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綾瀬さんと真谷くん

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シリーズ「綾瀬さんと真谷くん」を読みやすくまとめたもの。この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 2020年12月21日…
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#毎週更新

綾瀬さんと真谷くん1「綾瀬さんと僕」

僕には好きな人がいる。今日も麗しい綾瀬響さんだ。さらりとした長い髪の毛が陽光を反射して青みがかって、まるで物語のお姫様のように艶めく。その髪を耳にかければきらりときらめく華奢なイヤーカフ。校則が緩いから邪魔にならなければアクセサリーを身につけてもOKで正解だ。可愛らしさが際立っている。
 何も見た目だけじゃない。中身だって素晴らしい。学級委員長を務められる誠実な人柄、そして誰に対しても優しく接する

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綾瀬さんと真谷くん4「トラブル発生」

デートから1ヶ月、色々忙しかったりして、図書館とか近場でお金のかからないようなところでのデートが続いた。これはこれで身の丈に合っているからいいとは思うけど、もうちょっといいカッコしたい。
 そんなある日だった。昼休み、いつも通り二人でお昼を食べていると、ソワソワとしていた響ちゃんが、
「あのさ、優くん……」
そ、と耳元で囁いてきた。お互い名前呼びにはなんとかなれたけど、耳元で声がするのは話が違う。

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綾瀬さんと真谷くん31「文化祭の打ち上げ」

文化祭も無事に終わり、予定が合う人たちで友達の親が経営している居酒屋で打ち上げ会をすることになった。僕はカウンター席でだし巻きを食べていた。そこへクラスメイトの男子がやってきた。
「なぁ真谷~」
「なんだ?」
「文化祭の店番の時、なんであんなに女子の視線が多かったんだ?」
「それは僕にも分からない」
「なんだよそれ」
笑いながらそう言われたけど実際になぜ視線が多かったかは分からない。
その後も同じ

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綾瀬さんと真谷くん47「昼休憩」

休憩スペースで響と井崎さんとで昼ご飯を食べていると樫野さんとその同僚の会話が聞こえた。
「あの子が言ってた真谷くん?」
「そうそう。私の彼氏の弟でね」
「あの凄かった子の弟?」
「そうそう。 3人兄弟って言ってたでしょ? その一番下なの」
「あぁそうだ思い出した、かなおちゃん。 ほんとあれ凄かった。 」
「鬼気迫る勢いで誤字脱字どころか言葉の誤用の指摘までしてたものねー」
あぁ。名前に聞き覚えがあ

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綾瀬さんと真谷くん48「女子会」

週末に、樫野さんと優のお姉さんと井崎さんとでリモート女子会をすることになりました。
リモートとはいえ、女子会に参加するのは初めてなので楽しみです。
-当日-
「そろそろ時間ですね」
事前にリンクが送られてきたので、そこからZoomを開きました。
しばらくすると画面上に樫野さん、奏音さん、井崎さんが現れました。
「ちゃんと映れてる?」
「はい、映れてますよ」
「それなら良かった」
「早速なんだけど真

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綾瀬さんと真谷くん49「作戦会議」

「どんな方法がいいですかね?」
私が樫野さんに聞いてみると「んーラブレターとかどうかな?」と返答がありました。
「ラブレター……ですか」
「も、もし書けたとしても渡せる自信がありません……」
「学校に下駄箱ってないの?」
「昔はあったようですが、今はないです」
「じゃあ、その片想いしてる人の机の中に入れておくとかはどうかな?」
「なるほど!その手がありましたか!」
「それで、もし呼び出されたら覚悟

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綾瀬さんと真谷くん50「進路」

「どっちがいいんだろう……」
僕は机に置かれた2枚のパンフレットを見て唸っていた。
「どうしたんですか?」
顔を上げると響がこちらを見ていた。
「実は海外の大学に行こうと思ってて、選択肢はだいぶ絞れてきたけどこの2校で迷っててね」
僕は机の上にあるパンフレットを指さした。
チラシに書かれていたのはミュンヘン大学とゲッティンゲン大学の校風などが書かれたものだった。
4月には受験生になるため予め決めて

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綾瀬さんと真谷くん51「歓迎のスピーチ」

始業式から1週間がたった。学年も上がりついに受験生となった。今日は新入生のためのオリエンテーションがある。去年もあったが、今年は最高学年として案内するため身が引き締まる思いだ。
クラスの中で案内を担当するのは僕と響だ。 各クラス2人が学校案内を担当することになっている。
集合場所の体育館の舞台袖で新入生が来るまで待つ。「新入生来るまでまだ時間あるし注意事項だけでも確認しておいてほしい」
注意事項が

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綾瀬さんと真谷くん52「学校案内」

スピーチの後は本題の学校案内だ。僕と響は1年2組のうちのAグループの担当になった。体育館から出て、左側の校舎の案内からやっていくことにした。(校舎と体育館は別になっている) 「この1階にあるのが理科室と技術室です。」
階段を上り、2階に上がる。
「2階にあるのは1年生の教室、第二学習室だ」
「第二学習室は分割の授業で使用することがあるので場所を覚えておいて欲しい。」二階を一通り案内して3階へつなが

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綾瀬さんと真谷くん53「春眠暁を覚えず」

春眠暁を覚えずとはよく言ったものだ。春は心地よい暖かさと程よい風で睡魔が幾度となく襲ってくる。
昼休みに屋上へ行くことが多いがほとんど睡魔にやられて置かれているベンチで寝ている。今日も屋上で昼寝をしていると誰かが近づく足音が聞こえた。
特に気に留めず眠りこけていると耳元で聞きなれた声がした。
「優こんなところで何してるんですか?」
「ん……?」
重い目を開けると僕の顔を覗き込む響がいた。
「ん……

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綾瀬さんと真谷くん55「博物館」

今日は久しぶりに響とデートすることになった。
行き先は歴史博物館にした。 プランは予め考えておいた。まずは駅前広場で待ち合わせして、電車で博物館の最寄り駅まで乗り博物館を色々と見て回り売店で何かしらを買う予定だ。
楽しみすぎて待ち合わせの30分前に着いちゃったよ。
しばらく待っていると響がやってきた。
「おまたせ優」
「僕も今来たところだから大丈夫だよ」
「それじゃ行きましょ、優」
電車に揺ら

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綾瀬さんと真谷くん56「通話」

今日は休日なので昼まで寝ている。
最近大学の講義やアルバイトが忙しくてあまり寝れていなかった。
もう少し寝ていよ……
その時携帯が着信音を奏でた。
「誰からだろ……奏音か……」
半分寝たまま応答ボタンを押す。
「もしもし……」
「あ、穣?今何してる?」
「さっきまで寝てた……」
「そうなんだでも寝すぎは良くないよ?」
「うん……」
「そういや要件聞いても良い……?」
「んー?なんか寂しくなったから

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綾瀬さんと真谷くん57「プレゼント」

響の誕生日まであと数日だ。プレゼントをあげたいけどどういうのが良いのかな?アクセサリーとか喜ぶかな?誰かに相談したいけどうーん……
悩んでいると誰かに声をかけられた。
「真谷くんどうしたんですか?」
目線を声がした方に向けると井崎さんが立っていた。
「おぉ井崎か。実はもうすぐ響の誕生日で、プレゼントを一緒に選んで欲しいんだけど……」
「それなら私がよく行くアクセサリーショップを教えますのでそこで買

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綾瀬さんと真谷くん59「最後の体育祭」

今日は高校生活最後の体育祭本番だ。優勝出来るかどうかは正直かなり不安だがやりきるしかないな。まず最初は100m走か。よし距離短いし一気に駆け抜けるとしよう。レーンに立ち合図を待つ。しばらく待つとスターターピストルが打たれた。その瞬間に駆け出す。半分まで走ったところで当たりを少し見回すともがいている走者の姿があった。これは勝ったな。そしてそのまま1着でゴールした。すると観客席から大歓声。そのあとは生

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