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墨攻(原作:酒見 賢一:マンガ:久保田千太郎)【このマンガ紹介、決してこちらからは語らぬが、二度と忘れさせもせぬ】

墨子。
中国の春秋戦国。
乱世に栄えた百花斉放。

あらゆる哲学が出現し、
それ以後の中国史には決して見られない、
ラディカルな哲学が噴出した。
古典文化の華の時代である。

その中でも墨子が始めた墨家。
彼らは愛と平和をモットーとして、
不戦主義を旨として、
戦乱の時代を愛で終わらせるべきと主張。

わかりやすく言えば原始キリスト教である。
まあ、キリスト教は後に戦争宗教になってしまったかもしれんが。

しかしキリスト教的な墨家は、
中国で支配的な哲学にはなれず、いつしか消えていた。

しかし、少し誤解があるようだ。
墨家は常に非戦主義だったわけではない。

そうだ。
敵の方から攻めてくるなら話は違う。
専守防衛であれば、あらゆる謀略を厭わず、徹底的な戦略戦術をもって敵の殲滅戦を行う。
そういう武闘派的な側面があるのだ!
いつも戦わない純粋非暴力主義ではないのだ。

侵略者に慈悲は無用だっっ

サンタマリアの名において、悪漢どもには死の制裁を。
(それ、別のマンガやねん)

そんな奇声を上げる墨家の戦争を描いたドラマ。
それが本作なのであるっ

まずは小説からはじまり、


マンガ化されて、映画化もされた。


しかし今回はマンガ版の紹介、
それも前期のものに徹する。

というのもマンガ版の後半は始皇帝暗殺の話になってしまうからだ。

困ったときの始皇帝暗殺??
そのネタをやるなら、よほどキャラを立てないと。
荊軻とその7人の仲間でジャンプ展開をやるとかじゃないと。
もうね。
水だからと言って、低きになれないでほしい。
スプラッシュしてほしい。温泉となってほしい。

(もっともこの展開はマンガ版オリジナルらしい)

まあ他人が言ってもしょうがないので、
純粋に墨家の戦争を見せつける前半部分を強く推奨したい。

***

そう。
まずは小国に大国の軍勢が攻め込んでくるところからだ。
趙だったかな。
とにかく、そこに墨家の軍師が登場。
「これ、このようにやれば勝てる」
とは申すもの、
簡単には信用してもらえない。

「では証拠を見せましょう」
圧倒的に不利な戦況において、
この軍師はいかなる奇跡を戦場に巻き起こすのか?

・・・というドラマなんだ。

古代中国の戦いゆえ、
攻城塔などが出てくる。

古代の戦いという制約があれど、
まあまあ原作小説がマンガ化映画化されるだけの、
基礎的な痛快さは確かにそこにある。
損はない。
私が読んだのはマンガ版だけど。

マンガ版や映画版は映像があるゆえ、
情報量が多いのだ。
論理を語るには小説に一部の利があるが、
情報量を詰め込むのは画や映像が有利だ。

面白かった!
余は満足なんじゃ。

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