見出し画像

【旅の休憩所③】この巻物(家系図)は一体どこから来たの?

後日、おじが小さな箱を持ってきました。厚紙でできていて、幅は20センチ程度。ふたを開けてみると、巻物が入っています。

▼箱の中身を見てみると……

画像1
画像4

紙の表面がボロボロで、なんとも古色蒼然としています。

名前を隠したもの

冒頭に前書きがあります。「地名」には、母の故郷である京都山城地域(京都と奈良の境目あたり)の町名が、「署名」には「N助」(仮名)と書かれていました。

えっ、N助?? 
N助って、ひいおじいちゃんの名前じゃなかったっけ……?

たしか、ひいおじいちゃんは昭和20年代に亡くなったはず。もしかして、ひいおじいちゃんが昔の家系図を書き写したのかな?

疑問に思いつつも、目を通します。

画像3
画像5
画像6
画像7

整然と文字が並んでいますが、すべて漢字で、なにが書かれているのかさっぱりわかりません。

▼巻物がうちにやってきた奇妙な経緯

私はおじに、そもそもこの家系図をどうやって手に入れたのかを尋ねました。するとおじは、

「いやあ、数年前たまたま手に入ってね

その経緯は、なんとも奇妙なものでした。

そもそも、家系図や仏壇などの「祭祀財産」は、長男が承継するのが一般的です。この家系図も、曽祖父が作ったものなので、曽祖父の長男の家系が承継しました(ちなみに、うちは三男の家系)。

数年前、曽祖父の長男の息子(仮に「B」と呼びます)が、職場で不祥事を起こしました。家庭があるにもかかわらず、女遊びにのめりこみ、借金を重ね、ついに職場のお金に手を出して、解雇されたのです。その後、自宅を借金のかたに取られてしまい、一家は離散。Bは行方不明になったそうです。

私は今回、遠縁であるBの存在を初めて知りましたが、とんでもない人ですね……。

その後、家を明け渡すときになっても、Bの家族が誰も来ないので、近くに住んでいたおじが呼び出され、その際、Bの自宅に残されていた大量の祭祀財産を引き取ってきました。そこに、この巻物も含まれていたのです。

おじはもともと曽祖父から、「うちの先祖は筒井順慶」と聞かされていたようですが、巻物の中身をみて、ますますその意を強くしたようでした。

▼本来の所有者は、もういない

実はこの半年後、おじから電話があり、驚くべき事実を告げられました。

Bが、東南アジアの某国で客死したというのです。

いつのまにかBは某国に渡航して、そこで暮らしていたようですが、ある日突然、路上に倒れて亡くなったのだそうです。病気なのか何なのか、死因は私にはわかりません。

おじは、現地の大使館だかの連絡を受けて、荼毘に付された遺骨を受け取ってきたのですが、そのとき、それまでの費用としてウン十万円を請求されたのだとか……。

「仕方ないから払ったけどね。高かったよ」
と、おじがポツリ。

こうして、この巻物は本来の所有者を失い、完全におじのものになりました。

おじの長男や他のいとこも家系図を見たらしいのですが、さほど興味を示さなかった様子。そこで、たまたまルーツ探しを始めた私のところに、おじが家系図を持ってきてくれたという経緯だったのです。

我ながら、なんだかドラマチックな話だなあと思います。

このブログを書き始めたころ、私は自分自身について、
「何かにつけ物事が大ごと(ドラマチック)になり、かつ、ラッキーな出来事が起こりやすい体質だ」
と書きましたが、これは誇張でも何でもありません。私がなにか始めようとすると、なぜか事態が大ごとに、おかしなことに発展しやすいのです。

今回も、私はただご先祖を探しに出かけただけなのに、いきなり山形で戦国時代のご先祖に出くわし、それ以来今に至るまで怒涛のように色々な出来事がおきて、そこから抜け出せなくなってしまいました。

ご先祖を探し始めると、ついその面白さに熱中してしまい、「沼」にはまり込む人が少なくないようですが、私の場合は特別、おかしな事態に発展しているように思えてなりません。

そのおかげで、私の人生はスリリングで冒険に満ちたものになり、楽しみが増えたので後悔はないのですが、これから先祖探しを始めようと思っている人は、覚悟をしたほうがいいかもしれません

……と、ちょっと脅したところで、次回は、この家系図に書かれている内容が一体なんなのかを明らかにしていきます。

(続く)

<<<次の話を読む(旅の休憩所④)

         >>>1つ前の話に戻る。(旅の休憩所②)



この記事が参加している募集

名前の由来

サポートありがとうございます! 近々、家系図のよくわからない部分を業者さんに現代語訳してもらおうと考えているので、サポートはその費用にあてさせていただきます。現代語訳はこのnoteで公開しますので、どうぞご期待ください。