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不登校に関する最終調査報告書について特別支援学級教員が考えること

こんばんは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。
一つの記事を書き終えて、ふとYahoo!ニュースを見ていると、気になる記事がありましたので、初めて一日に二記事書きたいと思います。
不登校に関して特別支援学級教員が考えることについてお話しします。

文科省、不登校に関する最終調査報告書を通知

6月10日に文科省が学校等へ不登校に関する最終調査報告書を通知したようです。
まだ、私の基に通知は届いていませんが、きっと管理職には届いていることだと思います。
今回の調査報告については、通知として形になる前から話題になっていました。それは

これまで行ってきた調査で考えられてきた学校教員側の主張する”不登校の理由”と、当事者や当事者家族に聞き取りを行って分かった”不登校の理由”に明確な差があった

これは当然の結果だと思います。
企業で言うと、企業側の言い分と消費者側の言い分が合致することはほとんどないでしょう。この結果については当たり前のことがデータとして明らかになったということだと私は考えています。
大事なことは、この明らかになった結果をどのように活用していくかと言うことでしょう。

今回の通知で注目すべき点

今回の件で注目すべき点は以下の点だと考えています。

不登校の考え方として、登校という結果のみを目標とせず社会的自立を図ること、状況によっては休養が必要であり、学校に行けなくても悲観する必要はなくさまざまな教育機会を活用することが必要としている。

まとめると5点です。

  • 登校と言う結果のみを目標としない

  • 社会自立が目標

  • 状況によっては休養が必要

  • 学校に行けなくても悲観しない

  • さまざまな教育機会を活用する

ただし、これらの文言については扱いを慎重にしなくてはいけないと感じました。

良かった点:学校絶対主義からの脱却

今回の通知は、いわば学校絶対主義からの脱却と言えます。
本人や保護者が学校教育を望んでいない例は多数あります。
また、その「学校へ行かずに休息したい」という期間が必要な子もいます。
何よりも、子どもの学び方は多様です。
学校教育がそれらに柔軟に対応できていない現状では、そこに子どもを縛ることが適切ではないこともあります。
場合によっては福祉やフリースクールといった場所を活用することでその子自身が成長する場合もあるでしょう。
そういった点で、学校を絶対とする考え方から脱却できたことは、今回の通知の大きな一歩だと感じました。

懸念される点:学校側の怠慢が起こるのではないか

今回の通知を逆手にとることも危惧されます。

状況によっては休養が必要

”状況”は誰が判断するのでしょうか。
そして、”休養”の期間はどのように規定されていくのでしょうか。
自由度の高い文であるため、不明確に感じられます。
つまり、学校側の裁量で、

この子は現在休養が必要である

として、支援を断ち切ってしまう可能性だって無いわけではありません。
この通知のもつ意味を、教員各自が認識して、初めてこの通知が生きると考えています。

現状から改善すべき点:フリースクール等の裁量権

フリースクール等を活用して、学びの場を多様化させることに関しては異議ありません
ただ、フリースクールを卒業した場合の、進学はどうなっていくのかを明確にしなくてはいけないのではないでしょうか。
内申点はどうなっていくのか。
民間での学習保証はどのようになっていくのか。
就職にどのようにはたらくのか。
など、学校と言ういわゆる”これまでの正規ルート”を通ると見えていた展望が、はっきりと見えないと真の活用は難しいのではないでしょうか。

学校はやっぱり努力し続けなくてはいけない

たとえ、学校以外の学習の場が多様化したとしても、学校が硬直化して良いわけではないでしょう。記事の中に

学校を休んでいる間の「最初のきっかけとは別の学校に行きづらくなる理由」では、「勉強がわからない」が最多

ということが気になりました。
実は、学校の中には、教育委員会からの指導では無く、学校現場のみの判断で「校内通級指導教室」を開設している場所もあります。これらは校長判断で行っています。
現場でできることは何なのか。本当に子どもに必要なことは何なのかを突き詰めることができれば、可能なことはもっとあるはずです。(もちろん本来は正式な予算整備、人員配置が必要です。)

不登校対策の一つの方法として、MLAという考え方があります。

包括的生徒指導プログラムという世界標準の指導方法を、広島大学の栗原先生が日本版にアレンジしたものです。
”誰もが行きたくなる学校・学級”を目指すということを合言葉に、登校している子どもたちに対して様々な指導をしていきます。
結果として、子どもたちの考え方が豊かになり、不登校の児童・生徒が学校に魅力を感じるようになるという仕組みです。
今、実践している学校が増えてきています。
学びの場所の多様化と、学校の魅力化は、不登校対策の両輪なのかもしれません。
では、またね~!

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