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過去を書く日記

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自分の日記のまとめです。 文字通り、昨日や今日のことでなく、過去の一瞬を思い出して書いています。
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「サザン in the car」2014年 8月頃

「サザン in the car」2014年 8月頃

 野々村竜太郎氏が号泣し、すき家のワンオペが今更問題になっていた夏、僕らは車で阿蘇の先輩の家に向かっていた。
 車内には僕も含め20代から30代初めの独身男性が四名。
いずれも同じ大学の文化系サークル出身者だ。
 話題は最近あったことや思い出話、基本的に男だけなのでバカな話に花を咲かせていて、わいわいと熊本市方面から車を走らせていた。
 渋滞情報や天気予報を聞くため、カーラジオはオンになっていたが

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「トムソーヤ」
2002年5月頃

「トムソーヤ」 2002年5月頃

 全国の中高生が多摩川のアザラシの動向を見守りながら、モンゴル800の『あなたに』と『小さな恋のうた』をカラオケで練習しまくってた頃、僕は中学三年生だった。
 僕は駅伝部に入っていて、受験はずっと先のことのように思っていて、弟が新一年として同じ駅伝部に入部してきたことに困惑していた。
そんなある日の放課後の砂場で同じ駅伝部のNくんとMくんと話をしていた。
 「最近、だるくね?」
  Mくんが言う。

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「赤い女」2006年7月頃

「赤い女」2006年7月頃

  2006年7月、まだKAT-TUNは6人でCDデビューしたばかりだったこの頃、僕は浪人生だった。毎日、北九州予備校博多駅校に電車で通っていた。
この日はたしか土日のどちらかだったと思う。
 毎日の予備校での自習に飽きて、今日くらいは帰ろうと昼過ぎに電車に乗った。
 博多駅発の下りの地下鉄はいつも通り空いていて、僕は連日長時間の勉強に疲れ、座席に腰を下ろして考え事をしていた。
 何駅かを過ぎて、

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『トゲコウラにひたすら当たる遊び』1999年くらいの夏

『トゲコウラにひたすら当たる遊び』1999年くらいの夏

 僕は小学校6年生で、放課後は毎日、Iくんの家でゲームをしていた。
 その日も僕はIくんの家に遊びに行っていた。
 「ねえ、マリオカートの新しい遊び方を思いついたんだけど知りたい?」
 部屋に入ると、Iくんは自慢げに言ってきた。
 マリオカート64は言わずと知れた人気レースゲームで、この頃、Iくんや他の友達も含めて遊ぶ定番ソフトだった。
 しかし、発売からこの当時ですでに2年半以上経っており、僕ら

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『絶対に成功する告白方法』2009年6月ごろ

『絶対に成功する告白方法』2009年6月ごろ

 あるとき、同じ下宿に住んでいたKという先輩に「絶対に成功する告白方法を教えてやるよ」と言われた。
 2階建ての土壁の建物に、郵便受けが一つ、四畳半の部屋が四つ、トイレが一階に一つ、流しが各階に一つずつ、お風呂は母屋に行かないとない。
春の初め、庭にフキノトウが目を出し、梅雨の時期に池にボウフラが沸き、夏が終わると毎年同じ球根から白い彼岸花が咲く。
毎朝、登校中の小学生が冗談で鳴らす防犯ブザーで起

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「ラブレター代筆」1996年秋くらい

「ラブレター代筆」1996年秋くらい

 僕が小学二年生のときのことだ。昼休みにタイヤ山で遊んでいたところを同じクラスの女子、Yさんに呼び出された。
 正直どきどきしていた。恐怖的な意味でである。このときの僕に女性に対する興味関心は皆無だった。別の班だし、話したこともあんまりないのに何の用だろう。なんか怒られることでもしたっけかと思いながら教室に戻った。
 「これ読んでみて」
 Yさんは会うなり、レターセットのようなものを渡してきた。

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「マスオ」2018年5月26日(土)

「マスオ」2018年5月26日(土)

 朝から福岡市総合図書館で文章を書いていた。
 お昼ご飯を食べようと、図書館のホールへ行くと、フグ田マスオがいた。
正確にはマスオの着ぐるみだ。身長は2mくらいで、ただぼーっと立っていた。そばに職員のおじさんが二人いて、子供連れの親御さんたちに「写真撮影しましょうか」などと声をかけていた。

 最寄り駅の西新駅から総合図書館がある辺りまでの道は長谷川町子がここら辺でサザエさんを執筆していたことにち

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過去を書く日記を始めようと思う。

過去を書く日記を始めようと思う。

(中学一年だから2000年くらいの春)
 「日記とは元来、過去にあったことを思い返して書くものであって、別に今日とか昨日とかのことを書くと決まったものではないです」
 そんなことを中学校の古文の教師が言ったとき、僕は小学校の夏休みの絵日記を毎日まじめに書いていたのは何だったんだと思った。

 まあ、たぶんこんな風に日記を書く。僕の人生に面白おかしいポイントはなく、今も失敗を引きずったまま堕落してい

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