綾瀬さんと真谷くん55「博物館」

今日は久しぶりに響とデートすることになった。
行き先は歴史博物館にした。 プランは予め考えておいた。まずは駅前広場で待ち合わせして、電車で博物館の最寄り駅まで乗り博物館を色々と見て回り売店で何かしらを買う予定だ。
楽しみすぎて待ち合わせの30分前に着いちゃったよ。 
 しばらく待っていると響がやってきた。
「おまたせ優」
「僕も今来たところだから大丈夫だよ」
「それじゃ行きましょ、優」
電車に揺られること40分。博物館の最寄り駅に着いた。 
5分ほど歩くと目的地に到着した。
中に入り、エレベーターで10階まで上がるとそこに見えるのは奈良時代の大極殿を模した空間だ。
そこからは奈良時代の宮廷の儀式の様子をスクリーンで見る。
「奈良時代の儀式ってこんな感じに行われていたんですね」 
 「うんなんだか神秘的だな」
映像が終わると窓にかかっていたパーテーションが開き、外にある宮殿の遺構が見えた。
そのあとは出土品などを見て回り、9階へエスカレーターで降りる。
9階へ降りるとそこは中世の空間。
信長と戦った本願寺時代と天下の台所時代が再現されている。
8階へ降りるとそこは原寸大に再現された発掘現場があった。
遺構や遺物の見方などがあった。
7階へ着くと近現代の空間。
昭和初期ににひときわ賑わった街角が再現されていた。 
展示は7階で終わっていた。
7階を歩いているとすごろくクイズなるものがあったのでやってみることにした。どっちかというと理系が得意だけどやってみるか。
なぜか初見なのに全問正解してクリアしたすごろくクイズの紙をもらった。
 「すごいですね!優。」
「まさか全問正解するとは思わなかったよ。」
時間を見るとちょうどお昼時だったのでエレベーターで1階に降りて博物館の外に出ると近くに飲食店があったのでそこへ入り、ランチメニューとアイスティーを注文した。
しばらくすると注文した品が運ばれてきた。
「お待たせしましたビーフカレーオムライス、クリームソースオムライスとアイスティーです。ごゆっくりお楽しみください」
僕が注文したのはビーフカレーオムライスだ。
食べ進めていると響に声をかけられた。
「優、あーん」
「ん」
「美味しいですか?」
「うん美味しいよ」
今はもう慣れたはずだけど、やっぱり恥ずかしいな。
時折雑談しながら食べ進めていった。
会計を済ませて、店外へ出る。
「今日は楽しかったね」
「はい、また機会があればデートしたいです」
「それなら良かった」
帰りの電車に揺られていると、響が頭を肩に預けてきた。
(寝顔も可愛いとか天使かよ)
「ん……ゆう?何か言いましたか?……」
「寝言か……びっくりした」
ほどなくして最初に乗ってきた駅に着いたので響を起こした。
改札を出ると外は日が傾き始めていた。
夕日に照らされる響の横顔はいつもより美しく見えた。
思わずスマホのカメラで写真を撮ってしまった。
スマホに映った写真には一人の女神が写っていた。
「いまシャッター音が聞こえたような気がしましたが何でしょうか?」
「夕日に照らされる響が可愛かったからつい写真撮っちゃった」
「そうなのですね」
すると響もスマホを取り出し僕の写真を撮った。
「これでおあいこですね」
そう言って響はいたずらっぽく笑った。
僕の彼女は全くもって非常に可愛い。

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