最近読んだ本10

まさかの同人誌です。エロや二次創作じゃないよ。

『医総会マンガまとめ』(永田礼路)
医師にして漫画家の永田先生による「医総会」広報マンガのまとめ本です。
※医総会=日本医学会総会(日本医学会による4年に1度開催のでっかいイベント)
ツイ廃にはお馴染みのヤンデル先生や、けいゆう先生も登場されます。めっちゃ似とる。
医総会の内容については、ぜひ読んでください。盛りだくさんです。行きたかったこれーーー!
で、感想。
・医総会、宣伝がど下手くそ問題
詳細はマンガをご覧ください。「医師の発信力が弱い問題」はちょこっと前から聞くようになりましたが、その弱さが詰まってる!!!と思いました。マジでがんばって。後に続きます。※
・標準治療の重み
標準治療が、ながーーーい歴史と水平方向(色んな国やエリア)でのデータの積み重ねによって導き出された「最良医療」であることがひしひしと伝わってきます。「最良医療」に至るまでの積み重ねがあらゆる分野で紹介されていたイベントだったんだな、とわかる広報マンガでした。行きたかったーーー。

※印の「医師の発信力が弱い問題」です。
いま、かなり紛糾しているLGBT理解推進法に当初盛り込まれそうになっていたトランスジェンダー等の性自認についても、精神科医含む医師からの発信がほぼないんですね(ようやく着ぐるみクラスタ先生(すきえんてぃあ先生)がちょっと触れたくらい。ただし精神科医/医師じゃない疑惑もある)。だから当初、机上の空論をこねくり回す人文学フェミ系の「トランス女性は女性です」「埋没した棘」なんていうお題目が担ぎ上げられていたんです。
・まず、正しい医学の情報を発信しようとしている医師は稀で
・正しい医学の情報を発信している少数の医師は発信力が弱いため
・正しい医学の情報が一般市民に届かず
・声の大きなニセ医学が、藁をもつかむ人を陥れたり、活動家の旗印としてまかり通る
(なお、ニセ医学と戦う医師としては名取宏先生が有名です。でも知らんでしょみんな。そんなもんです)

正しい医学の情報が、一般市民におりてこないということは、
・1人の患者が病気で苦しむ
だけでなく
・多くの人がニセ医学の情報に翻弄されて被害を受ける

可能性があるんです。可能性というか「性自認」に関しては既にバリバリに被害をこうむっとるがな。

ようするに「発信力を高め、社会を守って欲しい」が要望なんですが、一方で「医師にそこまで求めるのもなあ」とも思います。
Twitterからの転載でこれは公衆衛生の話。↓

(:3[___] 何を書こうとしたか忘れた えーと 知識のあるひとの「反対や疑問」と知識がないひとの「反対や疑問」は性質が全く異なるのよ 後者へ正しい知識をわかりやすい言葉で翻訳する第三者が必要だとおもうんだけど 知識のないひとのためじゃなく、社会のために

(._.) ちなみにマジでヤバい一派はエビデンスという概念を知らない上に、説明したとしても「でもでも!」って言う でもでもの文脈に合わせて説明する、という翻訳家が必要… 究極的には… 「現世とは異なるロジックの世界で魚屋さんから鯨肉を買う」くらいの難易度と根気、それを誰に求めたらいいのか

個人的には、公衆衛生でさえ悩みに悩んでこの結論(結論ではないが)です。
要するに「理解度の低いお前がわかるように説明してやる義務、ある?」ということ。

ちなみに今読みましたが、医師法第一条にはこうあります。
第一条 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。
「医療」には「治療」の他に広義にはヘルスケアも含まれます。
第一条もふまえ、医師には「話の通じる奴にひろーく伝えるくらいの手間は惜しまんで欲しい」が「阿呆を説得する無駄骨まではとてもじゃないが求められない」です。

話をグワッと戻しまして、「話の通じる奴にひろーく伝える手間」を担ってくださった永田先生の御本、単なるイベントの広報だけじゃなく興味深い医学の最新情報等も載っておりますので、ぜひぜひお読みください。と無理やり締める。

●蛇足1
一般書店さんには売ってません。同人誌が購入できるとこ(メロンブックスさんとか)でお求めください。
●蛇足2
Twitterでの引用でも書いてありますが、理解度の低い人へは「わかりやすい言葉(あちら側の世界観の言葉とロジック)に翻訳する第三者」を入れるのがベターかなと思っています。このへん、かなり前の日経サイエンスあたりに面白い記事が載ってたかと思うのですが、忘れました。


※5月15日訂正と追記
1)「標準医療」を標準治療に訂正しました。
2)医療の定義を追記しました。

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