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「僕と彼らの裏話」あらすじ

 不安障害の悪化により休職していた主人公(稔)は、地元(札幌)にある高校の同級生(修平)の家に身を寄せていた。修平宅の隣の部屋には、稔の かつての上司(須貝)が住んでいる。稔は、修平の家で「プロ級の家事」をしてやりながら、須貝との交流を楽しんでいた。
 ある日、修平から「同級生の女子(千秋)と、3人で同窓会をしよう」という発案がある。彼女も長らく本州で暮らしていたが、離婚して札幌に帰ってきたという。
 高校当時、彼女に好意を抱いていた稔は、激しく緊張しながらも、大いに喜ぶ。

 同窓会当日。彼女が車椅子ユーザーとなり、バリアフリー住宅に住んでいることを知る。稔は驚きを胸にしまい、純粋に再会を楽しむ。そして、自分の恋情に変わりが無いことを再確認する。
 雪深い札幌での暮らしに不便を感じている彼女の家に、稔は家事を手伝うため通うことになる。
 稔が通ううちに、千秋は離婚の要因となった交通事故のことと、現在の身体状況を打ち明ける。そこで、長く秘めていた稔の恋情が一気に燃え上がり、彼女に「一緒に、雪の無い街で暮らそう!」と、婚姻を前提とした交際を申し込む。
 稔が「精神疾患による休職中」だと知っていた千秋は、一旦は丁重に断る。
 しかし、稔の熱意と病態について知っていくうちに、考えが変わっていく。
 
 やがて、2人は周囲に堂々と「婚約者」と公言できる間柄となった。
 本州に戻って復職した稔は、新居となるバリアフリー住宅と、信頼できる義肢・自助具の職人を探すべく、自身の雇用主である作家(吉岡)と、極めて精巧な義手のユーザーである吉岡の夫(悠介)、吉岡の盟友であり、長らく作家達の「闘病生活」に寄り添ってきた元編集者(哲朗)を頼る。


 しかし、復職直後に「吉岡が哲朗に重傷を負わせる」という事件が勃発する。吉岡が勾留されている間、稔は、残された悠介と、吉岡宅に間借りする青年(倉本)と共に、不安な日々を送る。

 哲朗の意向と悠介の尽力により、吉岡は【不起訴】となって釈放されるが、自戒の意を込めて、運転免許を返納する。
 吉岡のために長く欠勤していた悠介は、復帰後にオーバーワークが続いて体調が悪化し、休職せざるを得なくなる。悠介の勤務先の株主でもある吉岡は、他の役員とも協議した上で、従業員の身体的な負担を軽減できる最新機材(3Dプリンター)の導入を決めた。
 だが、それによって自身の【手技】や【存在価値】を否定されたように感じた悠介は憤慨する。
 やがて、悠介は東北地方でロボット開発をしている吉岡の実弟(善治)のもとへと旅立つ。吉岡は、それを「家出」ではなく「学び直し」と捉え、悠然と見送る。

 一連の騒動によって住宅探しを失念しかけていた稔だったが、哲朗の姉(瑞希)の協力により、新居に目星をつける。
 倉本が吉岡のもとから独立した後、稔は千秋と共にモデルルームを訪れ、主たる出資者である彼女の意向に沿って、入居先が確定する。


 稔は、過去に国語科教諭だった千秋を、吉岡・哲朗の2人と引合わせる。【文学】という共通の趣味および職業によって、彼らは、すぐに意気投合する。しかし、その楽しい食事会の直後に吉岡は「悠介が倒れた」という知らせを受け、一人で現地に赴く。
 悠介に続いて吉岡が不在となり、稔は「休業補償」として悠介の勤務先(町工場)でアルバイトをすることになる。

 そこで、若き社長の熱意と篤志に触れ、深く感銘を受けた稔は、千秋との婚姻を果たし、吉岡達が帰還した後も、吉岡宅と町工場とのダブルワークを続ける。
 しかし、数ヵ月後には社長の兄と【乱闘】を繰り広げ、自主的に退職することとなる。
 先に退職して療養に専念していた悠介を、ハウスキーパーの立場から支えていく。


 とはいえ、その町工場が吉岡にとって大切な【聖域】であることに変わりなく、そこに在籍する人々との交流は続いていく。稔と悠介は、退職者であっても吉岡同様に立入りが許され、職人達から歓迎される存在となる。
 稔自身にとっても、そこは【大切な場所】となった。

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