見出し画像

子育てにおける天使と悪魔

ミラレパ(1052年-1135年)は、チベットの仏教業者・聖者・宗教詩人で、一生のうちに仏陀の境地を成就した偉大なるヨーガ行者として、尊敬を集め、万物に愛されている最も有名な一人です。

以下は、そのミラレパが残した言葉。

幼い男の子は神の子のように可愛らしく
たくまず、すなおに親の愛に応えてくれる
だが、それもつかの間、すぐにあれこれ欲しがって
何をやっても心みちることをしらない
人の娘を家に連れ込んで
代わりに父母を追い出すしまつ
父が呼べどほったらかし
母が呼べど知らん顔
果ては生まれ故郷も忘れはて
一儲けをたくらんだのはいいが、すっからかん
身からでた錆に心おおわれたまま
世間の芥に別れを告げる
私はそんな俗世の男の子など欲しくない

男の子だけ責めるのは不公平というもの、さらにミラレパはこう語る。

幼い女の子は神の子のように微笑んで
小紅さし、宝をいだく大自在母
だが、それもつかの間、災いをもたらす鬼女と化す
父の財産をせびりとり
母のへそくりを盗み出し
父母への慈愛の風を浴びながら
ありがたいとも思わない
はては醜面の羅刹女となりはてて
自分が幸せならば他人の喜びを奪い
不幸なら不幸で害悪のかたまりとなる
不毛の羅刹女に心おおわれ
目覚めることもないままに苦しみの世に別れを告げる
私はそんな世俗の女の子など欲しくない

この言葉は、生まれてきたわが子というものに過度な愛情をそそぐ事の愚かさを謳っている。

初めてこの言葉に触れたとき、何故か心をグッとつかまれた。

あまりにもその通りだったからだろう。

私も過保護な親子はよく目にするが、まさにこの詩が表す通りだ。

親の過剰な愛情は、いつか何倍にもなって子供から大きな憎悪となって帰ってくる。

いらないものを親が自らの利己心で与え続ければ、子はそのいらないものに潰れるどころか、その親が与えた過剰な愛情によって、恐ろしいモンスターになる。

そして、必死に愛情をそそいできた子供は、いつしか自分を育てたその母親の心臓を取りに来る。

貪欲さを学んだ子供が最終的に望むのは、自分を育てた母親の心臓だ。

それを手にしてはじめて子は、心の底から満たされる。

自分の中で自分を壊し続けた母親を、解体してしまいたいという激しい欲求。

子供とは、自分に友好的な存在だと思ったら大間違いだ。

育て方一つで彼らは、天使にもなるし、悪魔にもなる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?