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許されない性的虐待―ジャニーズの性加害を告発して

元ジャニーズJrのカウアン・オカモト氏の著書「ユー。ジャニーズの性加害を告発して」を読みました。
その加害の実態のあまりの生々しさにショックを受けました。



カウアン・オカモト氏は今年4月、日本外国特派員協会で、ジャニーズ事務所創業者のジャニー喜多川氏による性加害について、被害者として初めて実名・顔出しで記者会見しました。

イギリスBBCのドキュメンタリー放送を受けてのものでしたが、これをきっかけに日本での報道も増え、他にも多くの被害者が名乗り出て、ジャニー喜多川氏による長年にわたる未成年者に対する性的虐待が明らかになりました。



カウアン氏は日本で働く日系ブラジル人3世の両親のもとに愛知県豊橋市で生まれました。

「カウアン」という名前はブラジルでも少し珍しく、先住民の言葉で「鷹」という意味だそうです。
両親は日本語をしゃべれずほとんどブラジル人コミュニティで育ったため、カウアン氏は日本
の学校にもなかなかなじめなかったそうです。

そのような生活の中で支えになったのが音楽でした。
ジャスティン・ビーバーにあこがれ、音楽で成功することを人生の目標にするようになります。


そして運命の日、2012年2月12日、カウアン氏の携帯にジャニー氏から直接電話がかかってきて上京を促されます。
ジャニー氏に言われて、その日のSexyZoneのライブで5000人の聴衆の前でジャスティン・ビーバーの「Baby」をアカペラで歌いました。

その後ジャニー氏と食事をして彼のマンションにほかのジュニアたちと一緒に泊まることになります。
この成功で、カウアン氏はジャニーズJrのメンバーとなりました。

しかし、それは同時にジャニー氏の性的虐待の被害者となることでした。

カウアン氏はジャニー氏のお気に入りとなりマンションの鍵をもたされ、ジャニー氏のマンションに自由に泊まることができるようになりました。
そしてそのマンションに泊まったときに性的被害にあったのです。

カウアン氏はジャニーズ事務所に入るまでジャニー氏がジュニアを襲うということは知らなかったそうです。

最初の被害はジャニーズに入ってすぐの2012年3月でした。
次の日エレベータの中で1万円渡されたそうです。

ジャニー氏のマンションに泊まったことのあるジュニアはほとんど被害に遭っていたようです。
つまりジャニー氏のマンションはハーレム状態で毎晩誰かがジャニー氏の相手をしていたようです。


被害を名乗り出ている元ジャニーズたちは被害当時未成年で、明らかに児童に対する性的虐待です。
周囲の大人たちも知っていたであろうに長年放置されていたのは驚きです。
12歳で被害に遭った元ジュニアはマネージャーに被害を訴えたそうですが、「テレビに出られるんだからいいじゃん」と言われたそうです。

エンターテインメントの世界に憧れてジャニーズ事務所に入った子どもたちにとっては残酷な現実だったとことでしょう。

カウアン氏は2016年にジャニーズ事務所を退所し、その後自分のルーツでもあるブラジルでも活動します。
日本では否定されるアイデンティティもブラジルではすべて肯定されたそうです。

幼いときからボルトガル語と日本語で生活し、常に世界での成功を夢見ていたからこそ、国内のしがらみにとらわれることなく、ジャニーズ事務所の内情を話すことができたのでしょう。


今回の問題もまずカウアン氏がガーシー(東谷義和)のYouTubeで告白して、次にBBCのドキュメンタリーがあって、週刊文春の報道があって、外国特派員協会の記者会見があってという順番で、日本のテレビ新聞などの大手メディアは一番最後に報道しています。

スポンサー企業がジャニーズタレントを使わないという動きが本格化して、初めて重い腰をあげて日本の大手は報道するようになった感じです。

今もテレビはジャニーズのタレントを使っているし、未成年者の性的虐待に対する認識が甘すぎると思います。
テレビ朝日にいたってはいまだに自らの報道姿勢について検証もしていません。
ひたすら嵐が過ぎ去るのをまっているようです。


国会では児童虐待防止法の改正が検討されています。
いまの法律では、性的虐待を含む児童虐待は親権をもつ両親だけに適用されますが、それを児童(法律的には18歳未満の男女)を預かる芸能事務所の幹部や部活動の顧問、宗教団体の幹部などに範囲を広げるというものです。

刑法の性犯罪の性的同意年齢も13歳からようやく16歳に引き上げられましたが18歳まで引き上げるべきでは。
18歳未満に対する性的行為は原則すべて同意の有無に関係なく犯罪として扱っていくべきと思います。


ジャニーズ事務所のこれまでの性的加害についても膿を出し切り、エンターテインメントの世界での成功を夢見る子どもたちが安心して可能性にチャレンジできるよう、業界全体で性加害追放に取り組んでいってほしいものです。


執筆者、ゆこりん

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