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#口語自由詩
2021/07/09 即興詩「あなたの中の歌の源泉」
歌を歌う
それは あらゆる条件を伴う
身体が健康であること
歌いたい歌があること
そして 歌う意志があること
歌う意思は 内在している
外側にはない
あるとしたら 羨望か憧れか嫉妬
それらは 歌う動機ではない
もっと根源的に
「歌いたい」
その純粋な気持ちを
今も大切にしているだろうか
歌を歌う
それは あらゆる条件を満たしても
心の内から生まれるものがなければ
当人にとって
何の意味もな
2021/07/13 即興詩「手を離す」
メーターを振り切る時
人は行動の予測が出来なくなる
そのこと自体は問題ではなく
振り切り方で結果が変わる
手を離す感覚
僕はこれがほしかった
過去の執着を捨てること
今の流れに乗っかること
必要なことは
今全てここにあると信じること
そうやって
振り切るメーターもある
怒りに身を任せる時
これはメーターの制御装置も
振り切ってしまう
身体が止めようとする
もうやめて
もうやめて
何かを許せ
2021/07/12 即興詩「人生が、スイッチする」
いつからか
僕の意識が
別の人生を歩んでいる気がするのは
きっと僕が
一度何かを
諦めたからだろう
明日になれば
また違う僕が
顔を出すと
信じて疑わなかったあの頃は
朝を迎えるのが
楽しみで仕方がなかった
暮らしの中の
小さな喜びさえ
僕の恒常性を
変えることはできず
そんな風に
僕以外の何かに
期待していることが
嫌で嫌で
嫌で嫌で
それでも
何かに期待できたあの頃は
きっと 輝いていた
2021/07/11 即興詩「脱皮」
自分を正当化しようとすればするほど
自分はまずい状況である
それを人は経験的に学ぶが
どうしても許せないことがあると
まずい状況であることを忘れる
正しいか正しくないかを学校で学び
社会において
正しいか正しくないかを問われることは
実はほとんどないということを体験し
焼き付けられた信念と
目の前の現実の
刃を競り合わせる
そうした理不尽の中で
自分が正しいと教えられてきたことと
それを脱いで
2021/07/08 即興詩「構図」
意味のないことを
意味のあることにするために
多くの人が犠牲を払い
多くの人が悲しみを抱く
そんな構図を
描くほうが悪いのか
そのままにするほうが悪いのか
そもそも責任は存在せず
文句を言う人と
文句を言われる人がいるだけで
私は できれば
そのどちらにも属したくない
あなたのそれ 素敵だね
僕のこれ 素敵でしょう
それだけで回る世界に行きたいな
何かに悲しんでいるうちはきっと
潜んでい
2021/07/07 即興詩「わからない恐怖」
暗いところにいた
一匹の魚は
何を根拠に
前へ進むのだろう
それでも彼は
迷わず進んでいるように見える
そんなこと
人間じゃ考えられない
不思議なことは
この世にたくさんある
それは全て
解明されないといけないのかな
わからないまま
共に過ごすことはできないのかな
暗いところにいた
一匹の魚は
やがて力尽きて
海へ還る
それぞれの言葉に
意味を与えているのは
きっと 人間のエゴ
意味などな
2021/07/06 即興詩 「遅れて生きる僕」
歳を重ねれば
重ねるほど
今を捕まえる速度が
遅くなる
今を基準に判断したいのに
よぎるのは いつも過去
だから 君がいつまでも
あの頃の君のように
錯覚してしまうんだ
あの頃の君をもとに
今の君と接している
君が変われば
変わるほど
僕は混乱していく
変わることは喜ばしいことなのに
僕は混乱していく
流行りだけじゃなくて
今の君にも乗れないなんて
もう若く無いのかもしれない
だから 君がい
2021/07/05 即興詩「世界が変わる瞬間」
何の前触れもなく
何の準備もなく
目の前の世界が一変する
あまりの突然さに
ふとは戸惑うも
それは極々自然なことであることを後に知る
自分の意志で生きているというより
何かに生かされているという方が
本当は正しい
こうだ こうに違いない
決めてかかって試してみても
見たい景色は見えてこない
あくまで僕らが見ているのは
僕らにとって自然な世界
不要な世界は
突然終わる
それもまた自然
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2021/07/04 即興詩「ギター」
「ごめんね 鬱の体には ギターは合わないの」
彼女はそう言った
そんなこともあるんだ
誰にとっても心地いい音色じゃないんだ
「落ち着いた時に聴きたいのはギターだよ」
あなたはそう言った
普遍的な感覚として伝えてくれたが
僕は 少しわからなくなった
普遍的なものを
特別なものとして
特別なものを
普遍的なものとして
何かにあて がうように
応用を試みる僕らは
多分みんな科学者になりたいんだと思
2021/07/03 即興詩「一つの宝」
宝の山よりも
一つの宝を
僕が大切にしたいものは
そんなに多くない
金銀財宝は
価値がある世界でしか
価値はない
僕にとって価値があるものは
僕の価値観の中にしかない
大事の程度も
人それぞれで
僕はあの人ほど
持ち物を大切にできない
だけど 確かに大事だ
自分が大切にしたいものの
処遇については
誰にも文句を言われる筋合いはない
私があなたの大事なことを
そんなやり方ないよなんて言ったら
2021/07/02 即興詩「栄華の国、その後」
確かに築いてきた地位や名誉は
どれだけ綻びがあろうと
一旦は格好がつく
腐っても、という言葉は
いつの時代にもあった
またこの時代に生まれた
私は国の結末を知っている
それでもなお 今の暮らしを
必死に守り続けようとする
その姿に 私は何を伝えられようか
来る日もくる日も
目に見えて悪くなる情勢に
文句どころか
希望を持ち
生き続ける
それだけの誇りが
この国にはあった
あの夢から覚める頃に
2021/07/01 即興詩「文月の影」
見えないことに
恐れを抱くより
見えていることに
安心をしないこと
見えているものが
確かなものかは
実は確かめようがなく
見えていないものが
確かなものだということは
実は事実であることに気づきやすい
目に見えるものに
振り回される
目に見えないものは
振り回さない
目に見えるものから感じる
目に見えないもの
それを感じるために
文月の影を
そっと 受け入れる
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目に見え
2021/06/30 即興詩「わたしの境界線」
ついさっきまで
自分の中にいたのに
鼻水をかむと
急に汚いものに感じるのは
何故だろう
ついさっきまで
自分の中にいたのに
誰かに向けて
刺々しく
口から出てくることもある
身体の中から外に出たものは
果たして自分なのだろうか
はなくそや目くそも
自分なんだろうか
もし自分だったら
もっと大切にしても良さそう
もし自分じゃなかったら
その境界線はどこなんだろう
もしかして
自分と自分じゃない
2021/06/29 即興詩「月日、私の証 : 若しくは」
月日が経つことの幸せ
それは 誰しもが
いつでも 気づけるわけではない
歳を重ねることが
恐ろしくなればなるほど
その幸せは遠のいていく
生きた証を
誰もが欲している
私がこの世に生まれた証を
残したいと願う
しかしそれは 当たり前のようで
多くの場合
必要のないことだと気づいてからは
もう戻れないくらいの月日が経っている
月日の長さよりも
今この瞬間何を感じているか
そこに目を向けた時に