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【読書記録】坂の上の雲 一

ポイント

・立身出世主義が当時の若者を動かしていた
・「男子は生涯一事をなせば足る」


感想

男子は生涯一事をなせば足る」という言葉が印象的でした。
作中の人物の多くは立身出世を目指していて、時代もあってか勢いを感じる。
翻って、今はどうだろう?と考えていました。
「出世したい」「もっと給料がほしい」
そんな風に語る人は減っているように思いますし、かく言う私もそれらにはさほど欲がありません。
どちらが正しいということはないでしょうが、今となっては、本書で描かれるような「俺が世の中を動かすんだ」くらいの気概を持つことは大切なのかもしれないな、と考えた次第でした。
私にとっての「生涯をかけて成す一事」は何だろう?
常に考えて過ごしていきたいと思います。

メモ

  • 男にとって必要なのは、「若いころにはなにをしようかということであり、老いては何をしたかということである」というこのたったひとことだけを人生の目的としていた(p130)

  • 「男子は生涯一事をなせば足る」(p141)
    青春というのは、ひまで、ときに死ぬほど退屈で、しかもエネルギッシュで、こまったことにそのエネルギーを智恵が支配していない。「それが、若いことのよさだ」と、子規は歩きながら言った。(p181)

  • 「しかし、考えを結晶させる力が乏しいようだな」と、真之はいった。真之にいわせると、「考え」というものは液体か気体で、要するにとりとめがない。その液体か気体に論理という強力な触媒をあたえて固体にし、しかも結晶化する力が、思想家、哲学者といわれる者の力である。(p187)

  • 「人間は、自分の器量がともかくも発揮できる場所をえらばねばならない」秋山好古(p202)

  • 「指揮官の能力は、固有のものではない。操典の良否によるものだ」※操典:軍隊運動の基礎的動作 メッケル(p229)

  • 子規は喀血のはなしを、まるで岸辺にしゃがんで水の生態でも写生してゆくような調子で語った。ちょっと自分を突っぱなしたような、かといって自分に対する優しさをほどほどに籠めた子規のそういう淡彩な自己描写が、真之はすきであった。(p316)

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