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2023年8月の記事一覧

poem 帳の中で

poem 帳の中で

待って
灯が消えるまで

もう少しだけ
一緒にいよう

待って
灯が消えるまで

君の話を
聞かせてよ

このまま君と
微睡みたいんだ

帳の中はボクらだけ
秘密の夜の物語

poem 彼岸花

poem 彼岸花

吹く風にふと
歩みを止める

私の気づかぬ間にも
彼岸の花は咲いている

poem 水の中

poem 水の中

鍾乳洞の底碧く
静かに浸す
この躰

燻る熾火を
鎮めるように
冷たい水が
浸みてくる

ただ真っさらに
生まれかわらん

碧い世界で泣いている
赤子は私の幼き時分

深い底へと
この身を沈む

燻る熾火を
鎮めるように
冷たい水が
浸みてくる

poem 涙

poem 涙

こんなふうしか
生きられないよと
涙ながした
帰り道

泣いたらいいよと
キミが言う

そんなふうでも
生きたらいいよと
キミが言う

poem こころ許す時

poem こころ許す時

花を見て
歌を詠む君

走り来る
子らを抱き寄せ
愛しみ
優しき言葉
かける君

poem 君想う

poem 君想う

笑らひし顔の
やはらかさ

陽だまりのよな
心地した

poem 月満ちて

poem 月満ちて

月満ちて
花を摘む

夜露が濡らす
ひとひらを

月満ちて
花を摘む

香りは辺りを
妖艶に

私は踊る
密やかに

時は静かに
移りゆく

一夜の宴の
儚さよ

poem 疼きの果てに

poem 疼きの果てに

いつしか人は
変えられていく
悲しみにより

いつしか人は
変えられていく
苦しみにより

私がこの峰越える頃
夕日は何処へ沈むだろう

私がこの海渡る頃
月は何処へ浮かぶだろう

時は流れて私を運ぶ
時は流れて私を運ぶ

いつしか人は
変えられていく
喜びにより

我が身に疼くこの傷も
いつしか癒える日が来よう

私は待とう
その時を

今は堪えて歩めども

私は待とう
その時を

poem 私は何処にいるだろう

poem 私は何処にいるだろう

大の字になる
空の下

雲が流れる

大の字になる
空の下

風がそよ吹く

大の字になる
空の下

私は何処にいるだろう

緑の揺れる大地の上の
可憐な花の咲く中に

poem ポートレイト

poem ポートレイト

傷つけてきた肖像画
今、少しだけ
塗り直す

破れてしまった
キャンバスの
歪な線をなでながら

poem 月のカケラ

poem 月のカケラ

ボクは少し壊れてるんだ
楽しいことが
怖いんだ

ボクは少し疲れてるんだ
優しいことが
怖いんだ

愛さないで
放っておいて

冷たいままで
放っておいて

夜の静かな闇が好き
孤高に光る星が好き

あぁ、お月さま
このボクに
安らげる場所を
与えて下さい

誰も知らない隠れ場を
壊れたボクに
教えて下さい

poem ボク

poem ボク

ボクがこんなに
おだやかなのは

キミがわらって
くれたから

ボクがこんなに
おだやかなのは

キミがないて
くれたから

ボクがこんなに
おだやかなのは

キミがおこって
くれたから

キミはそっと
てをにぎる

ボクはしずかに
いきをする

poem 滅すればなほ

poem 滅すればなほ

滅すればなほ
喰らい付く 

骨の髄まで
喰らい付く

そいつはなほも
喰らい付く

痛みは麻痺し
悲しみが

俺を割くよに
這い回る

そいつは何だ
俺を呼ぶ

そいつは誰だ
俺を呼ぶ

滅すればなほ
喰らい付く

そいつは俺に
喰らい付く

poem 鷹飼

poem 鷹飼

裾野に広がる
原野にひとり

彼ものは
舞う
大空を

私は見つめ
それから想う

さぁ
この腕へ
降りて来い

彼のものが
舞う
大空を

私は見つめ
それから想う

肉に喰い込む
お前の爪で

私を連れて
飛んで行け

現世のこの身を
引き剥がし
お前の
空の彼方へと