編集者の「初期衝動」を文学フリマで取り戻そう 〜編集者の「小売」体験〜
2019年11月24日(日) に初めて出展してみた「文学フリマ」の魅力について、前の記事(「出版業界のこの先」を議論する前に、「文学フリマ」に出展してみよう)でまとめてみました。
しかし!
そんな客観的な分析はさておき、ぜひ書いておきたいこと、それは…
僕にとって「文学フリマ」は、編集者の初期衝動を思い出させてくれる機会でもあった、ということです。
■生粋の「本作り大好き」な記憶が蘇る
『デザインのひきだし』リトルプリント特集で知った用賀のセルフ印刷所「EditNetプリンテック」で、自分のオリジナル冊子を作っていく過程は、自然とこれまでの「本作り」の日々を振り返らせてくれました。
小学生の頃、ノートに友だちと漫画を合作したり、
中学生の頃、自作のくだらない冊子を友だちと送り合ったり、
高校生の頃、修学旅行のクラスパンフをやたら気合入れて作ったり、
大学生の頃、サークルの新歓パンフ作りで徹夜したり、
そして、
編集者となって、本・雑誌を作ることが仕事となり、
それでも飽き足らずに、小学生の頃に描いた漫画を電子書籍化してKindleで販売してみたり、
仲間と共に個人ビジネス書マーケット「ビスケット」を主催してみたり、
そんな生まれながらにして「本作り好き」な自分の、原点ともいえる初期衝動を再確認させてくれる時間でもありました。
>>> ちなみに、小学生の頃に描いた漫画の電子書籍版『ザ・野性化マン』(いりたかし著)はこちらです。
2019年も終わりに近づいていた11月下旬に、
自分が編集者に憧れていた頃や、出来上がった本が愛おしくて仕方なかった頃のことを思い出しながら、
「さあ、ここから、さらにもっともっと面白いことを仕掛けていくには、どんな次の一手を選び取っていこうか」
と考える契機ともなりました。
■編集者こそ「小売」の場を運営してみる意義
ちなみに、今回のブースは、昨年7月から始めてみた、
形を定めない本屋プロジェクト「水の(ような)書店」
として出展してみました。
相手を見て、会話しながら、一冊一冊を直接手渡ししていく、
これもまた、編集者の原点を思い出させてくれる時間です。
まだ4回目、あくまでプライベートの取り組みとして細々とやっていることですが、その一回一回ごとに新しい気付きがあり、
この場があるからこその出会いや企画が生まれています。
編集者こそ「小売」の場を運営する側にもなってみよう
という直感から始めたのは正しかったなと思っています。
会社ではウェブを主軸にコンテンツビジネスに邁進しています。
そこでは、「どれほど規模を大きくできるか」ということも重要な指針の一つになっています。
それはそれで刺激的でとても楽しく、やり甲斐のある取組みです。
だからこそ、その一方で、
紙の本にまつわる小さな取り組みを個人レベルで続けることは、非常に大きな意義があると感じています。
2020年も、コンテンツビジネスをさらに発展・拡大していくことと並行して、
「出版の未来」を切り拓くべく、CtoCを体感する場
も折々に作っていくつもりです。
初期衝動の指し示す方向を信じていきます。
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