オウンドメディアはオワコンじゃない 2020年代こそ価値が向上する理由
以前書いた記事
なぜ「出版社のウェブメディア」には未来がないのか 〈後編〉 成功に見える失敗で、私は以下のように記しました。
「オウンドメディア」は一過性のブームとなってしまった感がありますが、
むしろ2020年代こそ価値が向上する
読んでくれた人から、この部分をもっと詳しく知りたい、とリクエストをもらいました。私信で返すのもいいのですが、せっかくなので、noteに記してみようと思います。
■なぜ「オウンドメディアはオワコン」イメージになったのか
今、会議などで「オウンドメディア」という言葉を出すと、
「何をいまさら」的な反応が返ってきそうです。
そもそも、なぜ、あれだけもてはやされたオウンドメディアが、オワコン的なイメージになってしまったのか。
その理由はシンプルです。
手間のわりに成果が見えない
→止める企業・人が続出
これに尽きるでしょう。
それなのになぜ、私は
オウンドメディアが、2020年代こそ価値が向上する
と言うのか。
理由は2つあります。
■オンラインの収益・集客手段が増大する
まずひとつ目。
オンラインでの収益・集客の手段が格段に増える
→成果が出やすくなる
EC比率がこの先も増え続ける
Google Map経由の集客がますます増える、
等々、ほぼ確実なことだけ考えても、
オウンドメディアを運営するメリットは拡大すると考えられます。
さらに、この先、
決済手段が多様になり、電子決済比率が拡大すると共に、
今はまだ世に出ていないオンラインツールが大きな存在感を持ってくることになります。
集客やブランディング装置でしかなかったオウンドメディアですが、
その場自体で収益を上げる方法が増大するため、運営の成果は格段に上がるはずです。
■脱Cookieでオウンドメディアが獲得できるデータの価値は高まる
(ここは2021年6月9日に追記しました)
アウトドアなど趣味の雑誌を多数出していた老舗出版社、枻(えい)出版社の24媒体を譲り受けたドリームインキュベータに関する記事
「ファンこそが資産」 経営難の出版社24媒体を買った企業の狙い
に、オウンドメディアに関する納得の記述がありました。
アップルやグーグルなど大手IT企業の「脱Cookie(クッキー)」に向けた活動が活発化する中、「オウンドメディアで獲得できるデータの価値は今後ますます高まっていく」
この点も非常に重要です。
■「広義のオウンドメディア」へ定義が変わる
そして、もう一点。
「狭義のオウンドメディア」から
「広義のオウンドメディア」へ定義自体が変わる
本来、オウンドメディアは
「Owned = 所有する」メディア、つまり「自社が所有するメディア」を意味します。
(参考:いまさら聞けないオウンドメディアの定義。サイト立ち上げ前に知っておきたい基本とは?)
オウンドメディアブームの頃は
「企業が運営するブログ形式のWebメディア」
になってしまっていました。
おそらく、そのほうがIT企業やコンサルが営業しやすかった
かつ、
企業内で上層部に企画を通しやすかった
からだと思われます。
でも、本来のオウンドメディアは
SNSやYouTubeなどのチャネルも含むものです。
企業が自身のSNSアカウントやYouTubeチャンネルを運用することが、今後ますます重要になっていくことは間違いありません。
その際、「オウンドメディア」=「企業が発信したい情報を、ユーザー目線に合わせてコンテンツ化し、発信するメディア」の価値が向上することは確実です。
■だけど、オウンドメディアという単語は復活しない
ただし、IT企業やコンサルがどう営業するか、と考えると、
終わった感のある「オウンドメディア」という単語は使わないでしょう。
ITコンサルの人たちは、「D2C」みたいに、海外で流行ってる用語とかから、何かしらこねくり出して営業してくることでしょう。
そういう用語を聞いた時は「ああ、広義のオウンドメディアね」と理解するのがいいと思います。
そういう意味では、
オウンドメディアという「単語」はオワコンとも言えます。
でも本来、オウンドメディアって、定義がとても分かりやすくて、いい言葉なんですよね。
願わくば、オウンドメディアの価値だけでなく、言葉の使用も再浮上してほしいものです。
■編集者はピンチでもチャンスでもある
SNSやYouTubeチャンネルなど、広義のオウンドメディアを
統括してディレクション、プロデュースできる能力は、
2020年代、非常に重要になってくるでしょう。
その状況において、編集者としての能力は大いに活かせますが、
よほど勉強と経験を積んでいかない限り、相当厳しくなってくると思います。
2020年、メディアの役割が今まで以上に深く問われた一年だったように感じます。
気を引き締めて、でも、楽しみつつ、2020年代を駆け抜けていきたいですね。
(おまけ)
Jess Glynne 、こういうのを天から授かった声って言うんだろうなあと聴くたび思う。
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