見出し画像

TRAIN

オヤジギャグはつまらない。
「笑ってや? おもろいやろ?」の気持ちが透けて見えるからじゃないかと思う。
だからそれに対して徹底的に笑わないという姿勢をとる人の考えは「そういう表明やねんな、なるほどな」である。
 
オヤジギャグには旧時代的なものが多い。
ダジャレとパロディとか。下ネタとか。
ダジャレやパロディはしゃあなくないけどしゃあないとしてみよか?
けれど、下ネタ。これはあかん。
よく「下ネタは誰も傷つけない」という人が居る。年齢性別問わず。
わたしがこのフレーズを初めて聞いたのは旅芝居の客席で、舞台や芝居でよく言われがちな下ネタに対して笑うお客さんたちが言っていた。
いま思えば奴らに媚びて笑う自分たちへの言い訳だったのかもしれない。
でもわたしはこのフレーズにずーっと疑問を持ってきて、近年、やっとやっぱり断言する。「それは違う」。傷つけなくない、傷つけるよ。考えようよ。
 
オヤジギャグというか、ギャグっぽいものというか、そのようなそれがギャグになるかギャグとして伝わるかには、場と関係性が大きいとも思う。
うん、そもそも「笑い」って、相手との関係性や、信頼関係、距離感、送り手と受け手にとって心地よい温度とバランス、それらが非常に大切やよな。
いや、簡単に書くなよ。関係性や信頼関係や距離感や心地よい温度やバランス? 人間関係において一番難しいのんがそれやんか。せやで。せやねん。だから、たぶん。
他者との関わり方によって笑える笑えない不快があるのだ。
それって、心と体、みたいなことと一緒やな。
せやから笑いは(笑いも、か)、きっと、深い。もしかしたらたぶん、泣きや泣くことよりも。
オヤジギャグは、ギャグは、いろんな笑いは、深くて、難しくて、ややこしくて、面倒臭くい。内容(だけ)じゃない。
 
身内が年末年始を病院で過ごすことになり、
年末年始は病院がお休みとなってしまうので今日は年内最後の面会チャンスだった。
行き帰りの送迎バスで流れていたラジオはよくよく知る局のものでどこのスタジオで収録したかもわかる番組だったのだが、
来年の干支にまつわる大喜利的なものでお決まりの(?)下ネタみたいのが紹介された。あれはおもしろいと思って投稿したり選んだり放送したりしてるんやろうか、それともそれすら考えずのもうあるあるみたいな空気なんやろうか。
今日よくしてくれた看護師さんは見た目とか喋り方とかいい感じに押しつけがましくなくていい感じにチャラかった。
テレビに差し込むイヤホンの調子をみて下さり、「うわ、爆発したらどうしよ! ボンッ!(笑)」と笑顔で言うてきはった。思わず、「わ、面白い」と口から出た。笑っておられた。
いや、そういう面白くないことを言うのは常日頃どこでもいろんなシーンでのわたしの仕事(仕事つっても金をもらう訳ではないのだからなんというべきか)やん、と内心思った。
でも、そこに、別に言わんでもええ面白いかと言われたらそうではない言葉が出された時、わたしも、高齢の当人も、なんだか、和んだ。気が、気も、した。嫌味ではない。本心からである。うれしかった。なんか、なんだか。いや、あかんかも、あかんのかもしれんが。
 
もしかしたらオヤジギャグが救えることもあるかもしれない。
ギャグが、内容じゃなく、内容はさておきの言動が、かりそめかもしれなくとも、誰かをなにかの一秒一瞬を救うかもしれない。
もしか、もしかしたらやが下ネタとかも含めてね。えー。

その中には、言葉だって含まれる。

常日頃常に「言葉は無力だ」と思わされることや悔しく思うことは多い。
書き屋のエゴや欲張りかもしれなくとも、もどかしくなるシーンが。
でも、でもそれでもわたしは言葉の力を(勿論、動くことを大事にしながらも)信じたいし、信じている。

帰りの送迎バスの中で流れていたラジオのリクエスト曲は『Choo Choo TRAIN』だった。
まじかよ。なんでやねん。ときめきを運ぶよChoo Choo TRAIN。なんやねん。
他の乗客の邪魔にならないよう他の乗客に見られないよう手だけ踊った。
そのまま踊りながら目的駅でバスを降りた。一杯だけビール呑んで帰った。



なんとなくインスタもぽちぽち書いた昨日。

◆◆
【略歴や自己紹介など】

構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。

旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。

lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
【Twitter】【Instagram】 など、各種フォローも、とてもうれしいです。

詳しいプロフィールや経歴やご挨拶は以下のBlogのトップページから。
ご連絡やお仕事の御依頼はこちらからもしくはDMでもお気軽にどうぞ。めっちゃ、どうぞ。

Webマガジン「Stay Salty」Vol.33巻頭に自己紹介エッセイを寄稿しました。

12月Vol.34からは不定期コラムコーナー「DAYS」も書かせていただいています。

わたしのページに直接飛ぶにはこちらから!

東京・湯島の本屋「出発点」では2箱古本屋もやっています。
営業日と時間は「出発点」のXをご参照ください。
ぜひぜひ遊びに来て下さい!  自己紹介の手書きペーパーもあり!

読書にまつわるエッセイ集(ZINE)、
tabistorybooks『本と旅する』もお店と通販で取り扱い中。

旅と思索社様のWebマガジン「tabistory」では2種類の連載をしています。
酒場話「心はだか、ぴったんこ」(現在19話)と
大事な場所の話「Home」(現在、番外編を入れて4話)。

noteは「ほぼ1日1エッセイ」、6つのマガジンにわけてまとめています。

旅芝居・大衆演劇関係では各種ライティング業をずっとやってきました。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、
役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。
担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
YouTubeちゃんねるで過去映像が公開中です。
こちらのバックナンバーも、さきほどの「出発点」さんに置いていますよ。

あなたとご縁がありますように。今後ともどうぞよろしくお願いします。


楽しんでいただけましたら、お気持ちサポート(お気持ちチップ)、大変嬉しいです。 更なる原稿やお仕事の御依頼や、各種メッセージなども、ぜひぜひぜひ受付中です。 いつも読んで下さりありがとうございます。一人の物書きとして、日々思考し、綴ります。