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「顔」 美容院の店長と脱マスクの話をした

「強制されたくないっすよね。
するのも、されるんも、なんか違うっていうか。
まあ、ウチの店もどうしようかな、って悩んでるんですけど」
美容院の兄ちゃんが言う。
なんの話かというと、マスクのこと。脱マスク。
約3年のコロナ生活を経て来月13日からは着用は個人判断というあれ。
絶対、「付ける派」と「付けない派」が街中で揉めますよね。
という話となった際に兄ちゃんが言ったこのフレーズが印象的だった。
いまお世話になっている同店ではスタッフもお客さんもマスク着用、
諸々の対応もかなり早めから取り組んでいるしっかりしている。
「〇〇っすよねー」口調ではあるけれど、すごく真摯なProfessional。
兄ちゃんなんて失礼、2店舗を構える店長なのだ。
いつもお世話になってます。
 
「年寄りが電車内でマスクしない若者にキレる、とか」
「それもう既にめっちゃありますよね。あるあるっす」
「あ、でも、逆もあるか。
 わたし、知らん人と同席の呑み会みたいので、
 知らないから逆に気をつけて「マスク会食」したら、
 同席してた上の人に「先方に失礼やからとれ」って言われた」
「それもなかなかっすねー」
 
ほんと、なかなかっすよー。
 
からの、話は広がる。
 
「ウチ、小学校の先生とかやってるお客様もいらっしゃるんですけど。
もう体育の授業とかは外すことになってるじゃないですか。ほら、熱中症とかのあれで。
でも「外したくない」って付けたままにする子とかも結構多いらしいですよ」
 
え?
 
「なんか、顔を見せるのが恥ずかしいからって」
 
あー。
 
「若い子とかでも結構そういう子って多いっすよね。
マスクを「敢えて」付ける、もうそれに慣れて逆に」
 
マスクが「当たり前」になったことで、
親しい関係ではなく例えば食事などの場を共にしない場合は
「外さない顔」を知らないまま関係が終わったりする。
これ、よく考えたら、すごいこと。
と、疑うことすらなくなり当たり前になった。

最初の頃わたしは「平安時代?!」って思ったりした。
高貴な人は御簾越しにしかも扇で隠した顔しか見られないとか。
女が男と「逢ふ(つまりそういう関係になる)」までは顔を知らない知れないとか。
源氏物語などなどであるやないですか。
アホみたいやけど「似てるかも」って真剣に重ねてた。
 
でも、このように自ら「隠す」便利さ、
都合の良さも、あるんやなあ、あるんですよね。
隠す便利、隠すお洒落さ、
それを見越してカラフルなマスクも売られていたり人気というかもう当たり前だったり。
「黒マスクしてるやつは自意識過剰」とか(笑)
そんな時代に生まれたイミフな言葉「マスク美人」は、
これ、よぉ考えたら全然褒め言葉じゃないようにも思う。
 
「鼻から上ってなんていうか盛れるじゃないですか。
下の方がむずかしいっていうか、鼻から下ってなんか重要っすよね」
 
やはり美容師ならではの視点やな。
と、同時に頭の中に若い頃仲良くしていた〝ウォーター〟のお姐さんの言葉も蘇った。
「倖田來未の顔にはがんばったら誰でもなれるねん」
なれへんけど。
倖田來未を例えに出したのは、特に意味がなく、悪い意味でもなく、
当時とか化粧のこととかだけの理由やねんけど。
 
「顔ってほんまマスクするとわかりませんもん。面接とかのときとかも困りますよ」
 
あ、そっか。そうですよね。

企業とかってどないしてるねやろ。やっぱ「外してください」ってなるんかな。
 
でもそれもルッキズム的に……。
 
「そうなんすよ。そういうこと言うとあかんっていうか問題になるのはわかるんですけどね。
でも大事じゃないですか。
僕も、面接とかさせてもらうんですけど、
だから、お茶を出すようにしました。
それまでは出してなかったんですけど。敢えて」
 
わー! 性格悪(笑)
 
思わず言ってめっちゃ笑ったし、兄ちゃんも笑っていたけれど。

美、美容という意味で、
お客さんのそれらを担うスタッフで、
そのスタッフを「雇う」というにあたっては、
なにも性格悪でもなく、切実で、真剣で、考えた末の、なのだろう。
 
なんだか印象深く、考えさせられたのでした。
 
「まあ、でも、頑なに口つけようとしない子もいるんですけどね(笑)」

うん、そちらも、切実で、真剣。
  
13日ってもう、すぐですね。

いろいろ、どうなるんかな。
 
なににせよ、強制するも、されるのも、嫌ですよね。
(大勢があつまるようなところは勿論着用しないと、とはわたしの考えですが)
さらには、この約3年間を経ての、「隠す」も、それはそれで、尊重したいですね。
 
「でも、花粉症のシーズンだから、これはこれでややこしいですよね」
「そうなんすよねー、僕もめっちゃつらいんすよー」「わたしもー」

そこから
「花粉症対策には腸内環境 ってのはほんまなのか」
「甜茶とかヨーグルトとかにんにく卵黄とかほんまかいな」
「精神論いらんから科学的根拠が欲しいっすよね」
切実すぎる話からの結論は「お互い気を付けましょう(笑)」で帰ったのでしたとさ。


よい写真がないので鎧さんにて失礼します。
鎧さんはどんな顔や。あ、これが顔か!


楽しい会話と
生姜のホットティーと薬草ホットパットのおかげで
リラックスとメンテナンス。
忙しいの言い訳で放置すると
すぐにぱちもんのジョン・レノンもしくは売れない昭和のフォークシンガーみたいになってしまうわたしの頭もすっきり、
「春だし、ちょっとピンク系」になったうれしいな🌸


出来る店長な兄ちゃんとのクリスマスの会話篇はこちらです。
 



以下は、ちょろっとですがいつもの自己紹介 。
と、苦手なりにもSNSあれこれ紹介、連載などなどの紹介!!も。
よろしければお付き合い下さい🍑✨
ご縁がつながったりしたらとても嬉しい。

大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中です。
舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。

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と、あたらしい連載「Home」。
皆の大事な場所についての話。

2023、復活。先日、新作が出ました🆕

以下は、過去のものから、お気に入りを2つ。

旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、
役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。
あ、小道具の文とかも(笑)やってました。

担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
アーカイブがYouTubeちゃんねるで公開中
(貴重映像ばかりです。私は今回のアップにはかかわってないけど)


あなたとご縁がありますように。今後ともどうぞよろしくお願いします。

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