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潜るなり泳ぐなり

知らない人によく話しかけられる。
当たり前というか誰でもあることだと思っていた。
どうやらそうでもないらしい。
この癖(?)故にいろいろ巻き込まれたりもしてこなくはなかった。
全部(私的には)笑い話である。人見知りなのに!
何年も何年も前からの芝居仲間は言う。
「ないで普通そんなん。いっつも誰かに話しかけられてるやん」
そうかなあ。
別の観劇仲間にも言われた。
「なんかめっちゃ仲良くなってる知らんおじさんと」
なってはいない。
アホっぽくて隙が多いからだろう。自覚はしている。
隙のないぴしゃっとした人なら気軽に話しかけられはしないだろう。
これは、ちょっと関係が続くと「この人ならええやろう」というナメ……
もとい、そんな扱いを受けたりすることにも繋がっているなあとも感じてはいる。
でも、こんなだから、時に、反芻することや言葉もあったりもする。
 
先日このところの「エーイッ」とか「もぉーっ」とかが溢れそうになったので、走るように出かけてガラッと開けたら浴場には高齢の方が3人居た。
2人は洗い場に、1人は前の水風呂に。なんか蛸壺みたい。失礼。
とか考えていたら壺の中からお言葉が降ってきた。
「もう皆あがるから独り占めやで」
 
こういうとき咄嗟に言うてしまう。
「え。ひとりやと緊張するわ」
 
「何言うてるん。ゆっくり入り」「泳ぎます(笑)」「なんでもしぃ(笑)」
 
アホっぽい、というかアホだ。
こういうところが、ムカつく人も居るだろうし、スルーされることも多い。
ということには気付いても居る。でもね。みたいな気持ちからのね。
 
ひとり広いところであったまってほぐれた後、出た。
3人はあがり脱衣所でわいわいしながら涼んだり着替えたりしていた。
壺に入っていたおねえさんがすぐに声をかけてきた。
 
「なんや、もうあがったんかいな」
 
「あっつくって!」「あついなあ!! ゆっくりしたらええのに」「いやあーあついー」「あついなー!」
 
ゆっくりできなかったのは熱いからだけじゃない。でもだから沁みた。
こんなクソ暑い中、だからどこもかしこも冷や冷やの冷え冷えにする。
それもそれが気持ちいい。
でも、だから、ヒヤッとな中のお湯と同じくらい、きた。壺じゃなく、おおきなほうの風呂の中で。

こういうのも「一期一会」でシンパシーだのエンパシーだのに繋がるからええんちゃうかとも思っている。そんなきれいごとやええもんだけじゃないやろけども。
 
おねえさんは入ってすぐにもうひとつ言葉をかけてくれていた。
別になにか特段意味を込めたでもないであろうなんてことないことをだ。
でもわたしは、勝手に意味付けして重ねて、だからほろりとすらきた。共有しましょう。
 
「潜るなり泳ぐなり。なんでも出来るで(笑)」
 
ほんまやなあ、ほんまやで。

日々もでっかく言うと人生とかいうやつとかも。

えーー。
 
「おつかれさん。歩いて帰るわ」
「ありがとうございました。おやすみなさい!」
「おやすみー」
 
  

先日は近所の路上でウズベキスタンから来た学生さん?に声をかけられた。
そこにあるお地蔵さんはどういう意味があるのか。どう参ればいいのか。
常々言っているがわたしはあまり信仰心がない。家は代々仏教だけど。
スピリチュアルめいたものやことにも「へぇ」とは思うが過度すぎるそれはちょっと「うーん」「怖っ」だ。
でもなんかなぜか訊いてこられるのでお伝えしたら「日本には八百万の……」とか返ってきて、おおー。
ちょっと道歩いて、曲がり角で別れただけやねんけど、そのときにはもう彼がウズベキスタンから来たということも聞いてたし、「日本では、信号を渡る時に赤じゃない時に渡るとカミサマがみてる?」とか言ってきたので、「うんうん」とか言ったけれど、あれはなんだったのだろう。


なんの話や笑


ぼちぼちペースですが、更新していきますね。


道聞かれ顔の話はこちら

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【略歴や自己紹介など】

構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。

旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。
lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
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