2輪ロードレースチラシの裏

2輪ロードレース(MotoGP、WSBK、EWC等。主にWSBK)についてちょっとマニ…

2輪ロードレースチラシの裏

2輪ロードレース(MotoGP、WSBK、EWC等。主にWSBK)についてちょっとマニアックなことを書いていこうと思います。 偉そうなことを書いていますが何分素人なので至らぬ点はご容赦ください。間違いがあればご指摘いただけると幸いです。

記事一覧

WSBKポルティマオ

 WSBKポルティマオ大会が終了しました。またしてもと言うべきか、トプラク・ラズガットリオグルが3レース全てを勝利、チャンピオンシップのリードをさらに広げています。S…

WSBKモスト・2024前半戦

 WSBKモスト大会が終了し、これで2024年のWSBK全12戦のうち丁度半分が経過したことになります。今回はモスト大会と前半戦のまとめを行いたいと思います。 WSBKモスト モ…

2024 鈴鹿8耐

 2024年の鈴鹿8時間耐久ロードレースが終了しました。今回は今年の鈴鹿8耐を取り上げたいと思います。  終わってみればHRCが3連覇、通算30勝を達成し、最多周回記録も更…

WSBKドニントンラウンド

 WSBKドニントン大会が終了しました。またしてもトプラク・ラズガットリオグルが3レース全てを制し、アッセンレース2以来これで7連勝です。特にレース1ではラズガットリオ…

2024鈴鹿8耐プレビュー

 鈴鹿8時間耐久ロードレースが目前に迫ってきましたので、遅ればせながら6月19日、20日の2日間で行われた鈴鹿8耐の事前テストを中心に鈴鹿8耐のプレビューを行いたいと思…

WSBK 不合理で不可解なホンダの選択

 2020年の開幕戦でマルク・マルケスが怪我で長期欠場してからというものホンダはMotoGPでずっと低迷を続けていますが、WSBKでの低迷はそれ以前から続いています。ホンダが…

WSBKの不確実な未来

 ミサノのレースウィークの金曜にMSMA(Motorcycle Sport Manufacturers Association、モーターサイクルスポーツ製造者協会)の会合が開かれており、その会合において2027年…

WSBKミサノラウンド

 WSBK2024年の第4戦、ミサノ・サーキット・マルコ・シモンチェリが終了しました。BMWのトプラク・ラズガットリオグルが3つのレース全てを勝利、ハットトリックを決めてラ…

スズキCNチャレンジとEWCエクスペリメンタルクラス

 2024年3月22日、スズキが「スズキCNチャレンジ」と題して鈴鹿8時間耐久ロードレース(以下、鈴鹿8耐)に参戦することが発表されました。参戦クラスはエクスペリメンタルク…

MotoGPが電動化される日は来るのか?

 近年世の中は脱炭素が声高に叫ばれ、各国政府も企業も自動車のEV化を進めており、2030年代に新車販売を全面的にEVへ移行するのを目標に掲げている国やメーカーもあります…

2027年からのMotoGP新レギュレーション

 去る6月5日、FIMより2027年から施行されるMotoGPクラスの新レギュレーションの変更内容が発表されました。今回はこのMotoGPの新レギュレーションについて取り上げたいと…

WSBKのレブリミット規制を振り返る その3

レブリミット規制の問題点 ドルナとFIMは今年、2024年を最後にWSBKのレブリミット規制を終了し、代わりに来年2025年より燃料流量制限を導入する予定です。過去2回に渡りレ…

ビモータのWSBK復帰の意味するもの

 4月24日、カワサキレーシングチームのHPからビモータが2025年にWSBKに復帰するというプレスリリースがありました。  これの意味するものは一体何なのでしょうか。今回…

WSBKのレブリミット規制を振り返る その2

 今回は各社の参戦車両に適用されたレブリミットの推移について取り上げていきたいと思います。  今年の開幕時点で各社に適用されたレブリミットは以下のとおりです。 …

WSBKのレブリミット規制を振り返る その1

 WSBKにレブリミット規制が導入されたのは2018年の事でした。導入の目的はコストダウンやメーカーおよびチーム間の戦力格差を縮小するというものでしたが、FIMはこのレブ…

WSBKカタルニアラウンド

 WSBK2024年の第2戦、カタルニアが終了しました。今回はこのカタルニアで行われたレースを取り上げたいと思います。  開幕戦の行われたフィリップアイランドは非常に路…

WSBKポルティマオ

WSBKポルティマオ

 WSBKポルティマオ大会が終了しました。またしてもと言うべきか、トプラク・ラズガットリオグルが3レース全てを勝利、チャンピオンシップのリードをさらに広げています。SPレースでの勝利はWSBKの最多連勝新記録の12連勝、レース2ではさらにこれを13に伸ばしており、この記録が一体どこまで伸びるのかも興味深いところです。

 今回、ラズガットリオグルは前戦までに比べ余裕が無いようにも見え、フリー走行で

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WSBKモスト・2024前半戦

WSBKモスト・2024前半戦

 WSBKモスト大会が終了し、これで2024年のWSBK全12戦のうち丁度半分が経過したことになります。今回はモスト大会と前半戦のまとめを行いたいと思います。

WSBKモスト モストではまたしてもトプラク・ラズガットリオグルがPP獲得から全てのレースを勝利しました。ラズガットリオグルはこれで3大会連続のハットトリックで、アッセンレース2の勝利から数えて10連勝、WSBKの連勝記録11まであと一つ

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2024 鈴鹿8耐

2024 鈴鹿8耐

 2024年の鈴鹿8時間耐久ロードレースが終了しました。今回は今年の鈴鹿8耐を取り上げたいと思います。

 終わってみればHRCが3連覇、通算30勝を達成し、最多周回記録も更新するおまけ付きで、近年MotoGPやWSBKがどん底の低迷に喘ぐ中、ホンダは最後の砦とも言える鈴鹿8耐の勝利でなんとか面目を保った格好でしょうか。

上位チームのピット戦略

今回の上位4チームのピットイン周回数と各ライダー

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WSBKドニントンラウンド

WSBKドニントンラウンド

 WSBKドニントン大会が終了しました。またしてもトプラク・ラズガットリオグルが3レース全てを制し、アッセンレース2以来これで7連勝です。特にレース1ではラズガットリオグルが2位のアレックス・ロウズに11秒もの大差を付ける独走劇でした。これに危機感を覚えたのか、ドゥカティはレース1の後FIMに対しBMWが使用している座面を低くしたシートがレギュレーションに抵触しないのか説明を求めたそうです。これは

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2024鈴鹿8耐プレビュー

2024鈴鹿8耐プレビュー

 鈴鹿8時間耐久ロードレースが目前に迫ってきましたので、遅ればせながら6月19日、20日の2日間で行われた鈴鹿8耐の事前テストを中心に鈴鹿8耐のプレビューを行いたいと思います。
 今年の鈴鹿8耐はWSBKのモスト大会と日程が被っているため、WSBKライダーは参加できませんが、MotoGPとは日程が被っておらず、久々に現役のGPライダーが参加します。ホンダのワークスチームであるHRCにLCRホンダの

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WSBK 不合理で不可解なホンダの選択

WSBK 不合理で不可解なホンダの選択

 2020年の開幕戦でマルク・マルケスが怪我で長期欠場してからというものホンダはMotoGPでずっと低迷を続けていますが、WSBKでの低迷はそれ以前から続いています。ホンダがWSBKで最後に勝利したのは2016年第6戦セパンサーキット雨のレース2、故ニッキー・ヘイデンが最後でした。今年2024年が未勝利に終われば丸8年間未勝利で、これはWSBKの歴史上ワースト記録です。ドライコンディションでの勝利

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WSBKの不確実な未来

WSBKの不確実な未来

 ミサノのレースウィークの金曜にMSMA(Motorcycle Sport Manufacturers Association、モーターサイクルスポーツ製造者協会)の会合が開かれており、その会合において2027年からWSBKとEWCを統合、年10戦をスプリント、3戦を耐久レースの複合選手権にするというアイデアが出たそうです。これだけ聞くと実に突拍子もない話なのですが、実は現在ドルナスポーツが主催し

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WSBKミサノラウンド

WSBKミサノラウンド

 WSBK2024年の第4戦、ミサノ・サーキット・マルコ・シモンチェリが終了しました。BMWのトプラク・ラズガットリオグルが3つのレース全てを勝利、ハットトリックを決めてランキングトップを奪うどころかライバル勢を更に突き放すというまさかの結末でした。

 5月末に同じミサノで行われた事前テストではラズガットリオグルが一番時計を叩き出していたのでこうなる可能性は十分にあったとも言えるのですが、近年ミ

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スズキCNチャレンジとEWCエクスペリメンタルクラス

スズキCNチャレンジとEWCエクスペリメンタルクラス

 2024年3月22日、スズキが「スズキCNチャレンジ」と題して鈴鹿8時間耐久ロードレース(以下、鈴鹿8耐)に参戦することが発表されました。参戦クラスはエクスペリメンタルクラスで燃料にサステナブル燃料を、車体やタイヤに再生素材を使用するということです。「CN」は”Carbon Neutral”の略のようです。
 今回は、EWCエクスペリメンタルクラスのレギュレーションからこのスズキCNチャレンジの

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MotoGPが電動化される日は来るのか?

MotoGPが電動化される日は来るのか?

 近年世の中は脱炭素が声高に叫ばれ、各国政府も企業も自動車のEV化を進めており、2030年代に新車販売を全面的にEVへ移行するのを目標に掲げている国やメーカーもあります(最近になって若干トーンダウンしているようですが)。モータースポーツでも4輪はフォーミュラE、2輪にはMotoEというカテゴリーが新設され、MotoEは今年で6年目を迎えています。これは将来の脱炭素に向けた可能性を探る目的もあると思

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2027年からのMotoGP新レギュレーション

2027年からのMotoGP新レギュレーション

 去る6月5日、FIMより2027年から施行されるMotoGPクラスの新レギュレーションの変更内容が発表されました。今回はこのMotoGPの新レギュレーションについて取り上げたいと思います。

新レギュレーションの主な変更内容

 2027年以降のレギュレーションの主な変更内容は以下のとおりです。

排気量縮小。1000cc→850cc。最大ボア縮小。81mm→75mm

エンジン使用数削減。7基

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WSBKのレブリミット規制を振り返る その3

WSBKのレブリミット規制を振り返る その3

レブリミット規制の問題点 ドルナとFIMは今年、2024年を最後にWSBKのレブリミット規制を終了し、代わりに来年2025年より燃料流量制限を導入する予定です。過去2回に渡りレブリミット規制導入の経緯と経過について扱ってきました。その1で取り上げた通り、このレブリミット規制には当時のWSBKが抱えていた様々な問題を解決する目的がありましたが、結果としてその目的は十分に果たせたとは言えず、かえって新

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ビモータのWSBK復帰の意味するもの

ビモータのWSBK復帰の意味するもの

 4月24日、カワサキレーシングチームのHPからビモータが2025年にWSBKに復帰するというプレスリリースがありました。

 これの意味するものは一体何なのでしょうか。今回は予定を変更してビモータの復帰とそれに伴ってカワサキのスーパーバイク参戦がどう変わるのか考察してみたいと思います。

 現時点ではリリースに書かれている以上の情報は無く、ネット上にはそれを元にした様々な憶測が飛んでいる状態です

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WSBKのレブリミット規制を振り返る その2

WSBKのレブリミット規制を振り返る その2

 今回は各社の参戦車両に適用されたレブリミットの推移について取り上げていきたいと思います。
 今年の開幕時点で各社に適用されたレブリミットは以下のとおりです。

ドゥカティ 16,100rpm

ホンダ 15,600rpm

BMW 15,500rpm

ヤマハ 15,200rpm

カワサキ 15,100rpm

 これらの数値がどのような理由で決められたのか、メーカー(車種)毎に追っていきまし

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WSBKのレブリミット規制を振り返る その1

WSBKのレブリミット規制を振り返る その1

 WSBKにレブリミット規制が導入されたのは2018年の事でした。導入の目的はコストダウンやメーカーおよびチーム間の戦力格差を縮小するというものでしたが、FIMはこのレブリミット規制を今年2024年限りで廃止し、これに替えて2025年からは燃料流量制限を導入する予定です。今回から今年で最後となるであろうレブリミット規制について取り上げていきたいと思います。初回はWSBKのレブリミットの導入の経緯と

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WSBKカタルニアラウンド

WSBKカタルニアラウンド

 WSBK2024年の第2戦、カタルニアが終了しました。今回はこのカタルニアで行われたレースを取り上げたいと思います。

 開幕戦の行われたフィリップアイランドは非常に路面グリップの高いサーキットですが、カタルニアは逆に非常に路面グリップの低いサーキットです。路面グリップは対極のサーキットですが、共にタイヤライフに非常に厳しいサーキットです。フィリップアイランドでは再舗装によってタイヤへの攻撃性が

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