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旅が大好きで、いろいろな国を旅しながら生活するのが夢です。ぼんやり癖が抜けず、いつもマ…

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旅が大好きで、いろいろな国を旅しながら生活するのが夢です。ぼんやり癖が抜けず、いつもマイペースに旅をしています。旅先で出会った人たちや美味しい食べ物、その国の文化を私の体験を通して記していけたらいいな、と思い初めました。楽しんでいただけたら、とっても嬉しいです!

最近の記事

聖地・ハリドワール 最終話

エピローグ:ぼったくったのは・・・ アジア人の私と、インド人のドライバーが微動だにせず、午後の日差しの中無言でにらみあっている図は、少なからずその場にいたインド人の興味をひくものであったらしかった。どこからともなく、ワラワラと集まってきたインド人が私たちを取り囲む。 野次馬の中にいた年配のインド人が一人、進み出るとドライバーにヒンディーで話しかける。全く意味を解さない私であったが、何をについて話しているのかはわかった。一体このアジア人と何があったのかを話しているに違いない

    • 聖地・ハリドワール 第4話

      リシケシュへの帰路 「・・・え?・・ここどこだろう・・・」 駅に向かって歩いていたつもりが、どうも反対方向へ進んでいたようで、だだっ広い野球場のようなところを目の前にして私は途方に暮れた。時計をみると、帰りの電車の時間が迫っている。今から寺院に戻って駅を目指すというような時間は残されていない。そして、駅に辿り着くほどの方向感覚もない。 どうしようか、と前方を見ると、少し離れたところにオート力車が1台停まっているのが見えた。そういえば、ニケタンの青年医師からもらった情報では

      • 聖地・ハリドワール 第3話

        インド式・お金の借り方 電車が停車して駅に着くと、目の前に座っていたインド人のおじいさんが、にこやかに外を指差す。目的地のハリドワールに着いたよ、ということらしい。私はお礼を言って、電車を降りる。駅は他の駅と比べ物にならないくらい大きく、駅舎を出るとマーケットが広がり、たくさんの人で溢れかえっている。ハリドワールは巡礼地にふさわしく、活気に溢れた土地だった。 遠くで何か鐘のようなものが鳴っているのが聞こえる。そして、何かの呪文を唱えるようなくぐもった声が、スピーカーのよう

        • 聖地・ハリドワール 第2話

          バイクに乗ったインドの少年 アシュラムを出発して、リシケシュ駅方面へとひたすら歩く。インドの太陽は容赦なく照りつけて、日差しが強いことを実感する。街特有の風景が途切れ始め、私が歩く道の先には開けた大地が広がるようになった。だいぶ歩いたので疲れたなと思いながら、ふと、反対側を見ると小さなお店が見える。とりあえず、水分補給をすることにした。 お店に入りサイダーを注文して、店の敷地内に置いてある椅子に腰掛ける。少しすると店主が、瓶に入ったサイダーとグラス、グラニュー糖とレモンの

        聖地・ハリドワール 最終話

          聖地・ハリドワール 第1話

          プロローグ:初めての一人旅 リシケシュでの生活も半月を過ぎ、私は日本にいた時と変わらないくらい元気になった。ご飯も毎食残さずに全部食べられるようになっていたし、時々はおかわりもするほどの健康体に戻っている。ある朝、私は朝食をとりながら、今日はどこかへ一人ででかけてみようかな、などとぼんやりと考えていた。 きっかけは、数日前にさかのぼる。夕食を食べた後に部屋に戻った私に、空ちゃんが突然「ダラムサラに行きたい」と発言したことが事の発端だった。ニケタンでの生活も半月を過ぎて、受

          聖地・ハリドワール 第1話

          値段の付け方・屋台のマンゴー:後編

          後編:セクハラ屋台への反撃 インドの値段交渉には、普段使わないエネルギーが必要になるため、結構しんどい時がある。しかも、外で交渉をしていると野次馬が集まってくることもある。あまり人の目に触れるのが好きではない私にとって、非常にやりにくいことこの上ない。 最近、インドの値段交渉について調べていたら面白い記事を発見した。その記事を書いている方は、インドの値段には人情が入っているという理論を述べていた。同じものでも人によって値段が違うのは、『知り合いか、そうでないか』つまり売り

          値段の付け方・屋台のマンゴー:後編

          値段の付け方・屋台のマンゴー 中編

          中編:親切な屋台の店主 いつもの様にフルーツを買いに行こうとアシュラムを降りていくと、門を出たばかりの道の反対側にフルーツの屋台が出ているのが目に飛び込んできた。普段はそんなところに出ていないし、屋台の店主も普段私が通っている店主の様に小洒落た洋服を着てはおらず、辛子色のドーティと呼ばれるインドの普段着を身につけている。 つい駆け寄ってしまったのは、私の大好物のスイカが置かれていたのが目に入ったからだった。声をかけると、優しそうな目をした店主が何かを言ったのだが、よくわか

          値段の付け方・屋台のマンゴー 中編

          値段の付け方・屋台のマンゴー 前編

          前編:マンゴーの値段 ヨガニケタンの受付をした当時、私たちはとりあえずで1ヶ月の滞在を申し込んでいた。折角インドに来たのだから、どこか違う土地にも行ってみたいという気持ちがあった。居心地の良いニケタンで滞在延長しても良いし、どこかに旅に行っても良い。それは1ヶ月後に決めよう、と空ちゃんと話していたのだった。 ヨガニケタンの生活はとても充実していた。朝早くから起きて瞑想やヨガをしたら、夕方のヨガが始まるまではフリータイムとなる。町のチャイ屋に行ったり、洋服屋さんを冷やかした

          値段の付け方・屋台のマンゴー 前編

          インドの日常・洗濯編

          インド生活が始まったばかりの頃、私にとって頭を悩ませていたことがあった。洗濯である。 日本で洗濯と言えば洗濯機が一家に一台在るため、自分一人の分であればさほど苦にならない。しかしインドでは、大部分の人が洗濯を手洗いで行う。もちろん、ニケタンに洗濯機はなかった。 私は日本から持ってきていた石鹸で衣類を洗っていた。この石鹸は空ちゃんのお姉さんから購入したのもので、自然に優しい成分で本来は体を洗うためのものだった。 バスルームに置いてあった大きなバケツに水を張り、洗濯物を浸し

          インドの日常・洗濯編

          リシケシュにトオルあり

          「今日は、何か予定はあるの?」 朝食を食べ終わった後に食器を洗っていると、年に数回はヨガニケタンを訪れる、というインド旅行のベテランの馬場さんが聞いてきた。特に予定がなかった私がそう応えると、知り合いに会いに行くんだけど一緒に行かないか、と声をかけてくれる。 聞けばその方はここリシケシュで、ずいぶんと長いあいだ暮らしているという。そして、馬場さんとその方とは長い付き合いらしい。空ちゃんも私も、他の日本人滞在者も、インドに住んでいるというその人に興味が湧いたため、ほぼ全員で

          リシケシュにトオルあり

          いい加減・それがインド

          ヨガニケタンでは、日曜日は安息日としているので瞑想もヨガのクラスもなくいつもよりもゆっくり起きる事ができる。その代わり自由参加で、朝食前にヨガホールをみんなで大掃除をしたりする。 滞在者の人数によってできる掃除が決まるので、一概にはいえないのだけれど、先週は窓ふきをしたから、今週は床掃除など掃除をする箇所が変わる。 当時ヨガホールには、巨大な絨毯が床の上にしいてあったのだが、私にはずっと気になっていたことがあった。それは、出入り口に近い部分の絨毯が、いたるところを切り落と

          いい加減・それがインド

          お箸の国の人だけど・・・

          その日、私はご飯とカレーを目の前にして、志し半で挫折しかかっていた。『郷に入っては郷に従う』をインドの旅の中でやり遂げたいことの一つとしていた私はその日、初めてインド式の食事法に挑戦していたところだった。 インドでは、食事は手で直接つかんで食べる。日本を出発する前は、日本人もお寿司やおにぎりは手で食べるのだし、食べる物が違うだけで大丈夫だろう、と思っていた。が、しかし。そう簡単にはいかなかった。 よくよく考えたら、日本で手で食べられる様なお寿司やおにぎりは、ちゃんと掴みや

          お箸の国の人だけど・・・

          インド式・スピリチュアルの勧め

          「え?・・出発が8時間遅れたって・・、その飛行機に私たちも乗ってたよ!」 さすがは神秘の国と異名を持つだけはある、と食堂で朝食をとりながら私は感心していた。ヨガニケタンの日本人滞在者は、空ちゃんと私をいれた総勢6名になりすっかり打ち解けていた。そして、その中の2人の男性が同じ飛行機に乗っていた、という事がわかった。 インドでは、人生で出会う人は運命で決まっている、という言い伝えじみたものがまことしやかに信じられている。それは、日本の「縁あって出会う」といった、日本の考え方

          インド式・スピリチュアルの勧め

          聖なる川・ガンガー

          インド人はガンジス川の事を、サンスクリット語でガンガーと呼ぶ。人々がこの川を聖なる川として、崇拝していることは有名だ。ガンジス川は母なる川、全てのものはガンジスから生まれ、ガンジスに帰るという思想を持つ。 この思想が色濃くでている代表が、バラナシの火葬場だろう。バラナシが聖地の一つとされているのもそうだが、バラナシで死者は、火葬されて遺灰になるとガンジス川に流される。これは、ヒンドゥーの教えでガンジス川が天国に直結しており、魂が天国へと昇ることができると言われている。 ヨ

          聖なる川・ガンガー

          バクシーシ

          ヨガニケタンからの対岸へ渡る、もう一つの移動手段は徒歩で橋を渡るというものである。ヨガニケタンからボート乗り場を通り過ぎて、上流に向かうと現れる吊り橋を利用する。 私は事あるごとに、出来る限り船で渡る方法を選んだ。私がボートの方を好んだ理由は、「対岸までのショートカット」というのは言い訳で、この橋があまり好きではなかったというのが本音だった。歩くのが嫌、という訳ではなく、この橋を利用しようとすると、子供たちにバクシーシを要求されるのだ。 インドで旅行者が辟易してしまう一つ

          バクシーシ

          インド人の質問の意図

          リシケシュで、ヨガニケタンという安全で、かつ日本人もたくさん滞在する素敵な宿を根拠地とした私たちは、それから町に良く出かける様になった。 リシケシュはガンジス川で真っ二つに分かれており、ニケタン側と対岸を繋ぐのは吊り橋のような細くて長い橋と有料のボートがある。オフィスの支配人に連れて行ってもらった時は橋を使用していたので、この日はボートに乗ってみよう、という話になった。 当時、ボートは片道が5ルピー、往復は8ルピーほどだった。往復のチケットを購入すると、若干の割引があるの

          インド人の質問の意図