妖夏

詩や絵画の感想を書いています。 大人向きです。

妖夏

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記事一覧

命と死の季節(詩)

生き残れなかったイルカ 生きている沖を泳ぐ兄弟たち 初夏の岸辺は死と生を同時に見せる 早く落ちてしまった燕 巣立っただろう姉妹たち 朝日のあたる街は死をかいまみせる …

妖夏
8か月前
2

月明かりの波間(詩)

新しい発見と感動 初秋の満月の頃 波間に光る月明かりが浜を照らす だれが教えたか 子亀が顔を出し様子を探る 暗くなるのを待ち天敵をさけ かすかな波の明かりを探り ひた…

妖夏
8か月前
1

ふるさとの景色(詩)

早朝の海辺の散歩 波の冷たさがここちよく 足跡と過ちを消しさる 忘れる事を促すように 見渡すと広がる 故郷の懐かしい姿 3度目の夏なのに 10年経ち帰ってきた感じ 朝…

妖夏
8か月前
2

闇に浮かぶ小舟(詩)

暗闇と僅かな街灯の頃 終バスを待ちあなたの元に 靴が沢山ある所を乗り越え 直ぐ右の6畳の部屋 机と布団だけの世界 いつも帰る部屋 他のものは視界にない あなたとだけの…

妖夏
8か月前
1

真夏の2人(詩)

真夏の朝5時波打ち際で砂と遊んだ2人 真夏の朝6時トンビと虹を見つけた2人 真夏の12時かつおとなすに感謝した2人 真夏の昼1時雲の動きを眺め微睡む2人 真夏の…

妖夏
8か月前
3

たまごの中(詩)

私は卵の中で生きている 暖かく濡れて皮膚で呼吸する まどろみながら ひたすらあなたを待つ 永遠に待っていると 突然あなたは入ってくる 私をさわる手を感じる 手は冷たく…

妖夏
8か月前

秋の月明かり(詩)

駅のホームにあなたが見える やっとあなたが帰ってきた 駆けていこうか、息切れしていたら 私があなたにまだ夢中だと バレてしまう どうしよう、やっとあなたが帰ってきた …

妖夏
8か月前
2

クリムト 接吻

これは全ての男性が持つ魔法を表現している。 男性がイケメンでもなく、若くもなくて大丈夫なのだ。 女性の足がL字だが、ここは'く'の字で 抱かれて膝から崩れる動きを入れ…

妖夏
8か月前

ウルビーノのヴィーナスとオランピアの比較と共通点

ウルビーノのヴィーナスは 女性の裸体の一番美しい時を見せてくれる。着替え前の 設定にも関わらず、女性の目は見ている人をベッドに誘っている。 左手はすぐにお迎えでき…

妖夏
8か月前
1

カミーユ・クロディールとその作品

彼女の写真を見ていると、その映画で イザベル・アジャーニのような美しい女優が 熱演しても比較にならない位見劣りしてみえる。 カミーユ・クロディールはなにも演じてい…

妖夏
8か月前

アンリ・ルソーの冒険の世界

女性は現実の世界を表現し この絵の世界との接点として機能している。 ジャングルへの冒険はだれもが夢見る異世界の楽しさと 興味、不気味さを表している。 ライオン、象、…

妖夏
8か月前

忘れ得ぬ女、又は見知らぬ女

馬車で一瞬に通り過ぎたが、雰囲気が凄く悲しげで、深く惹かれ、記憶に残る状況が推測される。 贅沢な装いに似合わない悲しげな瞳が何かを訴えている。愛する人と別れたば…

妖夏
8か月前
2

思春期 (エドヴァルド・ムンク)

緊張感で大きく見開いた目の少女と少女より大きな黒い影は 本人より大きく不気味な顔がわずかに浮かんでいる。 シーツは生理出血で汚れている。 少女はまだなにも知らず未…

妖夏
8か月前
1

ゴッホの輝ける風景画

「荒れ模様の空の麦畑」をあげたいと思います。 40年以上前に日本橋高島屋で展示のあった 風景画を出したいのですが今探しても見つかりません。 その絵を高島屋で見たと…

妖夏
8か月前

モディリアーニの唯一無二で代えがたい魅力

私が一番の魅力を感じるのは裸婦像の皮膚の体温です。 肌を重ねたときの暖かさと汗と匂い、 挿入の時の感激と幸せ感は他に代えがたいものが あります。その体温と幸せ感を…

妖夏
8か月前

ラファエロの素晴らしさ(3)

小椅子の聖母はフィレンツェのピッティ美術館にある。 世界で一番愛されている聖母子といわれている。 これも(2),(3)と同様に絵画側からこちらを 見ている。だれも…

妖夏
8か月前
1
命と死の季節(詩)

命と死の季節(詩)

生き残れなかったイルカ
生きている沖を泳ぐ兄弟たち
初夏の岸辺は死と生を同時に見せる
早く落ちてしまった燕
巣立っただろう姉妹たち
朝日のあたる街は死をかいまみせる

海の景色を変える朝日には匂いがある
日を浴びて海藻は匂いをはなち
歩けば砂が音をたて自分を支える
この懐が無限の優しさに見える
虫たちは踏み潰されながら跳ね
海藻を分解する
無限の死と生は複雑な匂いを放つ

夜が明けるのはいつもすば

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月明かりの波間(詩)

月明かりの波間(詩)

新しい発見と感動
初秋の満月の頃
波間に光る月明かりが浜を照らす
だれが教えたか
子亀が顔を出し様子を探る
暗くなるのを待ち天敵をさけ
かすかな波の明かりを探り
ひたすら進む
何度か迷い確かめながら
大海に泳ぎゆく
4CMの子亀が勇気と生命力で旅立つ
数年後でも数十年後でも
戻っておいで
私も大きな満月の頃
あの時の子亀を想いながら
待っているよ
子亀の生命力と運を信じて
106匹の1匹が
この海

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ふるさとの景色(詩)

ふるさとの景色(詩)

早朝の海辺の散歩
波の冷たさがここちよく
足跡と過ちを消しさる
忘れる事を促すように

見渡すと広がる
故郷の懐かしい姿
3度目の夏なのに
10年経ち帰ってきた感じ

朝日はオレンジで靄がさし
数千年前と変わらぬ景色のよう
私はいつの時代に生き
ここを歩いているかわからなくなる

優しい眼差しで振り返るあなたが見える
雪の日送ってくれたあなたがいる
背中を見送っているあなたが好き

故郷の冷たい海

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闇に浮かぶ小舟(詩)

闇に浮かぶ小舟(詩)

暗闇と僅かな街灯の頃
終バスを待ちあなたの元に
靴が沢山ある所を乗り越え
直ぐ右の6畳の部屋
机と布団だけの世界
いつも帰る部屋
他のものは視界にない
あなたとだけの空間
夜が更け音は2人の声だけ
衣服を捨て小舟に横たわり
一日が始まる

風も不安もない湖に
浮かんでいるよう
時折強く揺れても
あなたにつかまっていれば平気
二人を隔てるものはなにもなく
手に触るのはあなただけ
時折見るのはあなただ

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真夏の2人(詩)

真夏の2人(詩)

真夏の朝5時波打ち際で砂と遊んだ2人

真夏の朝6時トンビと虹を見つけた2人

真夏の12時かつおとなすに感謝した2人

真夏の昼1時雲の動きを眺め微睡む2人

真夏の午後3時稲穂の色が日々変化する事に気づいた2人

真夏の夕暮れ6時空の色に見とれていた2人

真夏の夜9時汗だくでとろける2人

真夏は2人の今と未来を幸せにしてくれる

真夏が暑く続く限り変わり実り成長し

残りの季節と2人を豊か

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たまごの中(詩)

たまごの中(詩)

私は卵の中で生きている
暖かく濡れて皮膚で呼吸する
まどろみながら
ひたすらあなたを待つ
永遠に待っていると
突然あなたは入ってくる
私をさわる手を感じる
手は冷たく荒れてガサガサ
それだけが外の世界の情報
音楽が変わり
匂いが満ち急に熱くなる
私は直ぐに気を失い別の世界に舞い上がる
私の意識は既に脳裏にはない
遠くあなたの声と私の声が聞こえる
わたしを包んだ卵は
ぽんと宇宙に放り出されたよう

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秋の月明かり(詩)

秋の月明かり(詩)

駅のホームにあなたが見える
やっとあなたが帰ってきた
駆けていこうか、息切れしていたら
私があなたにまだ夢中だと
バレてしまう
どうしよう、やっとあなたが帰ってきた
胸がたかなり舞い上がってしまう
でもじっとしていられない、
なにげなくを装い迎えに行こう
化粧を整え静かに、
けど笑みがこぼれてしまう
あなたもとてもうれしそう
これが今日最高の時

一日がずっと長くて、寂しくて
待ち焦がれていた

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クリムト 接吻

クリムト 接吻

これは全ての男性が持つ魔法を表現している。
男性がイケメンでもなく、若くもなくて大丈夫なのだ。
女性の足がL字だが、ここは'く'の字で
抱かれて膝から崩れる動きを入れ欲しかった。
できれば目を開けてあっという力が抜ける表情を描いて
欲しかった。もしこの魔法が相手の女性に
全然効かないなら早く諦めて他へ行ったほうがよい。
あなたの重要な価値ある資源の無駄遣いになるから。

ウルビーノのヴィーナスとオランピアの比較と共通点

ウルビーノのヴィーナスとオランピアの比較と共通点

ウルビーノのヴィーナスは
女性の裸体の一番美しい時を見せてくれる。着替え前の
設定にも関わらず、女性の目は見ている人をベッドに誘っている。
左手はすぐにお迎えできるか確認しているようである。
右手にもった花は香で演出効果をあげようとしているので
あろう。この誘惑から逃げられる男性などいるのであろうか。
彼女のベッドの手前は開いている。
一歩踏み出せばそこは快楽の世界なのだ。
マネのオランピアはティ

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カミーユ・クロディールとその作品

カミーユ・クロディールとその作品

彼女の写真を見ていると、その映画で
イザベル・アジャーニのような美しい女優が
熱演しても比較にならない位見劣りしてみえる。
カミーユ・クロディールはなにも演じていないのだ。
写真だけで一途さや迫力、美しさ、才気が伝わって来る。
ジュリア・ロバーツが演じるエリン・ブロコビッチや
ホテル・ルワンダの時も感じたが
どんな俳優でも演じられない本人しか持てない
迫力が俳優の演技では伝わってこないのである。

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アンリ・ルソーの冒険の世界

アンリ・ルソーの冒険の世界

女性は現実の世界を表現し
この絵の世界との接点として機能している。
ジャングルへの冒険はだれもが夢見る異世界の楽しさと
興味、不気味さを表している。
ライオン、象、原住民の魔術師、鳥
見知らぬ木々が茂る深いジャングルは深い広がりがある。
現在だとゲームをする時の状況に似ている。
ゲームする手が自分で、そこから想像の世界へ繋がっていく。
やはりそれは冒険と探検の旅の始まりで
そこではだれもが英雄とな

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忘れ得ぬ女、又は見知らぬ女

忘れ得ぬ女、又は見知らぬ女

馬車で一瞬に通り過ぎたが、雰囲気が凄く悲しげで、深く惹かれ、記憶に残る状況が推測される。
贅沢な装いに似合わない悲しげな瞳が何かを訴えている。愛する人と別れたばかりかもしれない。それとも家族との別離を決意した直後だろうか。
彼女はグルジア美人の典型に見える。トップバレエダンサーのニーナ・アナニアシヴィリにそっくりなのだ。
又、この頃の結婚は裕福な男性が若くて綺麗な女性を娶り、女性の側はかなり高齢の

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思春期 (エドヴァルド・ムンク)

思春期 (エドヴァルド・ムンク)

緊張感で大きく見開いた目の少女と少女より大きな黒い影は
本人より大きく不気味な顔がわずかに浮かんでいる。
シーツは生理出血で汚れている。
少女はまだなにも知らず未来が予測できるわけでない
仮に彼女になにか教えたり指示などできるであろうか。
いまの自分の失敗や教訓のなかに
なにか少女に伝えられるもの等あるのだろうか。
この少女の未来に役立つものなどあるのだろうか。
生理出血は少女の体の未知なる未来を

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ゴッホの輝ける風景画

ゴッホの輝ける風景画

「荒れ模様の空の麦畑」をあげたいと思います。
40年以上前に日本橋高島屋で展示のあった
風景画を出したいのですが今探しても見つかりません。
その絵を高島屋で見たときはかなり感動しました。
ゴッホのそれまでのイメージと異なるものが伝わって来たのです。
絵に表現されているように、
自然を光輝いて生命力にあふれる動的な
広がりと見ることができるゴッホに驚嘆するだけでした。
全く同じ景色をみても人により異

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モディリアーニの唯一無二で代えがたい魅力

モディリアーニの唯一無二で代えがたい魅力

私が一番の魅力を感じるのは裸婦像の皮膚の体温です。
肌を重ねたときの暖かさと汗と匂い、
挿入の時の感激と幸せ感は他に代えがたいものが
あります。その体温と幸せ感を表現できる
画家がモディリアーニなのです。
裸婦像の他に少女や少年の絵もありますが
子供たちの肌感や体温の表現は比類のないものです。
彼ら彼女らがキャンバスの前で生きていた
証が温度で伝わって来ます。
10年以上前になりますが、アメリカ東

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ラファエロの素晴らしさ(3)

ラファエロの素晴らしさ(3)

小椅子の聖母はフィレンツェのピッティ美術館にある。
世界で一番愛されている聖母子といわれている。
これも(2),(3)と同様に絵画側からこちらを
見ている。だれもにも邪魔されることのない
幸せそうな母の目である。得意そうでもある。
子供は手をショールにいれ安心している。
愛が色々な形で変化して広がっていく。
自分が愛することから始まって愛を受け
成長していくのだ。そこには愛し続けた人
が得られる得

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