十字のごとく 織りのごとく たてとよこに ひと針 ひと針の運びが いのちも運ぶと 無心に心を込め ひと針 贖いにはなるまい それでも祈るのは 祈るより外になく ひと針…
大学生の頃、少し気になる人がいた。言葉をかわしたのは、夏休み直前の教室、ほんの僅かな時間だった。「この人とは、もっと話をしてみたい」と思った。彼も、そう思って…
あなたの真白は あなたの影を観るために あなたが誰かを識るために 許し許され 与え受けとる それが向き合うということだから 生きる生き方 生かす生き方 光はもっと明る…
汚れるのを忌避して 触らぬ手より 障ろうとも いたわる手が美しいのに 音階を奏でる如く美しいのに 顔を覆うか 胸の前で合わせるかを 往復するばかりの きみの手を見つめ…
燃えに燃え 尽きに尽き ろうそくは ごくわずか ともしびは もう消える 希望だけ 愛だけを 見たいのに 皺ばかり 照らされる 生きてきた 年輪だ 曲折の いとしさだ お別れだ …
生きている人にも 亡くなった人にも 神にも仏にも 捧げることができる 花は優しい 無量なまでに
こもれびのように揺れる影 あるいは影絵にも見える あれは 心の陰影だ はるか遠くに 太陽の如 まなざせば 眼を灼く光源があり 破れかけた心を 幾重にも透過する 光も影…
揺らめく影は こころの輪郭にもみえる 濃くなる影は こころの深みにもみえる 路傍の薺も 転がる石も 必ず落とす影がある 闇に紛れる影をもつ さびしいが さびしくはない…
花咲くように綻び 実の生るように結ばれ 落葉のように降りつもる あとからあとから だから生きてきたのかと 幾重にもあなたに出逢うためだったと
憶えてはいないことを思い出す 意識の底で ふいに覚える いのちを運ぶ 青写真 どうしてここに 生まれてきたか 生きてきたのか これからいかに 生きていくのか 生きら…
光をなくし ひっそりと 朝方沈む まるい月 夜勤明け 俄に月を同志と思う 眠れるひとの胸の上下を 見つめつづけた常夜灯 この世でいちばん愛しい仕事 わたしもいつか 月…
砕けた欠片の 波に洗われ 摩耗して 擬態はしても 石とはちがう シーグラス おまえのこころも そうなのか 想いの波に疲弊して 干からびて 光をなくし 水の戻りに ほん…
手紙① ぼくの日 いつもありがとうございます。 わたしは、これまで何通も先生にお手紙してきました。書き出しは、いつも、「いつもありがとうございます」でした。正…
みずのほ
2024年10月5日 10:40
名はいとおしく呼ぶための分節最も短いあなたなる詩
2024年10月2日 10:00
十字のごとく織りのごとくたてとよこに ひと針ひと針の運びがいのちも運ぶと無心に心を込め ひと針贖いにはなるまいそれでも祈るのは祈るより外になく ひと針運命にはちがいない悔いをあるいは杭を胸に打ち込むように ひと針悔いと祈りを交差させ無縫のままに縫い続け糸目なく繕うばかりの ひと針
2024年10月1日 18:00
大学生の頃、少し気になる人がいた。言葉をかわしたのは、夏休み直前の教室、ほんの僅かな時間だった。「この人とは、もっと話をしてみたい」と思った。彼も、そう思ってくれたらしかった。わたしたちが意気投合したのは、「歌で地上を天国にしたい」「言葉で世界を美しくしたい」という近しい想いだった。彼は音楽活動をしており、わたしは詩を書いていた。いま思えば、青い。青い檸檬のように、苦い。 「秋には、ライブハ
2024年9月25日 09:00
あなたの真白はあなたの影を観るためにあなたが誰かを識るために許し許され与え受けとるそれが向き合うということだから生きる生き方生かす生き方光はもっと明るくなる落とした針は見つからないかいや 針は光る見つけた針で真白の糸目に十字の光を編んでゆけ
2024年9月24日 20:00
汚れるのを忌避して触らぬ手より障ろうともいたわる手が美しいのに音階を奏でる如く美しいのに顔を覆うか胸の前で合わせるかを往復するばかりのきみの手を見つめるけれど 慟哭はレクイエムにはならなくてきみの手にはふれえないレクイエムにはなりえない から落下のすべてを受けとめる透明な手を祈る
2024年9月24日 15:30
きみの肩をそっと抱く透明な手を祈るきみの涙を受けとめる透明な手を祈る
2024年9月18日 16:00
燃えに燃え尽きに尽きろうそくはごくわずかともしびはもう消える希望だけ愛だけを見たいのに皺ばかり照らされる生きてきた年輪だ曲折のいとしさだお別れださようならありがとうだいすきだだれよりもきみだけを愛すのがぼくだった
2024年9月16日 07:00
生きている人にも亡くなった人にも神にも仏にも捧げることができる花は優しい無量なまでに
2024年9月12日 19:00
こもれびのように揺れる影あるいは影絵にも見えるあれは 心の陰影だはるか遠くに 太陽の如まなざせば 眼を灼く光源があり破れかけた心を幾重にも透過する光も影も 美しくても射られて 見てはいられない目を瞑る 目を瞑る 目を瞑るまなうらの残像を追いかける
揺らめく影はこころの輪郭にもみえる濃くなる影はこころの深みにもみえる路傍の薺も転がる石も必ず落とす影がある闇に紛れる影をもつさびしいが さびしくはないだれもがひとしくひとりなのだ
2024年9月10日 16:00
花咲くように綻び実の生るように結ばれ落葉のように降りつもるあとからあとからだから生きてきたのかと幾重にもあなたに出逢うためだったと
2024年9月10日 15:00
憶えてはいないことを思い出す意識の底で ふいに覚えるいのちを運ぶ 青写真どうしてここに生まれてきたか 生きてきたのかこれからいかに生きていくのか 生きられるのか何度でも 幾重にも自分自身を 識るためにひかりと めぐり逢うためにこたえはいつも生まれてきたか 生きてきたのか問いをいつでも生きていくのか 生きられるのか
2024年9月10日 11:00
光をなくし ひっそりと朝方沈む まるい月夜勤明け俄に月を同志と思う眠れるひとの胸の上下を見つめつづけた常夜灯この世でいちばん愛しい仕事わたしもいつか 月になる地球はいつか 月になる
2024年9月7日 10:00
砕けた欠片の波に洗われ 摩耗して擬態はしても 石とはちがうシーグラスおまえのこころも そうなのか想いの波に疲弊して 干からびて光をなくし水の戻りに ほんのひととき透明を思い出す
2024年9月4日 20:40
認識は救済であり創造は浄福である
2024年8月30日 08:00
手紙① ぼくの日いつもありがとうございます。わたしは、これまで何通も先生にお手紙してきました。書き出しは、いつも、「いつもありがとうございます」でした。正直なきもちでした。先生は、お気づきでしたでしょうか。そして先生も、いつもにこやかに、「いつもありがとう。読んでいます」と受け取ってくださいました。どれほど嬉しかったか。さて、わたしは、自分が初めて先生にお贈りした拙歌を憶えていま