上田モモコ

momokomotionとして作詞作曲、DTM、翻訳、料理講師。音楽と言葉と料理がすき…

上田モモコ

momokomotionとして作詞作曲、DTM、翻訳、料理講師。音楽と言葉と料理がすきです。ゴールデン街で土曜日だけママをしています。モモコモーションTV」https://cutt.ly/TraXu2V、「モモコのタイ料理チャンネル」https://cutt.ly/BraZ7Jf

マガジン

  • モモコのゴールデン街日誌

    毎週土曜日ゴールデン街のソワレというお店で日替わりママをしています。 コロナ禍に創作活動も、仕事も激減、リモートワークばかりの生活に飽きあきしたことからはじめてみたゴールデン街の週1ママ。 コロナ禍にはお客も少なかったため、わたしのSNSを見た知り合いに、少しでもお店に足を運んでもらおうと思い、宣伝を兼ねて書き始めた日誌です。 インスタグラムにも投稿していますので、よかった見てください。 IG : @momokomotion

  • Momokomotion

    ミュージシャンです

  • モモコの「おしえて!!モーション!」

    ゲストのモヤモヤを聞いて曲にします。

最近の記事

モモコのゴールデン街日誌 「身に沁む」〜南米の黒縁メガネくん

店を開けたらすぐ、コロンビアから来たという若い男がひとりで入ってきた。28歳だという。 「イイデスカ?」 黒縁のメガネをかけており、大きな目が余計におおきく見えた。カールした髪も、上下で揃えたアディダスのスウェットも真っ黒だ。 入ってきてから、日本語しか話さない。しかし、ものすごくヘタだった。携帯の画面でグーグル翻訳を見ながら 「ビールイチ」 「クダサイ」 というので、 「そういう時はイチじゃなくて、『ひとつ』とか『一杯』っていうのよ」 と教えてあげた。 ちな

    • モモコのゴールデン街日誌「秋惜しむ」

      常連だった男性客が、ぱったり来なくなった。 彼女ができたからだ。 20代後半の青年 Dくんは、わたしの最初の常連客だった。 コロナ禍のまっ最中、わたしがカウンターに入った最初の土曜日に、たまたま入ってきた。 いつも店を開けてすぐの早い時間に来て、ハイボールを1杯飲んでさっと出ていく。ときどき話しが盛り上がれば2杯目、3杯目と飲む。 ちょっと緊張気味の一見の客を、和ませてくれることもあり、助かっていた。 東京に出てきたばかりで、口ぐせは「彼女が欲しい」「はやくお嫁さ

      • モモコのゴールデン街日誌 「雷」

        ゴールデン街はお盆前くらいから少しだけ暇になった。 毎週土曜日、夜勤明けに朝ごはんのオムライスを食べにいくヒロシくんの店でよく会うベテランママのナツキさんにそういうと、 「モモちゃんさ、お盆とかお盆明けってのはこんなもんよ。お盆とかって家族のためのもんでしょ。新宿もあっち側とか、こっち側には、この時期はまともな人は来ないわけ」 ナツキさんは「あっち側」といいながら歌舞伎町のほうを指差し、「こっち側」といってゴールデン街の辺りを指すため、胸の前あたりでくるくると手のひらを

        • モモコのゴールデン街日誌 「虹」

          サントリーのウイスキー『角』が手に入らなくなるというウワサを先月くらいに聞いた。 店を閉めたあと、朝ごはんのオムライスを食べに行くG1通りの「ヒロシの店」のヒロシくんが教えてくれた。 その理由は、韓国アイドルグループのBTSのメンバーが、とあるインタビュー記事で、 「ボクが家呑みするときはいつも『角』のハイボール」 とかなんとか言ったらしく、それを聞いた海外のファンは、日本に来るとドン・キホーテなどで、買いまくっているから、らしい。 それが本当の理由かは分からないが

        モモコのゴールデン街日誌 「身に沁む」〜南米の黒縁メガネくん

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        • モモコのゴールデン街日誌
          9本
        • Momokomotion
          1本
        • モモコの「おしえて!!モーション!」
          5本

        記事

          モモコのゴールデン街日誌 「白雨」

          中華系のカップルだった。マンダリン(中国標準語)で話している。どちらも30代後半くらいだろうか? 短髪の男の方は、ラグビー選手並みに鍛えられた上半身で、暑い胸板に筋肉のついた大きな腕や肩が麗しい。 女性は小柄で、さらりとしたナチュラルな茶色のロングヘアー。丸顔で、歌手の華原朋美の若い頃に少し顔立ちが似ている。 ちょうどカウンターでウーロン茶を飲んでいたJ子さんは「歌手の島谷ひとみにも似ている!」といってスマホの画面を見せてくれる。 爽やかで健康的な印象のふたり。 だ

          モモコのゴールデン街日誌 「白雨」

          モモコのゴールデン街日誌 「紫陽花」

          「ハネムーン中ですか?」 最初は冗談半分に聞いていた。 ソワレに訪れる海外からの若いカップル客には、気まぐれにそんな質問をブッ込んでみる。 ASAKUSAでOMIKUJI引いただの、GINZAでSUSHIたべただの、どの観光客とも同じ話しばかりしていると、こちらもつまらなくなってくるからだ。 ちょいと顔でも赤らめさせてやり、 「いやいや、そういうわけじゃないんだけど笑」 と、ふたりでモジモジして照れてくれでもしたら、お酒の場が盛り上がるだろう、という算段だ。 し

          モモコのゴールデン街日誌 「紫陽花」

          モモコのゴールデン街日誌 「夏蜜柑」5月27日

          「五月は恋の季節。パリの街に音楽が流れ出す....みたいな曲があるんだけど、なんていう曲か忘れちゃった、ずっとその曲を探してるんだけど、Spotifyにも、Youtubeにも、Amazonにも見つからないんだよね。モモコちゃんに歌って欲しい」 と言ってたのは、水曜日のソワレのママを担当しているカナちゃん。 そういえば、去年の今頃そんなことを言ってたなあと思い出した。 そんなカナちゃんが、夜中の3時ごろ、土曜日のソワレに入ってきた。 「ごめん一杯だけ飲ませて。飲まないと

          モモコのゴールデン街日誌 「夏蜜柑」5月27日

          モモコのゴールデン街日誌 「夏近し」5月20日

          「どうやってここを知ったの?」 最近、ソワレに来た外国人観光客にどうやってゴールデン街を知ったのか、聞くことにした。当たり前だが、全員が「インターネット」という。 「でも、インターネットっていろいろじゃん? その中の「どこ」で知ったの?」 「えーっとGoogle」 「Googleって言っても広い世界でしょ? 例えば検索ワードはなに?『新宿 バー』とか入れるの?」 「いや『東京 観光』みたいな感じかな。どのサイトか覚えてないけど、どれ見ても上位に出てくるよ」 つまり

          モモコのゴールデン街日誌 「夏近し」5月20日

          モモコのゴールデン街日誌 「薔薇」5月17日

          I am a cat. 夏目漱石の「吾輩は猫である」の英訳タイトルだそうだ。漱石の英語版など読んだことがない。 先週お店にきたカナダ人の若い男性が、英訳されたこの小説が好きで、日本に興味を持ったといい、初めて知った。 さらっとした涼しげな素材の白い半袖のシャツに、シルバーの薄いフレームのめがね。いかにも頭の良さそうな感じがするから聞いてみると、大学院生でAIの研究をしているという。 「前はディベートをやってたんだ。かなりやり込んでたから、弁護士になることも考えたのだ

          モモコのゴールデン街日誌 「薔薇」5月17日

          モモコのゴールデン街日誌 「豆」2023年5月4日

          先週のソワレに、ひとり客の中年男が入ってきた。それだけでは珍しくないのだが、日本語に少し訛りがあるので聞いてみると台湾人だそうだ。日本統治時代の台湾で教育を受けたおばあちゃんに教えてもらったのだという。 世界的に有名な車のエンジニアをしているらしく、20年以上もイギリスに住み、国籍もすでに英国のものだという。素朴な短髪に、屈託ない笑顔でフレンドリーだったが、欧米国に長く住むアジア人特有の、淋しさが混じった鋭い目をしている。 「僕ね『深夜の食堂』が大好きなんです」 「『深

          モモコのゴールデン街日誌 「豆」2023年5月4日

          モモコのゴールデン街日誌 「桜」4月18日

          「今日忙しかったですか?」 お店が終わったあと、G1通りのヒロシ君のお店で、そこの常連さんである他のバーのママさんに聞いてみた。 「まったく!今日はずっとこの人の貸し切り状態よ。そんな忙しかったの?まったく羨ましいよねえ!」 と隣りにいる一緒に来た自分のお客さんに話しかけるママ。 そうなのか。 ソワレは一階の角にあるため入りやすい。そして私が英語対応もできるため、たまたま土曜が繁盛しているとわかった。 東京の桜が散っても関係ない。コロナ禍が開けたいま、ゴールデン街

          モモコのゴールデン街日誌 「桜」4月18日

          おしえて!モーション‼︎Vol.2 その③ 「ラーメン好き」な人だと勝手に思われてしまうモヤモヤ 【直江実樹さん】

          (おしえて!!モーション!Vol.2のつづきです。この回のゲストについてはこちらをご覧ください) うん、もう「お前はラーメンだ」みたいな。 桃子 じゃあ、では、次は直江さんの番ですね、何か、ないですか? 直江 モヤモヤね、自分はあのう、こういう見た目なんで、仕事のようなちゃんとしたシチュエーションでよくあるのが、最初っからねえ、なんにも自分の情報言ってもないうちから、ラーメン好きだと思われる。 松浦 あははは! 客席 (笑) 直江 えへへへへ(笑) 松浦 髪の毛か

          おしえて!モーション‼︎Vol.2 その③ 「ラーメン好き」な人だと勝手に思われてしまうモヤモヤ 【直江実樹さん】

          おしえて!!モーション! Vol.2 その② ほんとうの奥さんが誰だかわからないモヤモヤ 【おおさわあやさん】

          (おしえて!!モーション!Vol.2のつづきです。この回のゲストについてはこちらをご覧ください) 映画館は夢だけを与える場所だから。桃子 では次は、おおさわさんのモヤモヤをどうぞ。そういえば、前回すごいリストアップされた紙を持参してきていましたが。 おおさわ はい、今日も持ってきまして。 直江 いっぱいあるんだね! おおさわ それがね、まだあるんです、映画館のモヤモヤ(※おおさわさんは映画館に勤務しており、前回のモヤモヤも映画館での出来事だった)。 おおさわ 今日は

          おしえて!!モーション! Vol.2 その② ほんとうの奥さんが誰だかわからないモヤモヤ 【おおさわあやさん】

          おしえて!!モーション! Vol.2 その① ユニクロを着ていることをいちいち申告されるモヤモヤ 【松浦湊さん】

          2018年4月20日 Vol.2 開催場所:日ノ出町試聴室その3 ゲスト:直江実樹、松浦湊、おおさわあや 聞き手・テキスト= 植田桃子 (モモコモーション) 「おしえて!モーション‼」とは?「おしえて!モーション‼」は、シンガーソングライターのモモコモーションこと植田桃子が聞き手となり、ゲストの身の回りで起こった出来事や悩み、いまでも気になっている過去の体験談など「もやもやする気持ち」になることを話してもらい、いっしょに対処策を考え、悩んでみたあと、そのお話を宿題にし

          おしえて!!モーション! Vol.2 その① ユニクロを着ていることをいちいち申告されるモヤモヤ 【松浦湊さん】

          おしえて!!モーション! Vol.1その② 部屋をかたずけられない「田村朋世」さんのモヤモヤ

          開催日:2018年2月23日(金) 開催場所:日ノ出町試聴室その3 ゲスト:おおさわあやさん、田村朋世さん 聞き手・テキスト=植田桃子 前回のおおさわあやさんに引き続き、今回は田村さんのモヤモヤエピソードについてうかがいます。※お二人のプロフィールは前回をご覧ください。 片づけるのがとっても苦手な朋世さん桃子:じゃあ次は、朋世さんのモヤモヤエピ−ソードを聞かせてください。 朋世:じつは最近、同棲するために引っ越したんです。山梨からうちの親も出てきて、いっしょに片付け

          おしえて!!モーション! Vol.1その② 部屋をかたずけられない「田村朋世」さんのモヤモヤ

          「おしえて!!モーション!」Vol.1 その① シンガーソングライター「おおさわあや」さんのモヤモヤ

          「おしえて‼︎モーション!」とは?モモコモーションこと植田桃子が聞き手となり、ゲストからモヤモヤするエピソードをおしえてもらい、そのお話をもとに次回までに曲を作り、披露するという実験的なライブ&トークショーのイベントです。日ノ出町試聴室その3にて2018年の2月からはじめ、そこでできた曲は現在レコーディング中。近いうちにアルバムに収めて発表する予定です。 第1回目となる今回は、シンガーソングライターのおおさわあやさんと、シャンソン歌手で役者でもある田村朋世さんをゲストにお迎

          「おしえて!!モーション!」Vol.1 その① シンガーソングライター「おおさわあや」さんのモヤモヤ