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「おしえて!!モーション!」Vol.1 その① シンガーソングライター「おおさわあや」さんのモヤモヤ

「おしえて‼︎モーション!」とは?

モモコモーションこと植田桃子が聞き手となり、ゲストからモヤモヤするエピソードをおしえてもらい、そのお話をもとに次回までに曲を作り、披露するという実験的なライブ&トークショーのイベントです。日ノ出町試聴室その3にて2018年の2月からはじめ、そこでできた曲は現在レコーディング中。近いうちにアルバムに収めて発表する予定です。

第1回目となる今回は、シンガーソングライターのおおさわあやさんと、シャンソン歌手で役者でもある田村朋世さんをゲストにお迎えして、モヤモヤエピソードをお話しいただきます。まずは、おおさわあやさんのお話しから。

開催日: 2018年2月23日(金)
開催場所: 日ノ出町試聴室その3
ゲスト: おおさわあやさん 田村朋世さん

【おおさわあやさん】プロフィール
2010年頃からライブ活動開始。曲を作り、詩を書いて、オノマトペにギター、声、言葉、音の泡をふくらまして歌っている。これまでにライブした場所は、ライブハウス、パン屋、カフェ、バー、銭湯、ギャラリーなど。1st CDR「babchan」(2013年)、1st album「mount•yumimu」(2016年)をリリース。
おおさわさんのフェイスブックはこちらです。https://www.facebook.com/aya.osawa.33

【田村朋世さん】プロフィール
舞台俳優、シャンソン歌手。土曜の夜はゴールデン街ソワレでママとして働く女。ついに国際フォーラムでシャンソンを歌いました!シャンソンネームは「セニョリ〜タとも夜」。
朋世さんのツイッターはこちらです。
https://twitter.com/T2i4i

聞き手・テキスト=植田桃子

どうしてゲストの悩みやモヤモヤを曲にするのか

桃子 こんばんは。今日はモモコモーションの「おしえて!!モーション!」にお越しいただきまして、ありがとうございまーす!
 
会場 <拍手>
 
桃子 まず、どうしてこういう企画を考えたのかお話しします。バンドをやっていれば仲間がいますよね。でも、ひとりだと曲作りのヒントを得る機会がとても少ない。それで、ゲストのモヤモヤした気持ちの聞いて、それをもとに曲をつくったらおもろいんじゃないかと思い、こうした会を設けてみたわけです。むかし、松任谷由実さんが、普通の女の子たちを自分のお部屋に招いてお話を聞いて、それをもとに曲をつくっていたということをどこかで読んだ記憶があります。もしかするとその記憶は私の思い違いかもしれないんですが、いつかやってみたいと思っていた企画が今日、実現しました。では、さっそくはじめたいと思います。
 
会場 <拍手>
 
桃子:栄えある第1回目のゲストがこちらのおふたりです。おひとり目は、おおさわあやさん。こんにちは、おおさわさん。
 
おおさわ:こんにちは。うふふふふ。
 
桃子:おおさわさんは、普段はなにをされているんですか?
 
おおさわ:普段は映画館で仕事をしながら、ときどき歌を唄っています。
 
桃子:映画館で働きながら唄う……。かわいい漫画に出てきそうですね。 
 
おおさわ:あはははは。映画館といってもそんな、絵に描いたようなところじゃないですよ。
 
桃子:あとで詳しくお話を聞かせてください。もうひとりのゲスト田村朋世さんです。「ともはむ」さんというお名前でも活動されているし、「セニョリ~タとも夜」さんというお名前でシャンソン歌手もされていますよね?
 
朋世:はい、シャンソン歌手をしています。「ともはむ」はツイッターの名前です。普段は葬儀屋でバイトしています。
 
桃子:葬儀屋をやりつつ、シャンソン歌手ってかっこいいですね。

朋世:あとは役者もやっております。

桃子:ドラマティックな毎日って感じがしますが、そんな朋世さんにも悩みとか、モヤモヤした思いってあるんでしょうか?

朋世:ありますよ。

桃子:いますごく自信ありげ(笑)

朋世:「悩みの冷蔵庫」っていわれていますから。

桃子:では後ほど詳しく教えてください。まずは、おおさわさんからお話を聞いていきましょう。

飼っている鳥とセッションするおおさわさん(インスタグラム動画より)

 毎朝出現する三角形に畳まれたビニール袋

おおさわ:私の職場って、朝番、中(なか)番、遅番って3交代制で人が入れ替わります。私はいつも朝番なんですけど、朝になると受付まわりに、大量の三角に折られたビニール袋が置かれているんです。

桃子:どういうことですか?

おおさわ:ビニール袋というのは、買っていただいたパンフレットなんかを入れてお客さんにお渡しする袋です。商品を入れるとき、袋を余計に取ってしまうと、そこらへんにぽいっと置いておくんですけど、次の日の朝、なぜかきれいに三角形に畳まれて、受付に置かれているんですよ。

桃子:それを見て、おおさわさんはどういう気持ちになるんですか。やめてほしいってこと?

おおさわ:まあそうですね。「これを全部三角形にする時間があるんだったら、ほかになんかやることあるんじゃないか」って。結局またそのビニール袋って使うので、いちいちその三角にしたヤツをまたほどくんですよ、私が。なのに、なんでまた三角にしちゃうのかなって。

朋世:実はおおさわさんだけ畳んでなくて、昼と夜の人は朝になると全部ほどかれているから「え?」みたいになってる可能性もありません?

桃子:三角形がデフォルトで、むしろおおさわさんがヘンな人みたいな。それはあり得ますね。

おおさわ:その可能性はまあ……。確かにほどいているのは私しかいなかったですね。

朋世:やっぱり! ほどいてはいけない三角形だったんですよ!(笑)

おおさわ:私は「誰だよこの、いつも三角形にするヤツはよ?」って思いながらほどいてたんですけど、ムダな努力だったのかも。

会場:<爆笑>

おおさわ:で、こういうことがつづくと、一体だれがやってるんだろうって気になるじゃないですか? 私の読みとしては、手先が器用だから、つい手が自然と動いてしまうんじゃないかと思って、最近入った美大を卒業したばっかりの子にさらっと聞いてみたんですよ。「ここのところ、三角形に畳まれたビニール袋がいっぱいあるんだけど、なにか知ってる?」って。そしたら「これ私ですよ。私がやりました」って。で、それだけじゃなく、もっと驚いたことがあるんですよ。

ストップが効かない「三角関係」

朋世:えっ、なに?!

おおさわ:彼女だけじゃなくて、裏にもうひとりいたんです。

桃子:整理します。おおさわさんは「ほどく人」ですよね?

おおさわ:はい、私は「ほどく人」。

桃子:元美大生は、

おおさわ:三角形を「作る人」。

桃子:もうひとりはなんの人ですか?

おおさわ:「指示する人」です。

朋世:「三角にしろ」って? あはははは。やばい、やばいですよ(笑)ちょっとなにそれ(笑)

おおさわ:三角関係ですよ。びっくりしました。

桃子:メビウスの輪みたいな。

おおさわ:メビウスの輪っていうかトライアングル。もうストップが効かないヤツです。

クリームソーダとセッションするおおさわさん

突然終わった「ジャック&ベティ三角形事件」

桃子:すでに歌みたいな話ですね。

おおさわ:じつは、そういう歌があるんですよ。石川セリさんの「◯(マル)と△(三角)の歌」っていう曲が(作詞作曲は武満徹さん)。

朋世:石川セリさんの歌は、だれかが指示して、だれかが作る、みたいな歌なんですか?

おおさわ:もっと壮大です。「地球はまるいぜ」とか「ピラミッドは三角だぜ」とか「空は青いぜ」とかそういう歌なんですけど、めっちゃいい歌で、ぜひ聞いてほしいですね。

桃子:いいですね。でもまあ、考えようによっては、この三角形っていつも会わないシフトの人同士をつなぐアイテムになってますね。

おおさわ:「ジャック&ベティ三角形事件」(笑)

※ジャック&ベティは、おおさわさんが働いている映画館の名前

朋世:まだこの三角形は続いているんですか?

おおさわ:その元美大生の新人に「ほどくのに時間がかかるからやらなくていいよ」といったらなくなりました。

朋世:終わらせたんですね。自分で。

桃子:なんでも終わりがありますね。映画も歌も恋もずっと続くものはありません。

朋世:あははは。急にいい歌になりそう(笑)

桃子:では、持ち帰ってよく考えてみます。

おおさわ:こんな感じでいいんですか? すいません、こんなネタで。

会場:<笑>

(その②につづく)


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