場合
メンバーから課題解決の相談。課題を話してくれたが、どうも深掘りが浅い状態に。
ここで、「なんで?」「で?」「それで?」を問い続けるのは悪手になりがちです。相手にプレッシャーや緊張感を与えてしまいます。
まずはいったん受け取りますが、もう少し深堀りしたいのでこう聞いてみます。
「◯◯が課題だと考えたのですね。私はもう少し別のところに課題があるように感じたのですが、本当の課題はなんですかね?」
ポイントは「なぜ?」で聞くのではなく、「何?」で聞いている点です。原因に焦点があたる会話となっているため、詰められている印象を受けにくく、前に進む議論となります。
なぜ傾聴が重要なのか
「傾聴」がなぜ重要か。それはダニエル・キム氏の「成功循環モデル」の考え方がベースにあります。
成功する組織は、まずは関係の質を重視します。対話を通じて、信頼関係を構築することで、安心して話せる場が生まれ、結果として多様な視点からの思考が生まれます。安心できる環境があるため、自発的に行動することで、結果が正のスパイラルに入っていく、という流れです。
一方で、失敗する組織は、結果の質を求めるあまり数字づくりに走り、その結果、組織内に不健全な摩擦や対立が生まれます。そこから不安な状態となると思考力が低下、さらに行動が主体的ではなくなるため、結果もさらに悪くなる、という負のスパイラルに陥ります。
改めて、なぜ傾聴が重要なのか。
それは「関係の質」を高めるための、対話のスタートは「傾聴」から始まるからです。
傾聴は今からすぐにできます。
まずは傾聴から始めてみませんか?
「正面から向き合う」マネジメント Balance*
弊社では、このように「事業と組織の幸せの両立」の実現を青臭く目指し続けています。
現場での実践をし続けて構築した「正面から向き合う」マネジメントを組織にインストールする"実践的な研修支援プログラム"をご提供しています。
・思想に共感いただいた方
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