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勝手に出来たおはぎ

ラップに包まれたおにぎりをぐちゃぐちゃ潰す息子。止めようかと思ったが、代わりに

「もち米をそうやって潰したら、お餅ができるよ。明日、作ってみる?」と聞くと、

「絶対やるー!!」と目を輝かせた。

翌朝、もち米を炊き、子供達が交代しながらボールとすりこぎ棒で餅つき。予想以上に力が要る。なめらかになる前に「もういいか。」

手につくので、長男がサランラップを使おうと言う。おにぎりの延長である。サランラップにくっつかないように、きな粉をかけ、半つき餅を乗せ、あんこを入れて形成した。同様にすり胡麻と塩でも作る。できたものから、家族が喜んで食べる。作っているうちに「これ、おはぎだ!」と気付いた。

20年も前、今は亡き祖母に教えて貰いながら一緒に作って以来だ。その時は、あんこもコトコト手作り。手をベタベタにして握った。祖母が子供の頃も、曽祖母が作ってくれたと昔話を聞きながら。再び、静岡のお茶畑にあった曽祖父母の家や暮らしを思い出す。私も幼少期に遊びに行き、薪風呂の熱さや、庭で採ったきゅうりの美味しさを鮮明に記憶している。

計画もせず、成り行きでおはぎが出来たのは、遺伝によるものだろうか。先祖とは住んでいる国も違い、生活スタイルも大分変わっているはずなのに、その日曜日に自分がした事は、祖母や曽祖母とそっくりなのである。子供の学校の衣装をお直しするために裁縫し、おはぎを作り、食事を用意して。私の簡単手抜きバージョンと一緒にしては申し訳ないが。

アイデンティティってこういうことかな、と思う。だから、英国で暮らしていても、祖母や母から貰った道具を使って和食を作る。いろんな国から来た人々がそれぞれの文化を持ってくるから面白い。同調するより、多様性を尊重することで豊かになる。

湯呑みもお皿も祖母から譲り受けた


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