![マガジンのカバー画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/93402319/7757c2c1e1671ca13dc7871054699ff2.jpeg?width=800)
- 運営しているクリエイター
#ミステリー
新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part1ロンドの旅 全編
Part1 ロンドの旅
Chap1 ニューヨークの事件1.探索
ニューヨーク郊外で3人は1人の女性を待っていた。
七分袖のジャケットにTシャツとハーフパンツ、革靴を合わせた男性と、シンプルなワンピースを着た少女2人は、全身をまっさらな白色で揃えている。さらに、肩まであるストレートの金髪と金色の瞳はこの3人に共通していて、いささか異彩を放っていた。
初めまして。
腰まである黒髪ストレート
新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part2ソナタの旅 全編
Chap1ルンビニの事件1.悲願
朝起きるとすぐ異変に気付いた。自慢の黒髪ロングストレートがベリーショートになっている。縮毛矯正も期限切れでクシャクシャだ。だが、程なくしてそれは自身の決断だったことを思い出す。昨日、長年伸ばし続けた髪と訣別したのだ。それは決して後戻りをしないという、彼女の決意表明であった。一見穏やかにも感じ取れる日常は、少しずつ蝕まれていて、音を立てて崩れ落ちるのは時間の問題だ
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
37.動揺
王様ゲームでSにデリートされた5名は翌日になってもやはり現れなかった。彼らの言うとおり"帰った"のだろうか。残ったロンド、ソナタ、旧友、赤髪女、金髪男は最後の競技
"推理合戦"の会場にいた。ここは王様ゲームと同じ場所だ。以前として責任者の女性は現れず、代理の黒服が説明を始めた。
おはようございます。本日が研修8日目となり、最後の競技が始まります。あさって最終日の10日目午前中まで
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
36.消去
久しぶりに皆さんで頂く食事をお楽しみください。
最後に見たのはいつだろうか。自称"責任者"の女性は姿を現していない。そして、他にも何人か会場にいるはずの人物がいないようだ。
う〜ん。どういうことかなぁ。本当にデリートされちゃったとかぁ?
あなた、不謹慎よ。
だが、王様ゲームでデリートされたプレイヤーたちがここにいないのは事実だね。…1人を除いては。
あら?私のこと
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
35.微睡
作戦は完璧だった。役割は直前に知らされるし、競技中の接触が禁止されているにも関わらず見事ね。とても子供とは思えないわ…あなたたち何者?!
すでに隠すことはなくなったため、赤髪女は率直に感想を述べた。
はは。確かにまだ10年も生きていませんね。
じゃあ今日と明日は私に投票をよろしく〜。
この日ソナタはチェックを使い、Cチームのパサパサ金髪男がFOXであることを特定し、Sで
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
34.策士
BチームとDチームは合計6名。プレイヤー10名に対して過半数を仲間にすることが勝利への近道である。だが王子やSなどの役割は競技開始直前に知らされ、その後プレイヤー間の接触は禁じられている。そのため競技中に互いの役割を共有できるように予め準備していたのだ。まず6名の中にSがいれば正直に名乗り出ることを決めていたため、赤髪は自分がSであることを公表した。そのあとロンドもSだと言ったのは撹
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
33.口裏
ん〜残念ながら俺は君には投票できないねぇ。どちらにせよ、今日Sは王子であることが確定している君をデリートするよねぇ。つまり君を国王にするってことはSに100ポイントを差し出すのと同義なんだよぉ。
ははは!そりゃそうだ。よく言った!おい、そこのデカいの!お前が王になることはあり得ないぞ。
う…たしかに…。
ってことは、FOXを王様に選ぶのがいいですよね?
久しぶりに高身
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
32.口喧
今日この後どうなるかを予測してみましょう。きっとSはFOXではないことが確定しているAチームの彼を狙うわね。いまの見立てでは騎士はもういないはずだから次に追放されるのはAチームの彼ってことになるわ。
そうだな。じゃあ今日王様に選ばれたやつはどうすれば良いか考えようじゃないか。そこのガキが嘘をついていて、もしFOXだったら道連れにされちまう。まあ俺じゃなければそれでも良いがな。
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
31.迎合
王様ゲームは5日間の競技だ。今日はその真ん中の3日目であるが、競技自体は1時間で終わるため残りの23時間は自由に使える時間となる。ただし他プレイヤーや外界との接触はできず、時間を持て余すプレイヤーは少ない。部屋にある本を読むか、のんびり入浴するか、ひたすらに眠るか…これといった選択肢がないのだ。捉え方によっては競技に集中し、勝利する方法を模索する時間が十分にあると言えるが、人間はそう
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
30.腹心
自己申告の結果は、Aチームの巨漢が王子(確定)、BチームのロンドがS、赤髪女もS、Cチームの金髪男が家臣、ツンケン女も家臣、もう一人の男は騎士B、Dチームのソナタが家臣、旧友も家臣、20歳女も家臣であった。FOXと騎士Aと申告したプレイヤーはいなかった。
さて、次は誰を国王にするかを決めて、そいつがBチームのどっちかをデリートすればいいってことだな。
あくまでも自己申告だけど
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
29.御託
翌朝プレイヤーたちは前日と同じ会場にいた。遠目に確認できる限り、追放された中学生の姿はないようだ。進行役の合図とともに本日の"会議"が開始される。やはり口火を切ったのはパサパサ金髪男だ。
みんなは昨日の結果をどう見た?俺はデリートされたやつが騎士Aだと思っている。なぜなら…。
おそらくプレイヤー全員が最初に考察したプロセスを、さも自分だけが発見した新しい可能性かのように雄弁に語
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
28.思議
それでは結果発表です。ここではデリートの結果のみが公表されます。今回デリートされたのは…
ま、そうなるよねぇ…。
初日はDチームの1人である中学生の女性が追放されるという結果となった。彼女はSではなかったらしく、競技は続行されるようだ。他に追放されたものはいなかった。
それでは本日の競技は終了となります。本競技は他者との一切の接触が禁止となるため、明日から係員がみなさんの
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
27.妖狐
Bチームの赤髪の女性は自分の役割を公言した。
…それをいま言うメリットは?
発言機会が多いチームのパサパサ金髪男が透かさず返す。
ゲームを終わらせて早く帰りたいからよ。こんな茶番10日間もやってられないわ!
彼女の意見に同意したプレイヤーも少なくない。"上"が主催する研修だから無条件で受け入れるしかないという理由で参加している者が多いのだから当然である。
とか言ってあ
新感覚!解決しないミステリー小説ロンドの旅Part2.ソナタの旅Chap.3マスカットの事件
26.辯論
受講者10人は円の形に座っていて、それぞれの目の前にはタブレットが置かれたデスクが設置されていた。まもなく2つ目の競技が始まろうとしている。各々が配布されたスマホでルールを確認してから自由な時間は十分にあったため徒党を組むことは容易にできる状況だった。個人戦とは言え、最終的にはメンバーが持つポイントの合計点で勝敗が決まる以上、勝利を目指すなら協力してチームの誰かを勝たせるのが定石だろ