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オレンジシャーベット
群青色の夜空に
赤い星と
橙色のちょうちんが揺れて
ポケットには千円札が一枚
「ねぇ一緒に何買おうか」
かき氷と綿菓子とリンゴ飴
金魚すくい、スーパーボールすくい、
射撃ゲームもしようよ
勿体ぶって
結局、オレンジシャーベットの
アイスを買って
コンクリートの花壇に座って食べたね
広場で手筒花火が始まった
君の白い顔が
オレンジ色に輝いて
急に冷たい風が吹いていたこと
言えずにいた
射撃ゲー
「もう十分」という言葉
2021年のゴールデンウィーク。
「もう十分」という言葉が、心の中で繰り返されている。
朔也の母が望んでいた「自由死」という考えに否定しながらも、「もう十分生きたから」という思いは、私の中でわかりすぎるくらいの思いでもあった。年を取ると、そういう気持ちになってくるのだろうか。「もう十分」人生を歩んできたのだから。
でも死ぬのは怖い。先日の「語る会」で平野さんが仰っていたその気持ちもわか
JR上野駅公園口(柳美里)
不忍池の風景には、東京の喧騒を弔うような寂寥感がある。
『JR上野駅公園口』
読み終えた後も、息苦しく、やりきれない虚しさが残る。
ホームレス、貧困、孤独死、バブル崩壊、東日本大震災、動物遺棄など様々な社会問題。
死ぬことよりも、生きていくことの不安。
上野恩賜公園にまつわる歴史を織り交ぜ、現代と過去を行き来しながら主人公の生涯を浮き彫りにしていく。
鬱々とした梅雨の居心地の悪さや、凍てつく
ラヴェル クープランの墓
時が止まったよう
一つ一つのものが
とても意味のあるものに見えた
空気の動きまでもが
見えるような気がした
深い水の中にいるみたい
濁りのない透明な…
ずっとずっと向こうの方に光が見える
それはたぶん私の未来
一つ一つ
一音一音
確かに進み
それは透き通っていた
(18歳 秋)