自民党の「日本衰退化計画」~「失われた30年」の原因は、意図的な「内需減少政策」
少し前に「『先進国」』における『新自由主義政策』の実験場になった日本の悲惨な現実」 を書いていたら、日本を衰退させる「内需減少政策」のあまりの多さに驚いた。「内需減少」は国民の貧困化に直結するので、自民党がこれを意図的にやっているのだとしたら、まさに国民への背信行為に他ならない。
そこで、今回は、政府自民党と日銀、大企業・財界が共謀した新自由主義に基づく「内需減少政策」について分析してみる事にした。
1 バブル崩壊後の日銀による「誤った?」金融政策と政府の緊縮財政政策
「失われた30年」と言われているように現在の日本経済の悲惨な状況を知る上で30年前に起きた「経済的ショックドクトリン」とも言うべき日本経済の未曽有の大惨事の原因と影響の考察は欠かすことが出来ないので、やや遠まわりになるが「バブル崩壊」から論じていく事にする。
1990年1月の「バブル崩壊」で株価暴落が始まってから1年半もの間、日銀は6%の高金利を維持したまま何もせずに放置、景気後退が確実になったことを確認した後ようやく公定歩合を0.5%だけ引き下げた。
その後、6回に渡って小刻みに公定歩合を引き下げ、1993年2月にはバブル時代と同水準の2.5%まで低下した。しかし、バブル崩壊直前までの急激で大幅な利上げスピードに比べると、利下げの方は比較にならない程の深刻度の割には意外にスローペース。
この間、株価と地価の暴落による景気後退は加速度的に進行し、日銀のスローで後追い的な公定歩合引き下げは全く効果がなかった。
バブルを意図的に崩壊させた日銀は深刻な不況に陥っているのをよそに、バブル再来防止を名目に1995年3月まで積極的な量的緩和を行わず、円の供給量を大幅減らして流動性を低下させた。
この結果、マネーストック(マネーサプライ)不足になり銀行の「信用創造」が収縮して景気が更に悪化。1994年後半からは物価が上昇から下落に転じ、日本経済はついにデフレに陥ってしまった。
ようやく1996年からは超低金利政策(0.5%)に踏み切るが時既に遅しで、膨大な不良債権と日銀の「誤った」(本当は意図的) 金融政策によって痛めつけられた日本経済は、1995年から97年の一時的な景気回復以降は再び不況に転じ、「失われた30年」と呼ばれる世界に例を見ない長期デフレに突入して行った。
ようやく一時的な回復基調にあった日本経済に頭から大量の氷水を浴びせかけ景気を一気に冷やしたのが、1997年4月に財政再建論者の橋本総理が実施した3%から5%への消費増税。(ただし、消費税増税自体を決定したのは橋下内閣の前の村山内閣)。
この増税によって家計消費は一気に落ち込み、日本経済に回復不能とも言える程の大打撃を与えた。これ以降、日本経済は二度と立ち直ることなく急坂を転げ落ちて行くように衰退。各種基幹経済統計でもそれまで中位から下位にいたOECD各国にも次々に抜かれて後進国化していく事になる。
消費税増税を実施したのが日本の経済界がバブル崩壊後の不良債権処理に喘いでいる最中、しかも7月からはアジア各国の通貨が突然大暴落する「アジア通貨危機」に見舞われると言う最悪のタイミング。
更に増税と並行して財政健全化のためにそれまで実施していた特別減税を打ち切った上、同時に医療費の自己負担増も行うというとんでもない「総合的内需減少政策」で、まさに自分で自分の首を絞める二重三重の大失政。
増税等による国民の負担増は合計9兆円に上り、名目GDOも2%のマイナスと激しく落ち込んだ。可処分所得を一気に減らされた国民の消費意欲は著しく減退し、家計支出をぎりぎりまで切り詰めるようになった。こうして物が売れなくなり、企業の新規設備投資も停止状態となって日本経済は長期デフレに突入して行く。
2001年になって橋下龍太郎は当時を振り返り、「私の緊縮財政は間違っていた。財政再建のタイミングを早まって経済低迷をもたらした。」と国民に謝罪したが後の祭り。
それでも、腐敗・不正・無能・悪意の「2012年体制」と「アホノミクス」によって日本を破壊し、国民を不幸のどん底に陥れたくせに自分の失政を一切認めずに口を開けば「アベノミクスはまだ道半ば」と開き直り、何の謝罪もせずあの世(「地獄」)に行った誰かさんよりはまともだが。
一方、橋本内閣より前の宮澤内閣、自民下野後の細川、羽田、村山内閣は何をしていたかというと、1992年から95年にかけて毎年6兆円から15兆円の大規模な経済対策を行った他、断続的に減税も実施。
積極的な財政出動と減税は一定のの効果を上げ、1995年から97年にかけてバブル前ほどの力強さはなかったものの或る程度の景気回復をもたらし、日本経済は再び活力を取り戻すかと思われた。
それを一気にぶち壊したのが、上記の橋本内閣による消費税増税を柱にした内需減少政策。その後も、日銀が量的緩和を行わなかったため、政府の経済対策の効果は相殺されて限定的なものに留まった。
政府は、巨額の財政支出を続けたためプライマリーバランス(PB)が悪化して国債増発による政府累積債務が急拡大。表向きは、いくら財政支出を増やしても焼け石に水と判断した政府は景気回復をあきらめ、PB健全化を目指した緊縮財政政策の方向に舵を切り、財政支出を次第に削減して行った。
日銀がゼロ金利政策に転じた後も政府はPB黒字化(財政健全化)目標を堅持し、公共投資や政府消費などの財政支出を極力絞って不況を継続させた。 この間、民主党政権下の一時期を除き日本経済は順調に衰退し続けた。
日銀と政府はやっている金融経済政策が常にちぐはぐで互いに経済政策の効果を減殺し合うような事ばかりやって来たが、バブルを崩壊させた日銀による急激な利上げと大蔵省による総量規制を実施した時だけは不思議と歩調を合わせている。
以上を見れば、バブル崩壊とその後の長期不況は、日銀が主導し、政府がそれに加担したた意図的な人災(経済的ショックドクトリン)だった可能性が高いと言えるだろう。
「バブルの人為的生成と崩壊」によって日本経済を破壊した日銀の正体については、こちらに詳述している。
2 最も強力な内需減少政策「消費増税」
日本衰退の最大要因である消費税導入は、元々「直間比率見直し」(間接税増税による法人税・所得税減税)のため、1986年に経団連が自民党に要求したもの。消費税が法人税減税と富裕層の所得税減税の穴埋め及び輸出還付金として使われることは、最初から決まっていた。
しかし、「消費税は大企業と富裕層の減税のため」などと正直に言えば国民の猛反対をくらう事は必至。そこで政府自民党は主要メディアを使って「消費税は、全額社会保障の財源に充てる。」とのデマを繰り返し流すことで国民を騙し、消費税の導入に成功。
国民の多くは未だにこのとき刷り込まれたデマを信じ込んでおり、多くの国民はなかなかその洗脳から抜け出せずにいる。
消費税は特別会計ではなく一般会計に繰り入れられどんな用途にも自由に使えるのだから、「消費税は全額社会保障の財源に充てる。」などありえないことは、少しでも財政について調べればすぐに分かる事なのだが。
こうして導入された消費税は当然のことだが社会保障のためにはほとんど使われず、事実上形を変えて財界や大企業などの富裕層の懐に入って消えてしまうので、「中抜き」同様、内需を激減させただけで経済成長には全く役立たない。
また、消費税は利益と人件費に課税されるので、人件費にかかる消費税負担を減らすために企業が正社員を切って、次々に非正規職員に置き換えて行くという大問題を同時に引き起こしてしまった。
その結果、低賃金で不安定な非正規雇用の割合は4割近くに達して更なる労働者の貧困化を招いた。つまり消費増税と雇用の非正規化はセットで内需減少に拍車をかけるという最悪の税制なのだ。
1989年の消費税導入と翌年の「バブル崩壊」で弱り切っていた日本経済は1997年の3%から5%への消費税増税には耐えられず、ついに「失われた30年」と呼ばれるようになる他国に例を見ない長期デフレに突入した。1995年から2015年までの20年間でマイナス成長を記録した国は日本だけである。
日本経済に更なる打撃を与えるために2014年、安倍内閣は5%から8%への2度目の消費税増税に踏み切った。この時の経済的打撃も極めて深刻で、個人消費は一気に8兆円も落ち込んだ。リーマンショックによる消費の落ち込みが6.3兆円だったのと比べても、その影響の大きさが分かろうと言うもの。
デフレスパイラルから抜け出せない日本
安倍晋三が築いた「2012年体制」の元で景気刺激のために黒田日銀が異次元の金融緩和(ゼロ金利~マイナス金利と超量的緩和)を行っても、政府は緊縮財政を維持し続けたので消費も設備投資も相変わらず落ち込んだまま。
第2の矢「機動的な財政出動」を売り物にした「アベノミクス」下での財政支出の増加は、1に張り付けた統計表のように実は微々たるもの。ここでも日銀と政府は、お互いに矛盾した政策に精を出していた事になる。
国内の「実需」が無いので民間銀行は市中貸し出し(信用創造)が出来ず、日銀が「黒田バズーカ」で民間銀行から国債を買い上げていくら円を供給しても日銀当座預金に積み上がるだけでマネーストック(民間銀行から市中に流れるお金の量)は増えない。
2022年3月時点で563兆円が日銀当座預金に「ブタ積み」状態で、1年間で何と41兆円も増加。金融機関が日銀当座預金に預けなければならない法定準備預金は7.5兆円程度。550兆円あれば、消費税なしでも30年間はもつので、この数字がどれほど異常なものか分かるだろう。
日銀が直接供給するお金のマネタリーベースは10年で約5倍になったが、内需減少政策のために世の中に出回るお金の量であるマネーストックは1.3倍にしかなっていない。
政府は「消費税は、社会保障のための安定的な財源」との嘘を国民に信じ込ませ、不況と物価高とコロナ禍の三重苦で国民が喘いでいてもデフレの元凶である消費税は絶対に減税しない。
しかし、上に書いたように社会保障に使われたのは消費税のごく一部で、これまでの34年間に徴収された約500兆円の大部分は法人減税と高額所得者の所得減税による減収分の穴埋め、輸出還付金などに使われて来たのは周知の事実。
政府自民党が相次ぐ消費増税と緊縮財政によって国民からお金を吸い上げ内需を冷やし続けているのだから、黒田日銀がゼロ金利と超量的緩和を行っても何の効果もないのは当然なのだ。効果がないどころか、超円安による副作用の方が遥かに大きい。
結局のところ、消費税の導入と三度に渡る増税は日本をデフレに陥れただけでなく、国民から収奪した消費税は法人税減税、高額所得者減税、トヨタなどの輸出企業への輸出還付金などの形で大企業や超富裕層に回され、政府の最初からの目論見通り彼らを更に富ませるために使われた。
【輸出戻し税の闇】
元々日本は「内需大国」で、GDPにおける輸出依存度はアメリカ、ブラジルに次いで低く、1999年から2018年の平均で僅か14.6%に過ぎない。日本が「輸出大国」だの、「貿易立国」だのというネーミングは全くファクトではない。
しかるに、日本政府は自民党の大口献金元であるトヨタなど一部の輸出大企業を優遇し、2021年にはトヨタ1社だけで約6000億円もの輸出戻し税を還付している。輸出企業全体では約6兆6千億円に上り、何と毎年の消費税の4分の1が還付金として輸出企業の懐に入っているのだ。
建前上は海外への輸出は消費税を取れないからと言う理由だが、下請け会社からの部品等の仕入れの際、価格決定権を持つのは発注元で圧倒的な資本力をもつ大企業側。大企業は優越的地位を利用して代金に転嫁させず消費税分以上を値引きさせて納入させているのが実態。
だから、輸出大企業は事実上消費税など負担してはいない。支払ってもいない消費税が「戻って来る」という奇々怪々な輸出還付金は、実質的には「GATT(関税及び貿易に関する一般協定)」で禁じられている輸出補助金であのり、政府による輸出大企業への税金の合法的横流し以外の何物でもない。
むしろ、輸出還付金はトヨタなどが納めるべき消費税分まで負担させられている下請け企業にこそ還付されるべきものだろう。
日本の消費税は元はといえば1954年にフランスが世界初の付加価値税を導入した事から始まっている。当時、フランス政府は国際競争力が弱かった自国の輸出企業にテコ入れするために政府補助金を出したかったのだが、1948年に締結された国際協定「GATT」で輸出企業への補助金は禁じられていた。
そこで抜け道として考え出されたのが付加価値税の導入。付加価値税には「還付金制度」を伴い、これには輸出品については輸出先から付加価値税を取れないので、仕入れ段階でかかった税金分を税務署から払い戻してもらうという理屈づけがされた。
輸出還付金なら直接的な補助金にはならず、GATTには違反しない。つまり付加価値税はその成り立ちからして輸出企業だけを優遇するために作られた不公平税制であり、輸出企業に対して政府が合法的に税金を注ぎ込むために作られた仕組みだった。
日本の消費税は本当に消費者が負担する欧州の付加価値税とは別物の税制だが、フランスが編み出した補助金注入の抜け道をそのまま流用した極めて不公平な輸出企業優遇政策である事に変わりはなく、導入の最初から社会福祉に充てる気など毛頭なかったことは明白だった。
消費税を上げれば上げる程還付金額も増えるので、輸出企業は消費税増税は大歓迎。逆に消費税が減税されたり、廃止されたりすれば濡れ手で粟で何の企業努力もしていないのに労せずして手に入れていたあぶく銭がそれこそ泡と消えてしまう。だからトヨタなどの輸出企業は、財源である消費税を失いたくない財務省と共に消費税減税・廃止には大反対なのだ。
財界は直間比率5:5の実現と法人税及び高額所得者の所得税の更なる減税のために消費税19%を自民党に「提言」(要求)している。財界の過去の「提言」はほとんどが実現しているので、そうなれば日本は破滅するしかない。
財界は上記のように昔から直間比率の見直しを要求しているが、実は消費税が間接税というのもまやかしで、その正体は事業者の売り上げにかかる売上税。つまり景気に左右されず赤字でも取り立てられる第二法人税=直接税。
消費税は税を納める者と負担する者とが同じ直接税なのだから、財務省も明言している通りに預り金など生ずるはずもなく、輸出還付金なるものの正体は輸出企業への補助金に過ぎない。
だから消費者が負担しているように見せかける消費税と言う名称自体がウソなのだ。
結局、政府・財務省は大企業・財界、3%の超富裕層など一部特権層の莫大な利益と引き換えに日本経済をデフレに突入させて経済成長を止め、三流後進国に落ちぶれさせてしまった訳で、最早これは政府による確信犯的犯罪行為と言っても過言ではない。
3 日本の衰退を加速した上に負のレガシーになった「アベノミクス」
「アベノミクス」の「三本の毒矢」の内実際に「機能」したのは、第一の矢と称する株高と異次元の金融緩和(ゼロ金利政策)による異次元の円安のみ。
株高にするためには国民の年金資金を運用するGPIFの運用方法を変更。巨額の年金資金を株式市場にジャブジャブつぎ込み、並行して日銀ETFで大量の日本株を買い入れ、株式相場が下落しないように買い支えた。
申し訳ありません。ここから先は有料記事となります。内容については、目次をご確認ください。
これは「アベノミクス」が成功し好景気になっているように見せかけるための巧妙なトリック。当時の株価上昇は政府による人為的な株価操作によるもので、実態経済とはかけ離れた砂上の楼閣に過ぎず、人為的な株高で大株主である大資本家たちを大儲けさせるための「富裕層優遇政策」だった。
また、「アベノミクス」の失敗を隠すために政府基幹統計の改竄捏造にも手を染め、近代国家化が絶対にやってはならない一線を平気で超えてしまった。
一部の輸出企業だけが恩恵を受ける「円安」は、2013年以来、安部総理と黒田日銀総裁がタッグを組んで押し進めて来た日本経済衰退化政策「アベノミクス」の「目玉商品」だった。
円安政策は輸出企業の国際競争力を高める事で日本経済を復活させるためという触れ込みで始められたのだが、これには大きな落とし穴が隠れていた。輸出量は増えていないのに、円安ドル高が進めば進むほど輸出企業は円安差益が膨らんで、何もしなくても儲けがどんどん積み上がるようになった。
そのため、日本企業は設備投資や人材投資、研究投資などを減らし、痛みを伴う「スクラップ&ビルド」や企業構造改革、費用がかかる上に複雑なIT化、多額の研究開発費を必要とするが失敗する可能性もある技術革新やイノベーションなどを怠るようになった。
輸出戻し税と同様、多くの日本企業は何もしなくても今まで通りの業態を続けていれば自動的に儲かる円安に安易に寄りかかるようになってしまった。必死に企業努力するより、その方が遥かに楽だからだ。
GAFAのような先進的なIT企業や有力なベンチャー企業・ベンチャービジネスは勿論、画期的な発明や世界標準となる新製品が日本で生まれなくなったのはそのため。
「アベノミクス円安」は阿片のようなもので、少し長い目で見れば日本企業の国際競争力を蝕んで劣化させ、かえって国力を弱めるものでしかなかった。
その後、輸出企業の海外シフトが急速に進み輸出自体が減少しているので、最近では短期的に見ても円安のプラス効果よりもマイナス効果の方が大きくなってしまっている。今では円安による輸入資源価格高騰のデメリットを受ける企業のほうがはるかに多いのが実情だ。
賃金が上がらない中、円安になればなるほど円の価値が下がり購買力だけでなく給料や預貯金も目減りし、日本の労働者は国際的に見て貧しくなる一方だ。
産業貿易構造が大きくに変わっているのに、「アベノミクス」の失敗を認めることが出来ない黒田総裁は、「円安政策」を未だにだらだらと続けている。
だからといって「円高政策」に転換すれば、金利が上がって脆弱な日本経済は更に深刻な不況に陥り、利子支払い額の急増で日銀が債務超過に陥る恐れがあるためそれも出来ず、まさに「前門の虎、後門の狼」でどうにもならない詰んだ状態に置かれている。
こうした状況を打開するには消費税の減税廃止と現金給付等で内需を高めて、経済活動を活性化する事で賃上げする以外にないのだが、財政健全化に固執し、消費税という打ち出の小づちを手放したくない財務省は絶対に同意しない。
もっとも、財務省の反対などは表向きの理由であって、内閣人事局と言う官僚の人事権をもっている内閣が抵抗する財務省幹部を更迭してしまえば済む話だ。本当の所は、2で書いたように消費増税で美味しい思いをしている自民党のスポンサーである財界がOKしないからだ。
勿論、政府もこれまでの政策が誤りだった事を認める事になる消費税減税と国民のための財政支出拡大などやるはずがない。結局、日本の経済政策を根本的に変更するには、自公を下野させ、自民党の2軍「維新」、国民民主、参政などを除く本当のの野党で新政権を作るしかないのだ。
しかし、その中核となるはずだった立憲民主が国民民主との合同後、急激に右旋回。これまで共闘して来た日本共産党を切り捨てて、極右強欲新自由主義政党「維新」と共闘すると言い出すに至ってまともな野党による政権はほぼ絶望的になってしまった。
おまけに前代表だった枝野までが「消費税減税は間違いだった。二度と減税は言わない。」と発言するなどちゃぶ台返しもいいところ。仮に「泉立憲」と「維新」が連立して政権を握ったところで、自民と同様「改憲」と消費税増税にまっしぐらという状況になりそうだ。
賃金が全く上がらない環境下、円の大暴落による購買力の低下と輸入品価格高騰で物価だけが上昇する「スタグフレーション」という安部政権の悪政の法外なツケ(負のレガシー)を、今、日本国民が支払わされているのだ。
4 再分配政策の否定による貧富の格差の拡大
もともと自民党は、米国・大企業・財界・富裕層などの利益ののために作られた売国政党。特に中曽根内閣以降、新自由主義的傾向を強め、歴代内閣は法人税減税、累進所得課税率の大幅緩和、金融所得に対する定率分離課税などによって富裕層を更に富ませる政策に力を入れて来た。
その結果、大企業の内部留保は2021年度についに500兆円を突破し、516兆4750億円に達した。前年度より32兆円も増やし、史上最高。
また、安倍・菅政権の10年間で上位40位までの超富裕層の資産は6兆円から24兆円に激増。超富裕層は中間層の急激な貧困化を横目で見ながら我が世の春を謳歌している。その一方で、一般国民は低賃金のために子どもを産み育てるどころか、結婚さえ出来ない若者が増えている。
3%の超富裕層は投資した巨額の資本が放っておいても自己増殖するのでますます肥え太り、残りの97%は汗水たらして稼ぎ出した剰余価値を資本家に搾取された上に多額の税金や社会保障負担金を政府に吸い取られて益々窮乏化する一方。
格差が拡大すればするほど消費が落ち込んで、GDPの6割を占める民需が減少するのは当然の帰結だ。
5 大企業や富裕層の大幅減税
2と密接に連動するが、政府は財界の要求に応えて消費税を増税する代わりに法人税や所得税の最高税率・累進税率を下げて大企業・富裕層に対する大幅減税を実施。
法人税減税分は労働者の賃上げや新規設備投資、研究開発投資など生産的な方面には向かわず、大部分は株主配当や役員報酬の増額、内部留保の拡大に注ぎ込まれるため内需は伸びない。外国人投資家の比率も大きいので、配当金のかなりの部分は外国に送金されて消えてしまう。
消費税導入前の所得税最高税率は75%、19段階だった(1974~1984)ものが、
現在は最高45%(2015~)、7段階にまで低下した。現在の税制が、高額所得者優遇税制である事は明白。
6 労働分配率の引き下げ
労働者の賃金の賃上げ抑制、削減などによって労働分配率を引き下げ、こちらも浮いた分を株主配当と経営者報酬の増額に回し、内部留保を大幅に拡大させた。労働者の取り分が下がるから、賃金が減って消費が落ち込む。
後で述べる闘わないニセ労組「連合」の存在も労働分配率引き下げに大きく貢献した。
7 非正規雇用の拡大
平成元年の非正規雇用労働者の割合は20%だったが、現在は約40%に達しており、低賃金による貧困化と雇用の不安定化が進んだ事で大きな社会問題になっている。非正規の内訳は、「パート」「アルバイト」「派遣社員」「契約」「嘱託」「その他」。
非正規化の動きは民間だけでなく公務員でも急速に進んでおり、現在、国家公務員の4人に1人、公立学校教職員の5人に1人が非正規雇用である。地方自治体職員も同様だ。
非正規雇用は、経営側による賃金カットと共に日本の労働者の賃金が長期間上がらなくなった大きな原因になっている。非正規雇用の例として「派遣」について少し詳しく見てみよう。
<中間搾取で肥え太る人材派遣業界>
派遣労働の歴史は資本家側の規制緩和要求に応える形で1985に「労働者派遣法」が制定されたことに始まる。必要な時に、必要な人材を、必要な期間のみ利用したい企業側の手前勝手なニーズに沿ったものだが、この法律によって民間会社による人材派遣業が解禁された。
経営側にとって「派遣労働」は直接雇用の人件費である(福利厚生費も含めた)「固定費」を人材派遣による「変動費」に置き換えて労働者の賃金をコストカットできるメリットがある。
制定当初は専門的な知識や技能を有する13業種に限定され、直接雇用者が派遣社員に置き換えられる事のないよう雇用期限の上限も1年間だった。しかし、その後の度重なる「改正」によって規制がなし崩し的に緩和され、雇用期限上限も3年間に延ばされた。
1999年の労働者派遣自由化、2004年の製造業への派遣解禁を経て、現在は一部業種を除き、原則自由化されている。1999年の労働者派遣自由化前後から人材派遣会社が増え始めるが、最大手の「パソナ」の設立は1999年。
「維新」などが地方公務員を「既得権益層」として攻撃して正規職員の数や給料を減らし、バックにいる竹中平蔵の「パソナ」などの非正規派遣職員に置き換える動きが急速に進んでいる。
「解雇規制緩和」による雇用の流動化と「終身雇用制の廃止」も非正規雇用の推進と連動している。
派遣会社によってその割合は多少異なるが、派遣社員の給料の概ね30〜40%が派遣会社のマージンであり、派遣会社によるピンハネ額は年間30兆円とも言われている。その結果、非正規労働者の90%が年収300万円未満。
直接雇用であれば労働者に入るはずの給与の一部をマージンとして派遣会社が「合法的」にピンハネしているのだが、これは明らかに派遣先企業と派遣会社による二重搾取。
自民党歴代内閣は、派遣会社を儲けさせるために中間搾取を禁じた「労働基準法」第6条の「法律に基いて許される場合の外」という例外規定を際限なく拡大させることによって、同条文を事実上死文化させてしまった。
政府や地方自治体に寄生するパソナのやり口を見ているとなるほどと思うのだが、2021年度のパソナの純利益は前年度の1000%増しという凄まじさ。 儲かって笑いが止まらないらしく、現在、日本は人材派遣会社が世界一多い国になっている。
「労働基準法」第6条の本来の趣旨は中間搾取の禁止なのだから、「法律に基いて許される場合の外」という条文の例外規定を削除する。そうすれば人材派遣会社は中間搾取が出来なくなって潰れるか撤退せざるを得なくなる。
併せて非正規雇用を禁止して正規雇用を義務化すれば、日本の貧困問題は劇的に改善する。
8 「国民負担率」の際限のない上昇
国税・地方税、消費税などの間接税、年金・健康・介護・雇用保険料などを合わせた国民負担率は、今年、ついに50%を超えた。更に「令和の岸田軍拡大増税」によって、年度末にはいずれ国民が負担させられる財政赤字を加えた実質的国民負担率は60%に近づくだろう。
江戸時代の年貢に例えれば6公4民で、白土三平「カムイ伝」の主人公カムイや正助たちもびっくりの苛斂誅求ぶり。最早再生産が不可能になり、食い詰めた農民たちによる大規模な一揆や打ちこわしが各地で頻発するレベル。
江戸幕府の農民政策は「生かさず殺さず」だったが、6公4民の岸田政権は「生かさず殺す!」に他ならない。
国民負担率60%は、北欧福祉国家並みの高負担。しかし、社会保障や国民福祉が充実していて大学までの教育費も無料の上、病気や老後の心配もなく安心して暮らせる北欧諸国と自助が最優先される日本とではまさに月とスッポン。
セーフティーネットが機能しておらず、年々社会保障費が削られ窓口負担は上がる一方。非正規雇用労働者は4割近くに達し、生活苦から生活保護に頼ろうとしても政府の生活保護費削減政策によって、役所の窓口で冷たく追い返される。貧困による自殺や餓死者が毎年夥しい数に上り、多くの国民が生活の不安に脅えながら生きているのが日本の現状。
日本は「低福祉超高負担国」の超重税国家であり、税金の国民への還元率が断トツに低い。汗水たらして収めた税金の使い方が異常かつ不透明で、例えば今年度政府予備費の内16兆円が使途不明金になっているのはその象徴。
また、巨額の公金が「中抜き」や各種政府補助金・基金、政府諮問会議、特別会計など様々なカラクリによって既得権益層の懐に入って消えてしまう割合が高い。「中抜き」された公金は当然国民に還元されないし、経済成長にも全く寄与しない。
還元率が低いため社会保障や福祉、年金なども国民が安心して暮らせる水準には程遠く、国民は常に不安に脅えながら生活しているのが実態。日本の貯蓄率が非常に高いのは、将来に不安を抱えている事の裏返しに他ならない。
近年は貧困化が進んだため頼みの綱の貯蓄さえ出来ない家庭が増えており、26%が貯蓄ゼロ世帯。既に日本は先進国ではなく、貧困大国と言っていい程、国民の生活レベルが急激に低下している。
9 社会保障費の抑制と削減
政府は、これまでも社会保障給付の自然増を毎年2000億円抑制してきたが、今後に予定されている軍事費倍増、100兆円に達する新型コロナ関係特別国債償還などの財源として、社会保障費の更なる削減を計画している。
原則1割だった後期高齢者の国民健康保険医療費窓口負担率を引き上げ、2022年10月から一定以上の所得のある者は窓口負担倍増。 また、介護保険サービス利用を抑制するために利用者負担金を値上げした。
その上、高額療養費の廃止、マイナンバーカードを活用して国民健康保険加入者の預貯金などの全金融資産や一人一人の健康状態・病歴を把握し、医療・介護の負担増などに反映させる仕組みの導入などが検討されており、「令和の岸田大増税」によって国民からの収奪を一段と強めようとしている。
10 年金の一律カット
物価が上がっても賃金が下がれば年金も下がる「マクロスライド方式」により、円安や輸入資源高騰に起因する物価高でも機械的に年金カット。2022年度の公的年金額は前年度比-0.4%減で、賃金が上がらない物価高の中での非情な年金減額を実施。
そもそも日本の年金給付額は諸外国と比較しても極めて低水準で、退職前所得の僅か38.7%。同じG7のイタリアの半分、OECD38か国平均の6割でしかないところへ「マクロスライド方式」により更に減額。
マスコミは政府や維新の言い分をそのまま垂れ流し、若者に比べて高齢者が優遇されているとありもしない世代間対立を捏造して国民の分断対立を意図的にを煽っている。
しかし、高齢者が優遇されている事実などなく、年金だけではとても暮らしていけないため、高齢者(65歳以上)の4人に1人以上が老骨に鞭打って働かざるを得ない。この割合は、スペインの10倍、OECD38か国平均の2倍に達している。
日本の10万人当たり自殺者数はG7各国のトップで、自殺者の43パーセントが70歳以上の高齢者。高齢者が優遇されているどころか、日本は高齢者切り捨て国家なのだ。
11 生活保護費の削減と受給抑制政策
政府は物価下落などを理由に、13年8月からの3年間で生活扶助の基準額を平均6.5%引き下げ、合計約670億円を削減した。これに対して明らかな基本的人権(生存権)の侵害であるとして、各地で訴訟が起こされている。
日本は既に米国に次ぐ「貧困大国」であるにも関わらず、生活保護受給率は僅か1.6%しかなく、ドイツ9.7%、イギリス9.27%、フランス5.7%などに比べても極めて低い水準にとどまっている。
日本弁護士会は受給を受けるべき国民の15%程度しか受けていないとしており、生活困窮者の多くが生活保護にまで辿り着けていない事を示している。
その原因は、ごく一部の不正受給者の存在を口実にした自民党国会議員を先頭にした生活保護受給者バッシングと偏見の助長、生活保護は「恥」あるいは「悪」という長年の刷り込み、窓口での申請抑制政策による追い返し、親族への照会等の嫌がらせ、担当職員数の削減と能力不足などに起因する。
この受給率の低さが自殺者や餓死者の増加につながっており、極めて深刻な問題である。毎日大量の食品ロスを生み出している現代の「飽食ニッポン」で餓死?と信じられないかもしれないが、現実に栄養失調による餓死者は年々増加しているのだ。
12 遅々として進まない最低賃金の引上げ
今年度、たった31円引き上げただけで「過去最大の大幅改定!」などと騒いでいるが、それでも全国加重平均額961円に過ぎない。人間らしい生活をするためにぎりぎり必要とされる最低賃金1500円には程遠い。
時給1000円にも満たない日本に対して、オーストラリア約2009円、ドイツ約1759円、英国約1610円、米国約2220円と軒並み一桁違うのだ。
2019年の日本の相対的貧困率は15.7%で、G7諸国のうち米国に次いで2番目に高い。その後も急速に窮乏化が進んでいるので、もっと割合は高くなっているだろう。母子家庭に限ると貧困率は最悪で、米国36%、フランス12%、英国7%に対して日本は58%と半数超え。
日本の平均賃金は、G7加盟国中最下位。OECD諸国の中でも、下から数えた方が早い。こんな国が「先進国」である訳がない。
諸外国は、OECDの各種基幹統計が軒並み平均以下に沈んでしまった日本を既に先進国などとは見做していない。沢山の訪日外国人が来るのは単に物価が安いので買い物のコスパがよく、お得に旅行できるというだけの事。
未だに日本は「先進国」だという幻想に浸っているのはテレビの「にっぽん、スゴイ!」系番組を観て現実逃避し、いい気持ちになっている夜郎自大の日本人だけだろう。
13 年功序列賃金から成果主義への移行
成果主義、能力主義と言えば聞こえはよいが、社員を互いに競争させる事によって実質的に企業ごとの総賃金コストを引き下げる企業人件費の削減政策に過ぎない。
14 解雇規制緩和による雇用の流動化
非正規雇用の割合は、既に約40%に達している。日本の雇用はとっくに「流動化」しているのに、資本家側は「まだ足りない、もっと高めろ」と要求している。
正規雇用に関しても財界は「日本は解雇規制が厳しく、解雇したくても解雇できず雇用の流動性が低い」などと宣伝しているが、むしろ逆でOECD諸国の中でも解雇しやすい国に分類されている。
「終身雇用制の廃止」や「整理解雇要件の緩和」とは、要するにいらなくなったら労働者を使い捨てに出来るようにしろという事。サントリー新浪社長などは、こうした風潮に便乗して年齢差別である正社員の「45歳定年制」までぶち上げている。
勤続年数が長くなり給与が高くなったらお払い箱にして、安い給与ですむ若年労働者か非正規に置き換えて給与コストを下げたいというのが財界の本音。いかにも「弱肉強食」の新自由主義者らしい発想という他はない。
15「規制緩和」は強力な賃金低下要因
「需要が一定の時、供給量が増えれば価格は下がる」というのが、需要と供給の一般法則。
例えば、ある業種で参入に必要な必要条件を緩めて規制緩和すれば、参入企業が増えて競争が激化する。業者間の競争が激しくなれば受注するために価格を下げる。価格を下げれは売り上げが落ち、売り上げが落ちれば賃金も低下するという悪循環に陥る。
典型的なのがタクシー業界、トラック運送業、観光バス会社など。タクシー業界、トラック運送業などでは過剰供給のために労働者の賃金が下がり、観光バス会社では低賃金に加えて過重労働による悲惨な事故が相次いている。
経済成長率が高ければ、かつての「高度経済成長時代」のように多少の過当競争でもパイ自体が大きくなって行くので乗り切ることが可能。
しかし、全く経済成長しない社会では、需要減少で小さくなったパイを規制緩和で新規に参入してきた業者と奪い合い、過当競争で共倒れ状態になってしまう。生き残る道は従業員の賃金引き下げしかないのだ。
また、派遣労働に対する規制緩和(むしろ規制撤廃)は、労働者の非正規化を促進し、正規労働者を減らして低賃金労働者を激増させたのは7で見て来た通り。
日本の中高年の賃金減少も解雇規制の緩和によるところが大きい。転職すればもっといい職につけるなどと言うのはまやかしの幻想であり、派遣会社が大儲けするだけ。
需要を増やす努力を全くせずに、規制緩和でめったやたらに供給を増やしてきたのが自民党。それを「まだ規制緩和が足りない、もっとやれ!」と後押ししているのが狂った強欲新自由主義政党「維新」だ。
16 実質的効果ゼロの少子化対策
日本は少子化対策に完全に失敗しており、少子化に歯止めがかかっていない。少子化の大きな原因は、貧困化による既婚率の低下と晩婚化による出生数の減少。貧困のため結婚も出来ず、子どもを産んでも育てていく自信がないから子どもを作れない。
賃金を上げて貧困化を止め、生活水準を向上させない限り、既婚率は回復しない。人口減少による生産人口と内需の減少は深刻で、今となってはもう手遅れ。これから効果的な手を打ったとしても、第三次ベビーブームが起こらず「人口ボーナス」が枯渇した日本は、今後も衰退し続けるしかない。
このまま減り続けると将来、日本の人口がゼロになってしまってしまう予測さえ出ているのだ。こんな日本に誰がした?
実は日本の少子化の政府の少子化対策の失敗だけが原因ではない。多くの国民は知らないか見て見ぬふりをしているが、日本は本当の独立国ではなく事実上米国の植民地なのだ。
戦後75年以上経っても未だに米軍の実質的占領下にあり、日本政府の基本的な政策は戦後の日米二国間交渉、対日年次改革要望書(鳩山内閣が廃止)、日米FTAなどの表ルートや日米合同委員会、在日米大使館などの裏ルートを通して米国のコントロールを受けて来た。
実は日本の少子化=人口減少は、GHQ以来米国の一貫した対日統治方針であり、日本政府の一存でどうこう出来る事ではないのだ。岸田政権がぶち上げた「異次元の少子化対策」が尻すぼみになり、一向に進まないのも米国の了解が得られていないためではないのか。
米国の対日統治方針
17 闘わない労働組合「連合」の大罪
かつての「総評」に代わって日本の労働運動の主流になった「連合」は、結成以来御用組合として「労使協調路線」をとり、労働争議やストライキを抑制する側に回ってきた。これは結果的に「ストライキは社会の敵」とする政府自民党や財界、マスコミのストライキ・バッシングに加担する事になり、労働組合の力を自ら弱める悪手だった。
経営側に対する「伝家の宝刀」であるストライキ権を事実上失い、牙を抜かれたに等しい「連合」加盟労組は、自らの実力で賃上げや待遇改善を勝ち取ることができなくなってしまった。経営側のお情けで僅かばかり賃上げしてもらっても物価上昇に追いつかず、実質賃金は目減りするばかり。
闘うどころか現在の「連合」は財界の「労対部門」に成り下がり労働者の要求を抑える側に回っており、最早労働組合とは名ばかりのニセ労組なのだ。
特に旧民社党・同盟系の「富士政治学校」で反共教育を叩きこまれたJUKIの第二組合上りの労働貴族茅野会長になってからは、政府へのすり寄りと阿りが益々ひどくなっている。労働運動を締め付ける一方で、政府の有識者会議などには労働界の代表面して嬉しそうに参加する厚顔無恥。
その上、必要以上に政治に介入し、日本共産党に対する敵意をむき出しにして野党共闘を全力で妨害する事で政府与党を強力にアシスト。更に茅野会長は「富士政治学校」(理事長が統一教会関連団体会長)がらみで、「統一教会」との関係まで指摘されている。
自民党と組んで労働分配率を下げ、日本の衰退に手を貸して来た労働者の敵「連合」など一刻も早く解体すべきである。
因みに「団結権」「団体交渉権」「ストライキ権」の労働三権は憲法28条で認められた労働者の権利なのだが、デモやストが非日常的で社会から敵視、異端視される国が民主主義社会であるはずがない。
日本の労働組合組織率が年々低下し、現在では僅か16.9%しかない事も労働者が自らの力で賃上げを勝ち取れない大きな要因になっている。
自民党の「日本衰退化計画」
以上、政府与党による「日本衰退計画」とも言うべき、「内需減少政策」の代表例を見て来た。
自民党が財界の要求に従ってこの30年間やって来た事は、日本経済と言うパイ自体を大きくする努力をせずにむしろ縮小して小さくなったパイの資本家側の取り分を増やすこと。株価だけを上げて資本家層の資産を更に増大させ、大企業の内部留保や株式配当、経営者報酬などを上げる反国民的政策ばかりだった。
日本経済の約6割は内需によって支えられているのに、3度も消費増税した上に年々国民負担率を上げ、更に労働分配率まで下げれば国民の可処分所得がますます減って消費意欲が減退するのは当たり前。
個人消費や住宅投資も落ち込んで商品や住宅が売れずにデフレになり、企業の新規設備投資も行われなくなって内需が減少。その結果、世界に類を見ない超長期デフレという悪循環に陥るのは中学生でも分かる道理。
おまけにPB黒字化を旗印にした緊縮財政によって必要な政府支出(公共投資や政府消費)も減らし続けて来たのだから、景気がよくなって経済成長する道理がない。
バブル崩壊以来自民党政府が行ってきた異常な「内需減少政策」の元凶は、財界の「今だけ、金だけ、自分だけ」の自己中心主義で身勝手な要求に進んで従って来た自民党の「新自由主義経済政策」にある事は明白。
これらの政策が日本の経済成長を阻害し、デフレによる国民の貧困化を招いた事は政治家でなくとも少し考えれば誰でもすぐに気が付くはずだ。それなのにその最悪の政策をバブル崩壊以来、延々とやり続けて来たという事は、故意や悪意に基づき計画的にやっているとしか考えられない。
現に民主党政権時代の3年間は、経済が回復しているのだ。
「失われた30年」は民主党政権時代の一時期を除き、「無能・腐敗・不正・悪意」によって日本を破壊し続けた30年間だった。世界広しと言えども政府が自分の国を自らの手で破壊し続けた異常で狂った国は日本以外には見当たらない。
日本の復活を阻んでいる黒幕は米国
自民党と「統一教会」との関係について少し皮肉っぽく書いてみたが、実は「統一教会」にそこまでの大きな力はない。思想的影響力という点では自民党の中枢にまで入り込んでいる日本会議のほうが遥かに大きい。
更に日本会議とは比べ物にならない程の巨大な影響力を行使しているのが、宗主国である米国。政府自民党は米国の意のままに動かされており、主要政策に関する日本側の自主権はほとんどないに等しい。
米国と日銀が仕組んだ「バブル崩壊」以来、米国の対日政策は今後二度と日本を米国の経済的ライバルにはさせないという点で一貫している。
上にも書いたように、日本が少しでも立ち直りかけると消費増税などの内需減少政策をとらせてこれを潰しにかかるのが米国のやり口。日本を衰退させる米国の数々の理不尽な要求を拒絶するどころか進んで隷従し、忠犬ぶりを発揮しているのが米国の下僕としての現在の売国自民党なのだ。
日本を米国の属国にしている法的根拠となっているのが、日米安保条約と日米地位協定及び数々の「密約」。この所謂「安保法体系」は日本国憲法の上位に位置しており、米国が日本を属国として支配する法的根拠になっている。だから、「安保法体系」は日本をここまで衰退させた諸悪の根源、元凶であるとも言えるのだ。
この件については、こちらの記事で詳述しているので、参照願いたい。
日本経済を回復させるには
長期衰退から脱して日本経済を回復させて、G7諸国並みの経済成長路線に戻すのはある意味簡単で、要するにこれまで自民党政権が推し進めて来た「内需減少政策」とは真逆の政策をやればよいのだ。
やるべき事は多々あるが、真っ先にやるべきなのが消費税の廃止と最低賃金の引上げ。財源としては法人税の引上げ、累進課税と金融所得課税の強化、無駄な防衛予算の削減、それでも足りない場合は国債発行を行って、その分を中小企業支援等に回すなどの政策も必要だろう。
自民党に言わせれば世界一の累積財政債務による国家破綻が迫っているそうだから、緊急事態対応として、日本でも1950年代の一時期導入されていた「富裕税」の再導入や大企業の「内部留保課税」なども必要になるだろう。「二重課税」との批判など無視すればいいのだ。相続税や消費税だって実質的二重課税なのだから。
ただ、それを実現するためには上に書いたように日本の復活を阻んでいる米国からの独立が大前提となる。今の従米売国自民党内に対米自立派は皆無なのだから、自民党を倒して対米自立を目指す政権を樹立するしか道はない。
それが出来ない国民なら、このまま順調に衰退を続けてG7どころかOECDからも脱落、みじめな貧乏被援助国に落ちぶれて行くしか道はないし、人口減少も伴っていずれは国家自体が破綻消滅してしまう可能性さえある。
日本は徹底的な「新自由主義政策」による内需減少と巨額の公金が闇から闇へと消えてく「中抜きシステム」、縁故企業や関係団体への野放図な補助金行政、一体何に使われているのか実態不明の膨大な特別会計、米国への巨額の上納金、海外バラマキなどよって自らの国を政府が意図的に破壊した「(自称)先進国」としては世界初の狂った「自滅国家」として、世界史にその名を残す事になるだろう。
日本を腐敗堕落した三流衰退後進国に落ちぶれさせた自民党は、党名を「売国自滅党」に変えたほうがよい。
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