- 運営しているクリエイター
記事一覧
【短編小説】街を廻せば④
みんなを幸せにしたはずだ。
なぜ俺は殺されるんだ?
猫を探す呪文女
杖が折れた魔女婆
プロポーズができなくなったドラキュラ男
財布をなくした鬼女
カツアゲされた亡霊青年
プロレスしたくてたまらない河童
全員助けたはずだ。
そう、全員…
そうか…
1人だけ忘れていた…
俺を刺した犯人も
幸せにしなければいけなかったのか。
でも、この状況でこんなヤバイ奴
幸せにできるのか!?
そもそ
【短編小説】街を廻せば③
俺は自分の2度目の死を悟り
過去を思い返していた。
あの時は幸せだったな。
嫁と娘と暮らしてた頃、全てが幸せだった。
幸せだった思い出が走馬灯のように頭に流れてきて少し涙が出そうになった。
1人感動しているのも
束の間、急に爺さんに胸ぐらを捕まれた。
「戦う気がない若造じゃ話にならん。
ワシはまだまだ若いということを証明したいんじゃ!若い奴と戦わせてくれ!」
胸ぐらを掴まれて離せない。
【短編小説】街を廻せば②
目が覚めると家にいた。
いつもの俺の部屋だ。
鏡で背中を確認すると傷は1つもなかった。
玄関ドアを開けて廊下を見てみると
血痕もなかった。
本当にあの日をやり直せるらしい。
ただし、あの日に会った全員を幸せにしないとまた刺されて殺される…。
俺は急いで町に出た。
まず、呪文を唱える若い女を探した。
昨日と同じ場所で同じように呪文を大声で唱えている。
「あんた、なんで呪文を唱えてる
【短編小説】街を廻せば①
この世に神様なんかいない。
俺の人生は最悪だ。
30代の頃に友人の連帯保証人になったせいで、莫大な借金を背負うことになった。
おかげで、せっかく立ち上げた会社は倒産した。
逃げるように
嫁と幼かった娘を残して離婚した。
53才にして
ようやく借金を返せたが
俺の周りには何も残ってない。
今日もせっかくの休みだと言うのに
やることがない。
だから、適当に町を歩いて
死ぬまでの時間を潰し