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みんなで地区の防災・減災を考えた日〜島田市抜里にて〜

はじめに~大雨の日を経て~

昨年の9月の台風15号により被災した大井川流域。
でも、被災のニュースはちょっとだけだった印象で、同じ台風の影響で発生した、静岡市清水区の断水の方が大きく報道されていた印象があります。

今年6月に島田市抜里を訪れた際は、大雨の日。
その日のことは、以前投稿していますので、そちらをご覧ください。

この日のこと、そして前年の台風15号のこと。
それらが重なって、抜里の方たちと防災・減災を考える時間をつくりたい。少しでも安心して、そのためには安全に避難が出来るといいなと思って、お節介を焼いてみました。

わたしの抜里とのかかわりは、過去に投稿していますが、とりあえずその一部を参考にされてください。

関連投稿として、大井川鐵道現地調査の様子の投稿リンクを貼りつけておきます。
内容はしょぼしょぼですけど、良かったらご覧くださいね。

依頼、そして

わたしが頼ったのは、NPO法人地盤防災ネットワーク。
地盤防災ネットワークの正会員でもあるので。

思い切って飲んだ席でわたしの想いをNPO理事長にお伝えしたことが始まりです。
その後、ME養成講座を開設している岐阜大学工学部付属インフラマネジメント研究センターまで繋がり、静岡県内のMEの有志のみなさんにも参加いただいて、今回の現地踏査に至りました。

現地踏査

現地踏査当日は、忙しいなか、多くの地元のみなさんが集まってくれました。
ホントありがたいですね。

集合写真

まずは寺山(通称:ぼいんぼいん山)に登って抜里全体を俯瞰します。
HIDEMI NISHIDAさんの作品『境界のあそび場Ⅳ/音の要塞』が丁度いいと思いまして。

音の要塞より

集落の真ん中にある山は「堂山」。
堂山には萬福寺というお寺があり、山の上はその周囲が平らで、とても不思議な地形です。
いまは家、森林として利用されている場所以外の殆どがお茶の栽培に利用されている様子がわかります。
少しだけ水田がありますが、昔はもっと水田が多かったそうです。

地元の方に依れば、いま住宅のある部分が昔は河道だといわれているとのこと。
でもどうやって、大井川が真っすぐに突き抜けたんだろう。
上流側には七曲(ななまがり)と呼ばれる、山の中を大蛇行している箇所もあります。
そちらが突き抜けなくて、抜里、家山が突き抜けたのはなぜだろう。

岐阜大学教授の推測では、元々山だった部分にも大井川の伏流水等の流れがあり、それが長い年月を経て山を削り、流れを変えるに至ったのではないかとのこと。
水のチカラは凄いです。
侮ってはいけないとは思っていたけど、再認識しました。

地区全体を俯瞰した後は抜里地区の集落内を踏査しました。
2022年9月に被害を及ぼした台風15号の被害の様子や、茶原の中を歩きながら、地元のことの話をしたり、お茶の木を刈っていたので、その様子を見たり。
いいタイミングで大井川鐵道のSL抜里を通り、みんなで見ることが出来ました。

SLが駆け抜けましょ

上手川の狭小部(抜里駅の近くの橋付近)では、川の水が越流して、土砂も溢れ出したとか。
地元の方からは、腰の高さまで水に浸かったなど、いつも見ている抜里では想像できない話も聞くことが出来ました。

地区の方に説明していただきなかがら

近づいてみる堂山は、急斜面です。
東側、南側はほとんど利用されていませんが、特に北側は急斜面に茶畑があります。
残念ながら、いまは耕作されていない雰囲気ではありますが。
堂山付近、モノレールの錆びたレールが寂し気です。

錆びたレール

抜里の最も南東側(家山に近い場所)は、低地で水に浸かりやすい場所だそう。
いまは茶原が拡がっていますが、近づいてみるといかにも低地って感じです。

そして抜里を流れるもうひとつの河川が藤蔓沢です。
こちらは下流に行くにしたがって、天井川みたいになっています。
つまり、川から離れるほど周囲が低い。
ひとつ上で書いた抜里の最も南東側が低地になっているその部分もそうですが、一部住宅部分も河床より住宅地の方が低くなって見えました。
藤蔓沢からの堆積物により出来た土地なのでしょうか。

藤蔓沢の上流部には砂防堰堤があるそうです。
上流部に行く道路が通行止めになっていて、まだ行けていない場所。
地元の方が気になることが挙げられていましたが、それものちに島田市によって現地確認が行われたそうです。

その他にも気になる地形がある抜里ですが、現地踏査も時間いっぱいいっぱいでした。 

検討会

さて、検討会として大きく2つのことを紹介していただきました。

検討会

ひとつは羽島市竹鼻南地区の防災への取り組み事例です。
検討会からの学びは、日頃からの訓練が大事だということ。
それをどうやって地域に合わせた防災計画を立てて、それに合わせた訓練等をするのか、続けるか。
また、地域で作った防災計画を、市町村の防災計画に盛り込んでもらうことで、地域と市町村の連携がしやすくなるといった話もありました。
いまでは「近所付き合い訓練」と呼んでいるそうです。
日頃からの近所付き合いが防災・減災に繋がると思うので、うんうんと頷いちゃいました。
さらに、子どもたちへの教育がとても大切であることも話題のひとつとして挙げられました。

地域防災計画の4Kとして以下の4つの活動で締めくくられました。
・防災コーディネーターを中心とした継続的な活動
・自治会や専門家の協力・指導に基づく、実態に即した協働活動
・情報の共有を通じて、賢い住民を育む活動
・小中学生に対する啓蒙活動

もうひとつは、防災・減災を考えるうえで、視覚的に分かりやすいツール、地理情報システム「ひなた GIS」の紹介です。

例えばこれは一例ですが、地図のうえに急傾斜地崩壊危険個所や土石流危険渓流、洪水浸水想定などの情報を重ね合わせてみることが出来ます。
でも、こうした情報には、前提条件や注意点があることも多く、専門家と一緒に見ることも大事だと思いました。

例えばこんな感じです

踏査中にも見させてもらい、分かりやすいと思って見ていました、検討会中に抜里のみなさんと一緒に見て、こういうツールを使って、現地を見ながら防災・減災について考えることで、参加者の理解がより進むんだなと思いました。

おわりに

ひとりでも多くの方が、安心して暮らせますように。
そのための安全です。
安全に避難できることが、安心につながります。
わたしに出来ることを、わたしなりにやっていく。

では。


関心を持ってくれてありがとうございます。 いただいたサポートは、取材のために使わせていただきます。 わたしも普段からあちらこちらにサポートさせてもらっています。 サポートはしてもしてもらっても気持ちが嬉しいですよね。 よろしくお願いしますね。